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特殊部隊到着まであと1分。どれだけのブルーインプクトが持ち去れれたのか、潜水艦へのミサイル攻撃を出しんしたが、間に合わない。見過ごすしかなかった。



 そして、特殊部隊が到着し、南沙の基地に突入した。閃光弾が炸裂し、基地に突入した部隊は5分後に撤退を開始した。ドクター・チャンは生きたまま確保されたのだった。報告では、おびただしいブルーダイヤモンドが貯蔵されていること。ブルーインパクト12基と小型チャンバー38基が、格納されていたことを確認した。即時爆破の予定だったが、ブルーインパクトとブルーダイヤモンドの貴重さから回収指示が本国(米国)から出されたので、特殊部隊はそこで安全確保任務に対応することになった。

 少数(5人✖️2部隊)がオスブレイ2機に登場し、ドクター・チャンを沖縄の米軍基地に輸送することになり、出発した。



オスプレイに乗せられたドクター・チャンは、平然としていた。

南沙からブルーインパクトとブルーダイヤモンドを運び出した潜水艦の行方はつかめないでいた。

 上海の倉庫基地では、大泉とサムが、モニタリングデータを見ながら、ネットワーク全体のデータの探索を続けていた。南沙に現れた潜水艦の情報を追っている大泉は、なかなか見出せず、イライラしていた。このシンジケートの力の凄さを垣間見た瞬間だった。潜水艦まで持っている。しかも、衛生写真をCIAで照合した結果、今までのデータベースにはない、新しいものだった。ひょっとすると核融合エネルギを使った、新しいものかもしれない。ブルーダイヤモンドが多量に持ち込まれたとすると、かなりのエネルギーを敵は手に入れたことになる。写真からも大型の潜水艦だった。





 南沙を攻撃し、監視下におけたことでCIAは、即時爆破ではなく、内部の調査を実施することにし、特殊部隊に詳細調査の指示を出していた。隊員が内部調査を進める中でわかってきたのは、この基地は一つの容器になっていることだった。南沙は埋め立てられた島なので、浸水をどのように食い止めるか悩んだのだろう、結局、大きな潜水艦を南沙の中に埋め込んだようになっていた。ようは、潜水艦を先に南沙の浅瀬に滑り込ません、その周りを埋め立てたのだった。これは賢い。基地の中を調べる中で、やはりこの基地は核融合エネルギにより駆動されていることがわかった。そのテクノロジーはかなりスマートであっと驚くコンパクトされであるにも関わらず、東アジア全体に供給できるエネルギ量を示していた。これでエネルギー問題は解決したようなものだった。この発明だけで、ドクター・チャンや竹村社長、その他の国々の幹部は大金持ちになれたのに、それ以上の権力、支配欲が出てきたのだろう。


 大泉とサムはドクター・チャンのコンピュータの解析を続けていた。

 そこに、兵器とエネルギーとしてだけでなく、ブルーダイヤモンドを貴重な宝石に見立てることによる膨大な資産形成がなされていること、そして上海、北朝鮮、中国軍、ミャンマー政府、ナイジェリア、南アフリカのメンバーによるシンジゲートの存在が明らかになってきた。これはかなり幅広い、しかし、先進国から長年搾取されてきた国の集まりであり、米国、英国、EU、日本などを敵視していることは間違いない。

 問題は、北朝鮮と中国軍の動きだった。その内容は、米国、日本の政府と諜報機関に連絡が行き、CIAから各国の信頼できる諜報機関に協力の打診が出された。中国、ミャンマー、ナイジェリア、南アフリカは対象から外し、イスラエル、マレーシア、ベトナム、ロシア、英国などに連絡を行い、概ね協力を得ることができることになった。資産形成、大量破壊兵器、シンジケート、どれを取ってもまだ解明されたとは言えない状況だ。特に、兵器、核融合、潜水艦の開発と製造力からすると先進国と同じだけの能力があると言える。

 その時、ふと、大泉は、先進国のどこかが黒幕ではないかと思い立った。米国? それとも日本? どこだろう、そのことも頭に入れて調べることを刻み込んだ。ただし決してサムたちに気付かれないようにする必要があることを念押しすることも自分に忘れなかった。

 これまでの経験で裏切らせるのは慣れてきていた。脇を締めると、警笛を鳴らしていた。





その頃、シンジケートの潜水艦はフィリピン沖を航行していた。その中では、小型チャンバーを使った放射性兵器がドローンの積み込まれる作業が進められたいた。そして、ドクター・チャンの追跡も進んでいる。

 




 東京では、大泉とサムの調査で明らかになった、東京に送り込まれたかもしれないブルーダイヤモンドによる放射性兵器の捜索と放射性食料の対応に追われていた。放射性食料による被害は3万人程度で収まりを示していた。原因が分かり、対策をとった結果だった。  

 しかしながら、ブルーインパクトの捜査は難航していた。どこから、どうのように運び込まれたのか全く情報がない上に、放射線の感知器が今のものでは、近くにいない限り無理だったからだ。通常の核兵器だと、上空からヘリコプターでも感知できるのに。結局、足取り調査を行うしかない。特に、どんルートで国内に運び込まれたのかだった。


 シンガポールから東京に運びこむルートは船舶、航空機とが考えられるが、おそらくHODANJETのようなビジネスジェットで一旦日本国内に運び込み、そこから、トラック輸送だと想定できた。しかしながら、ここ3日間、日本へのHONDAJETのシンガポールからの飛来は記録されていなかった。

 その頃、シンガポールでは新たな情報を探り当てつつあった。シンガポールで製造されたブルーインパクトの1個が東京に搬送されたルートに関わる情報だ。シンガポールから上海にジェットで運搬された後、小型ボートに乗せられ日本を目指したようだった。おそらく、九州のどこかに上陸させてその後、陸送している。時間的には、まだ東京に入っていない可能性がある。ハイウエイを運んでいるのだろう。そのルートは基本1本しかないはず。放射性食料のパニックから交通状態はまだ混乱しており、そんなに早く動けることはないため、近畿から中部のどこかを走っているのではないかと想像できた。

厳重な検問が再び始まった。



 監視体制が東京からハイウエイ一帯に移ったことで、東京の監視体制が若干手薄になった。その瞬間を狙ったかのごとく、一つの物体が高高度から飛来し、ウイングで飛行、最後はパラシュートで、東京タワーの先端に取り付いた。それは誰も知る由がなかった。超高高度を飛行する1機のジェットはレーダーにも感知されず、進路をシンガポール方面に向け、日本から立ち去ったのだった。



 ハイウエイでは、検問が強化されたため、大渋滞が起こり、再び日本の経済を停滞させていた。

 食料問題は解決し、日常の生活は戻りつつあるものの日本全体の経済の復帰は少し時間がかかりそうだった。





 東京タワーの先端にブルーインパクトが設置された。夕暮れとともにブルーの光が天空を照らし、人々の気分を和ませたのだった。しかし、首相官邸とシンガポールのサム、大泉は背筋が凍る思いだった


その時、大泉の見ているディスプレにある表示が赤字で示された。


『神は見ている。お前たちの愚行はわかっている』


 そして、突然、ハッキングしていたコンピュータネッワーク全体がシャットダウンされた。





 東京では、放射性食料とブルーインパクトへの対応に追われていた。

 放射性食料については、原因が解明され、対策が打たれた結果、パニックも収まり、患者数も徐々に減ってきていた。一旦、被曝した人は助けることはできないが、拡大は防げたのだった。

 しかし、ブルーインパクトは別だった。東京タワーに設置されたものをどうやって排除するか。そして、その1基だけなのか。さらに、南沙から発進したドローンはどこに向かったのか。しかも、未だにブルーインパクトの原理と停止方法がわからないでいた。サムと大泉は集中して調べてきたが、情報はまだなく、しかも、ネットワークは遮断されたままだった。



 東京の首相官邸地下の国家安全保障会議で東京タワーのブルーインパクトをどうやって無力化するか議論が進められていた。

「あの、ブルーインパクトの威力はわかるのか」

「あのサイズですと、関東全体は間違いなく被曝することになります。」

「まだ、相手からの要求はないのか」

「何もありません」

「ではどうやって、あれを排除する」


 しばらくの沈黙の後、防衛省大臣がつぶやくように言い放った。

「まず、首相、全閣僚と主要機能を東京から退避した後、特殊部隊を落下傘で東京タワーに突入させます。そして、そこで、起爆装置を解除します」

「それしかないのか・・・・」

「今のところ」

「じゃ、始めよう。作戦開始、そして、政府組織を決まりにのっとり、海底の原子力潜水艦に移すぞ。」と首相は行動も開始した。




 日本国政府は、機能を移動設備でもある原子力潜水艦大和に移した。これは、日本の領土が核攻撃など大量破壊兵器により攻撃されることが分かった際に、機能を移すために建造されてものだった。

東京タワーへの突入は開始され、3名の隊員が、無事、着地し、ブルーインパクトへのアプローチを行った。ガイガーカウンターは若干触れるものの許容範囲だった。しばらくブルーインパクトの周りを捜索したのち、カバーで覆い、ブルーの光が東京の空から消えたのだった。





 シンガポールの大泉とサムは、ブルーインパクトの無力化方法を探し回っていた。ドクター・チャンのコンピュータネットワークからダウンロードされたデータはまだ膨大に残されたおり、全てを解析できたわけではなかった。コンピュータからのデータの中にはいろいろな情報が見つかっていた。大アジア帝国の建設の時に、中国人を初の首相にすること。経済相はシンガポール出身者にすること、防衛関連は北朝鮮が担当など、こと細やかに指示が書かれていた。

 そして、ついに大泉は、ブルーインパクトを無力化するための方法かもしれないヒントを見つけることができた。電子暗号を量子コンピュータにより作成し、起動、解除を行うように設計されていることが分かった。そのパスワードは量子コンピュータをネットワーク経由でつなぎあわせ、一方から操作することができる。ですので、東京タワーのブルーインパクトもネットワークに繋がり、どこかの誰かが操作しようとしているはずだった。


 特殊部隊の隊員から、信号は出ていないと確認されているものの、起動するにはネットワークが必要なはずだった。その時、特殊部隊から、起爆装置が作動したような音がし始め、装置の下部に点滅が始まったと連絡が入る。どうも、ネットワークではなく、タイマー式のようだったが、なぜ、今起動したのかが不可解だった。

 

 焦る大泉。ブルーインパクトの起爆装置の解除方法を探す必要があったが、東京タワーに設置されるものの情報はまだ見つけることができない。ひょっとするとダウンロードできた情報にはないのかもしれない。そのこともあって、サムからCIAに再度ハッキングできないか、依頼はしている。


「な、サム。このデータの解析からブルーインパクトの解除方法がわからない場合、どんな対応策があるんだ。」と大泉は少し疲れた様子でもう一台の画面を睨みつけているサムに問いかけた。

「そうだな。結局、起爆装置の一部を開けてみるしかない。それから、例えば、極低温に冷凍してみるとかになるかと思う。」

「そうか、手探りで進むわけか。であれが爆発したらどれぐらいの規模だろう」

「関東一円はもうだめだな。全て死ぬだろうな」

何も答えず、画面を見続ける大泉は、再度、検索キーワードを考え始めていた。


『天地創造、光あれ、そしてX。』


光あれ。それは第1日目を象徴するものだった。大泉は、その次の、第2日目のことを考えていた。

『神はまた言われた、水の間におおぞらがあって、水と水とを分けよ

 神はそのおおぞらを 天 と名付けられた』


じゃ、光の次は、『天』か。


と早速、大泉は、『天』をキーワードにして検索をかけ始めた。



 


 南沙から沖縄の米軍基地に向かっていたオスプレ部隊は、フィリピンのルソン島を抜けたところ、上海の南の基地から発進したと思われるF22に似た戦闘機部隊にミサイル攻撃を受けていた。激しい横線が続く中、3機中1機はミサイルを被弾し、南洋の海に沈んでいった。オスプレイから放たれた追跡ミサイルが1機のF22を撃墜するも、もう1機と激しい戦闘が続いていた。

 改造されたオスプレイの背面には、高射砲が装備されており、それでF22を攻撃していたが、らちがあかない。そこで、扉を開き、小型だが追従性と操縦性(無線操縦)が優れた攻撃がたドローンを3機放ち、F22と応戦していた。1機のドローンはすぐに撃墜されたが、ドローンの1機からの追跡ミサイルがようやくF22を掠めることができた。

 しかし、その時すでに遅しで、F22からのミサイルがオスプレイ2機を破損させ、海面に不時着せざる負えない状況だった。海面に浮くオスプレイからボードで脱出する搭乗員とドクター・チャンを偵察衛星からの画像で確認したが、その時、海面に浮上する潜水艦がいることも捉えられていた。南沙に現れた潜水艦だ。そして、ドクター・チャンは潜水艦とともに行方をくらましてしまった。

 




 衛星写真からオスプレイ部隊は全て墜落し、ドクター・チャンが逃げたこともシンガポールの倉庫基地にいるサムと大泉はすぐに理解できた。どうやら、ドクター・ちゃんには追跡装置が付いていたのではないかと想像する大泉だった。しかし、それにしても潜水艦の航行速度が速すぎることが気になるサムだった。ひょっとすると核融合エネルギによる新しい推進システムまで開発していたのではないかと訝るサムは、是が非でも、このシンジケートの全体像を明らかにし、たたきつぶさないと、本当に大アジア帝国建設の折には、世界を支配するかもしれないと危機感をつのらせ、その点を本土のCIA本部に報告した。

 CIA本部からは、同じだが、そのための作戦が立てられないでいること。その作戦立案には、コンピュータ解析結果からのもっと多くの情報が必要であることは間違いないので、急ぐようにとの打診が返されてきた。


「な、大泉さん。奴らの大きなシンジケートの全容を解明し、壊滅しないといけないと思う。これは本土も同意見だ。そして、彼らの持つテクノロジーを確保し、こちらが主導権を握りたい。何か言い合いではないか?」と、唐突に大泉に尋ねるサムだった。


「いや。それはわかる。まずは、ネットワークのハッキングの再会をしたいので、そこのところ頼む。それから、東京タワーに取り付けられたブルーインパクトを破壊せずに確保したらどうだ。今までの調査で起動の仕方はわかってきた。それに、ここで入手した、ブルーインパクトと小型チャンバーもあるんだろ。それらを使って、武器化を独自に進めるべきだな。まずは東京のを排除だ。」と大泉はさむに告げるが、実はもう一つあったがためらった。仲間が巻き込まれることになる。


「それから、我が社の研究開発拠点や生産工場の再調査だ。放射性食料についての情報があるかもしれない。まだ、公安からはその結果は届いてないのできっと難航しているのだろう。でも、そこは外せないな」とサムに告げる大泉は少し寂しそうだった。



 


 その頃、南沙から東京に向けて発進したドローンは、和歌山県那智勝浦町の南50kmのところを飛行していた。このドローンにはブルーインパクトが2機装着されている。それぞれに小型のドローンシステムが装備されており、大型機から離脱した後、ある程度、飛行が可能だった。2か所を攻撃できることになる。





 中部航空自衛隊基地から飛び立ったF2飛行編隊4きは、目視で、1機の大型ドローンを確認できていた。サイドワインダーミサイルで撃墜できると見た編隊長は、指令部に撃墜命令の確認を行うが、もう少し待て、警戒しろとだけ返答が帰ってきたのだった。東京の首相官邸から原子力潜水艦により離脱した政府組織は、防衛指令部とコンタクトを取りながら、次の対策を思案していた。米国からの連絡もあり、できるだけシンジケートの武器は破壊するのではなく、確保したかった。その対象が、東京タワーとこのドローンのシステムおよびブルーインパクトだった。その戦力分析は今後の地球の平和を左右するものと考えられていた。決して負けてはならない戦いだった。もしこの戦いに負ければ暗黒時代が始まることは間違いなかった。

 

 シンガポールの倉庫基地で、新たなキーワード「空」を組み合わせた検索で、新たな情報が出はじめていた。サムと大泉は、ひょっとしたら、ブルーインパクトの全体戦略がわかったかもと期待したのだったが、そうは簡単ではないようだった。しかし、東京タワーのブルーインパクトがなぜ起動したのかはわかった。起爆装置には二つの仕掛けがなされていた。ブルーインパクトから放たれる青い光の中に、高周波変調型通信機能があり、それで、外部とネットワークを作り、外部から操作できるのだった。青い光はもう一つ、近隣に設置されたブルーインパクトと同期するようになっているのだ。同期したブルーインパクトはシステム化され、一つが爆発した際、すべてが連動して起爆される。きっと外部とのネットワークが遮断されたことにより、スタンドアローンで起爆させるタイマーが作動したのが東京タワーで起きた現象に違いなかった。そうすると、今、ドローンで移動しているものは、東京まで来たとしても、東京タワーのものと連動して起爆される心配はないはずだ。

 

 大型ドローンが和歌山沖を通過し、急に北に進路を変えたのは数分前だった。しかも速度を大幅に上げてきていた。どうやらジェットパックを背負っているようだ。かなりのスピードで太平洋側から日本海側に向けて北上していった。そして、中部地区の北側まで来た時に、2機の小型ドローンが解き放たれた。1機はさらに新潟に向けて、そして1機は東京に向けて、飛び立っていった。

 大型ドローンは中部の北側、岐阜あたりで空中に停止し、少しずつ高度を徐々に上げていった。





そのころ、もう1機のドローンが、密かに北朝鮮に向かっていることはまだだれも気づいていなかった。





 シンガポールにいた大泉とサムは、ドクター・チャンを取り逃がしたこと。放射性兵器ブルーインパクトを積んだドローンが東京に向かうかと思われたが、新潟と東京に分かれ、そして母機は中部地区に停止していることを、どう解釈したらいいか検討をはじめていた。

 新潟方面に向かったドローンは原子力発電所の近くで停止したのでその狙いは明らかになった。

 しかしながら、東京に向かったものは、富士山に近くで停止したのだった。



 追跡していたF22は、指令部の指示に従い、帰投できる燃料になるまでその近くを旋回して警戒していた。操縦席には放射性物質を探知するための装置が据え付けられていた。今回のミッションでは、放射線が常に使われており、その影響には気を張らねばならない。中部の岐阜の上空で停止した大型ドローンにはブルーインパクトは搭載されてないは思われていたが、あるときから、放射線が検知されるようになった。それと同時に、新潟のもの、富士山のものからの反応も強さを増してきていた。

 




 シンガポールの倉庫では、ブルーインパクトが爆発した場合の防御方法を調べようとしていた。今、東京タワーで作動している起爆装置のタイマーの仕組みの情報は探索を続けているが見つからないため、自衛隊と米国特殊部隊の混成チームが解除に取り掛かっていた。チームからの報告では、タイマーの数値がわからないのでいつ爆発するか不明であること、そして、熱を帯び出していることが変化点だった。ブルーインパクトの下部をX線でスキャンしたところ、そこに起爆装置のようなものがあることはわかった。そこで、レーザで表層を切断し、中を見れるようにする作業が続けられていたのだった。大泉は、ようやく、ブルーインパクトの全体構成図を見つけ出し、爆弾の構成は原子爆弾と似ているように思えた。ただし、構造は意外と簡単で中心部のブルーダイヤモンドを転移・臨界点にするために周りからレーザーが照射される。そのレーザーが共振して暴走しないように装置をいじればいいのだった。そこのことを混成チームのiPadに転送し、受け取の確認を取れたところだった。

 基地の壁に取り付けられた画面の左側に東京タワーを移しだし、その横に日本からアジア全域の地図とブルーインパクトやその他関連設備の表示を示していた。その画像を時々みながら大泉は不思議でならなかった。なぜ、日本だけにブルーインパクトによる攻撃を仕掛けてきているのか。そして、なぜ、これほどまでに簡単に東京にブルーインパクトが設置されることを許したのか? さらに、日本国内にわかっているだけで、3個のブルーインパクトが設置され、それらがそれぞれ起爆された際の二次被害は想像を絶する規模になるはずだった。なぜなら、新潟では原子力発電所が破壊される。富士山の麓では多くの化学工場が爆発することになる。岐阜はブルーインパクトではないはずで、大丈夫だろう。  

 と考えていた大泉は、F22戦闘機の搭乗員からの報告に胃が痛くなってきていた。戦闘機の搭乗員からの報告から岐阜にもブルーインパクトがある。そう思うと、すべてが爆発すると関西の一部から、中部、関東まで、おそらく壊滅状態になる。そうなると、日本の経済が機能停止になる。そのことは容易に理解できた。



 そして、北朝鮮方面に向かっている1機の大型ドローンは低空飛行を続け、台湾沖を通過し、東シナ海を飛行していた。低空機飛行のため、中国、日本、韓国のレーダーには引っかからなかった。結局、大型ドローンは日本海まで飛行し、ちょうど、日本と朝鮮半島の中間位置に停止したのだった。



 潜水艦により救い出されたドクター・チャンは、一旦、香港に上陸していた。X=ドクター・チャンがばれた今、組織を通じてどのように大アジア帝国建設を進めるか思案のしどころだった。南沙の兵器は没収されてのはわかっていた。あとは、あの切り札が成功するかだった。香港の秘密基地で、暗号文を送信した。



『創世記の始まり、光あれ。 我々が世界を制するのだ』



と送信された。

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