見出し画像

カナメモチ

 生垣などによく利用される、葉がツルツルしている植物をカナメモチという。私の住んでいるアパートには1階部分にカナメモチが植えられていて、部屋の中が見えないようにする目隠しの役割をしてくれている。若い葉は赤くて綺麗だし、少し時が経つとそれが緑になって、少しやんちゃ盛りは過ぎたのかなと思う。
 このカナメモチは5月から6月ころ花が咲くのだが、我が家のカナメモチは花が咲かない。年に一度大家さんが庭師さんに頼んでカナメモチの剪定をしてもらうのだが、それで花芽がなくなってしまうのではないかなと思っている。その方が葉が出るし、そうすれば庭木としての本業である目隠しの役割を全うできるから、庭師さんも敢えて切っているのだろう。
 この時期になると、庭木としての役割を全うしているカナメモチと、思い思いにのびのび育っているカナメモチが、花の有無によって見分けられるかもしれない。道を歩いているとたまに真っ白な花束を目一杯抱えたカナメモチがいる。この家のカナメモチは放任主義でのびのび育っているのだなと思いながら花に近づく。むせ返るような濃い匂いがする。それこそ木の緑を覆い隠すほどに白い花が咲く。そして短い間に花は終わってしまう。

気に入っていただけたらサポートお願いします。いただいたサポートは子供のオムツ代にさせていただきます。