見出し画像


 ドクター・チャンが放った巡行ミサイルが破壊される少し前に、東京タワーでは、ブルーインパクトの解体が順調に進んでいた。ようやく内部が見られる状態になり、レーザーの発信回路を一つ一つ切断する努力を続けていた。36本のうち32本まで解除された時に異変は起きたのだった。


 同時に岐阜、富士山、新潟ではドローンの捕獲のためにネットによる攻撃が同時に進められていたのだったが、ここでも、日本海でのミサイル破壊と連鎖して、大きな変化が始まっていた。


 どのブルーインパクトも脈動、青い光の放射現象が段々と強くなっていった。そして、まず、新潟のブルーインパクトからの放射によって、新潟の原子力発電所の原子炉の暴走が始まり、どうしても制御できない、メルトダウンに向かって突き進んでいた。

 そして、新潟のブルーインパクトが臨界点に到達し、放射性爆発を引き起こし、日本海側の秋田から鳥取までの全域に放射線を撒き散らした。そして、新潟と日本海でのブルーインパクトの爆発の余波が岐阜県に到達し、そこでも放射線の大規模な放射が始まり、日本海、新潟、岐阜に引き続き、富士山での爆発、そして、東京での爆発、放射線の放射が始まったのだった。

 この結果、太平洋側は仙台から東京、中部、紀伊半島、大阪、兵庫までの大規模な放射線汚染が始まっていた。そして日本海側では、秋田から鳥取までを、そして、今まで検知できていなかったが、日本海での爆発が北朝鮮まで及び、先のドローンの爆発と連動し大連まで放射線が降り注ぎ、さらに、北朝鮮に送り込まれていたブルーインパクトの爆発も誘発したことで、朝鮮半島から、大連、そして北京までの全域が壊滅したのだった。


 中国政府は機能停止し、事実上、この世から中国政府はなくなり、中国軍の主力の3/4が破壊されアジア地域での軍事力バランスが大きく崩れたのだった。一方で日本の政府は幸い原子力潜水艦の基地に政府組織を移しており、大多数の高官と首相阿川は大丈夫だった。しかしんがら、防衛省の自衛隊の戦力は、1/2までになっていた。東京は当然壊滅状態で、経済の混乱も始まっていた。





 シンガポールの倉庫基地で偵察衛星からの画像で、日本と朝鮮半島及び中国での戦慄をつぶさに、感情を交えず観察し続ける大泉は、自分の家族があの中で亡くなってことを理解し、呆然となっていた。怒りも、悲しみも、何もまだ感じなかった。

 サムは大泉の心境を推し量って何も声をかけず、そっと見守った。しかし、ゆっくりしている暇がないことをサムは分かっていた。早くここを撤収し、米国に一旦引き上げる必要があった。ここシンガポールは敵の真っ只中で、早くしないと脱出できなくなることは明白だった。実際、偵察のために飛ばしたドローンから、中国南部の軍隊とマレーシアの軍隊がシンガポールへの侵攻のため準備を始めていると警告していた。



 


 その頃、ブルーダイヤモンドによる核融合エネルギを手にした、X=ドクター・チャンは 大アジア帝国建設メンバーとテレビ会議を進めていた。その一つの画面に明らかに日本の首相阿川が映し出されていた。しかも画面の中央に、自分が支配者のごとく配置されているではないか。




どうやら、ドクター・チャン=X と 考えてたのだが、そうではなかったようだ。日本国の首相阿川がXだったのだ。大アジア帝国の元首であり、支配者である。



そして、暗黒時代の幕が開けたのだった。



                                     以上

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?