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夜のリアリズム

・春になろうとしていたのにまた冬がしゃしゃり出てきたな


・昨日は久しぶりにバスを一本遅らせて夕飯を食べてから帰宅したのだけれど、北風に吹かれながら歩いていたせいか家に着くまでに体が大分冷えてしまった。

・このままだと風邪を引きかねないし、布団に潜ったところで眠れるわけがないなと思い、ストーブの前に陣取ってミルクコーヒーにはちみつを入れたものをちびちび飲みながら体を温める。ぼーっとしながらYouTubeの動画をみたりしていると気がつけば23時を過ぎていた。水面下の眠気がゆらりゆらりと波打ち始めるのを感じて急いでシャワーを浴びるために浴室へ行く。

・リビングから一歩外に出ると寒い。さっきまでぬくぬくとしていた体がまた冷えていくのを感じながら急いで浴室に温風を入れ、シャワーで床を温めて蒸気で室内の温度を上げる。最初にこうしておかないと浴室の寒さで体中の毛穴が総立ちになってしまう。

・日付が変わる前には布団に入る事を目標にして急いで頭と体を洗う。髪の毛をシャンプーで泡まみれにしながら、本来は仕事が終わった後はどこにも寄らずにさっさと帰宅して、風呂に入ってさっさと寝るつもりだった事を思い出す。打首獄門同好会の楽曲『フローネル』の世界観よろしくそんな事を考えていたのだ。

・シャワーを終えてスキンケアをしていると眠気が強くなっている。早く髪を乾かさないと布団に潜ることができない。億劫で面倒で溜息が出る。SNSの名言で「風呂に入るまでは面倒だけど風呂に入って後悔した人はいない」というのがあるけれど、ドライヤーは面倒だろといつも思う。髪を乾かさずに寝たら枕が濡れるし次の日に寝ぐせでバリバリになって後悔するだろ。風呂に入った時よりも風呂から出た後の方が労力を使う。この部分に「面倒と後悔」が凝縮されてるよなと思いながら髪を乾かした。名もない家事ならぬ名もない面倒が生活にはそこかしこに散らばっている。

・のそのそと布団に潜り込んでぬくぬくとSNSを見る。猫がタイムラインに大量に押し寄せている。猫祭(ねこさい)だ。柔らかくてしなやかでふわふわの猫の腹に顔を埋めておもいっきり息を吸い込みたい。そう考えているうちに瞼が重たくなって温かな布団に包まっていつの間にか目を閉じている。ふと、帰りにコンビニで買ったシュークリームが冷蔵庫に入っている事を思い出して少し嬉しくなったまま眠りに落ちる


・だいたい昨日はそんなありきたりな夜を過ごした


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