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日本でスタンダップコメディが流行らないのは何故か

 私は、お笑いが好きだ。そして、政治や社会問題に関心がある「意識高い系」の人間だ。ただ、この2つを満たす人は日本にはあまりいない。いや、いるのかもしれないが、それを楽しむ場面があまりにも少なすぎる。私は、お笑いのネタはもちろんのこと、水曜日のダウンタウン、ゴッドタンやアメトーーク!も大好きだ。そして、Netflixで海外のスタンダップコメディを見るのも好きだ。しかし、Netflixを見ると残念に思うことがある。海外のスタンダップコメディアンがたくさんいるのに、日本のスタンダップコメディアンが全然いないことだ。社会風刺やスタンダップコメディをやりたい芸人はいるのに、できる環境が少なすぎることを非常に残念に思っている。たまに村本大輔さんのライブを見に行くが、それも村本さんが小さなカフェで主催している自主イベントが多い。

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 去年、単独ライブのゲストに評論家の宇野常寛さんをお招きした。宇野さんは、どのジャンルでも話せる人だが、専門は文化批評だ。宇野さんは社会風刺をやっている私に対して、「社会風刺をできる環境を作れなかった我々が反省すべき。こうやって持ち出しでやらざるおえない彼女を全力で応援すべき」というような趣旨のコメントを最初にお話してくださって、泣きそうになった。やっぱり辛いですよ。若い女の子が一人。お笑いファンの方にも、白い目で見られている気がするし、孤独でいっぱいだった。社会風刺をずっとやりたかった。でも、やる勇気がなかった。ここに踏み出したら、あどけない私もお嬢様芸人で得たものも全て失う気がしたからだ。でも、私は一歩踏み出した。単独ライブで、お嬢様ネタを封印し、社会風刺のみのライブをはじめた。それが今年の2月のことだった。

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 そんな中、昔ニッポン放送でオールナイトニッポン0をやっていたときのスタッフさんから連絡が来る。「スタンダップコメディをやってみないか」という趣旨のメールだった。スタンダップコメディ協会の公演に出てほしいという旨だった。今年の8月に連絡が来て、12月30日の公演に出て欲しいという…。4ヶ月後のスケジュールを正直きりたくなかった。でも、夏休みも取らずに仕事をしてきたので、思いっきって休暇を申請し、挑戦することにした。

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(20歳の時のオールナイトニッポン担当時)

 日本の土壌はまだまだ少ないが、スタンダップコメディをやっている先輩芸人さんがいらっしゃる。清水宏さんと、ぜんじろうさんだ。どうやら、この協会は、このお二人が主導となり、日本にスタンダップコメディを広めるために活動をしているようだ。お二人とも海外での公演経験がおありだ。ライブにご招待いただくと驚いた。新宿にある紀伊國屋ホールという大きな劇場が完売、満席だった。春風亭昇太さんがお着物を着ているのに、立って舞台を大きく使って、笑いをかっさらう。新鮮だった。そして、清水さんのパワーに驚いた。私は「人」が見えて、めちゃくちゃ感動した。普段よくやっているテレビサイズのネタをおろす1組の持ち時間が3分のネタライブでは、あまり人柄が伝わることは少ない。天然やお嬢様というキャラは伝わったりしても、温度というのか、人柄というものか、物の見方というものが伝わってくることは少ない。清水さんの話には、いろんな登場人物がいたけど、この人のことを清水さんは好きなんだろうなぁとかそういうのが伝わってきた。エネルギーもすごかった。政治のことをやってもお客さんがついてきてくれる。大人のお客さんが多かったから、その人の思想というものを理解した上で、笑いが積み上がる感じがした。「あそこに立ちたい」という芸人がいいものを見たら、必ず陥る魔法にすっかりかかっていた。その後、またライブにご招待いただいた。三浦マイルドさんと、ダースレイダーさんが出ていらっしゃった。三浦マイルドさんは私が大尊敬している、面白い先輩なので、もちろん存じ上げていましたが、ダースレイダーさんに感動。芸人ではなく、ヒッポホップをやっているらしく、この日初めてとおっしゃっていたが、めちゃくちゃ面白く、社会風刺の申し子というような嫌味で切れ味が鋭く、見た目からは程遠い知性だった。めちゃくちゃ笑ったのと同時に、悔しいという気持ちが押し寄せてきた。打ち上げにお誘いいただいたが、なんだか怖くて、こんなにできない自分が情けなくなりそうで、嘘をついて私は帰った。そこから重圧。やるなら、ちゃんとやらなきゃ。20分話すだけなら全然できる。心が動かされるネタを作りたい。そして、パッチワークみたいなつぎはぎのネタじゃなくて、1本のストーリー仕立てのネタを作ろうと決意。

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 ネタをどんどん書き進めるものの不安が押し寄せる。思い切って、清水さんに「ネタを見てください」とお願いしてみた。清水さんは快くお引き受けくださった。平日は私も本業がありなかなか時間がとれないので、私の事務所に土曜日の朝に御足労してくださり、アドバイスをくださった。ただ、私の表現力、そして何より時間のかけ方が足りなかった。私は悔しかった。そして、こんな大先輩に申し訳なかった。でも、そこで、私は新しい重要な気付きをたくさん得た。ピン芸人だと一人で考え込むので、気づかないことも多いが、こうやってネタをつめるのかという点や、清水さんの芸人としてのこだわりや技術をたくさん教えていただき勉強になった。私にはもっていないものをたくさんお持ちなので、この武器が身についたら、私は次のステージにいけるなと思った。そして、ちょっと弱音を吐くと、清水さんが褒めてくださりモチベーションをめちゃくちゃあげてくださった。面白いだけじゃなくて、いい人でもあるんだなぁ。素敵すぎる。そこから自分の過去のコントを見返すと、もったいないと思うことが多くなった。もっとこうやったら笑いが膨らむのにと。

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 そして、実際に今日舞台にたった。笑いはたくさんあった。手応えもあった。かなり、今までとネタの作り方、練習のやり方も変えた。新しい自分に出会えた。この3年間は、会社の経営が忙しく、芸人としてものすごくもったいないことをした。歯痒かった。でも、私の世の中に対する視座が深まり、そしてそれをネタに落とし込み、表現力をこうして高める機会をいただき、確実に自分が目指した姿に近づいた。ネタから離れたからできたのかもしれない。一番嬉しかったのはライブのエンディングで、「スタンダップコメディをまたやりたいです」と言ったときに、割れんばかりの拍手をいただいたことだ。あの熱気は嬉しかった。

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 社会風刺をやりたいという志は高校生の時からあった。でも、どうしていいかわからなかった。日本では土壌がなかった。でも、ニッポン放送というラジオをきいている大人のお客さん、海外でのご経験がある先輩方が牽引してくださり、このスタンダップコメディの輪が広がるのではないかと期待している。日本は、経済的にも国際的にも政治的にも流暢なことを言えなくなっていると私は感じている。だから、今の時代こそ、スタンダップコメディや社会風刺が求められているのではないかと日々思う。

 ニッポン放送で、右も左もわからず、お嬢様芸人としてオールナイトニッポンのパーソナリティをやって、1クールで番組が終わってしまったことも、今となってはいい経験かもしれない。あの時がなければ今はないし、オールナイトニッポン0をできたのも実は、宇野常寛さんのオールナイトニッポン0の構成作家見習いを大学生の時にやらせていただいたご縁もあるので、全部に全力投球していてよかった。そういえば、村本さんと出会ったのも、最初はオールナイトニッポン0だった。私が月曜担当、村本さんが木曜の担当だった。番組が終わってショックで泣いていたけど、今となって、ようやく受け入れられたかもしれない。 今日のライブも単独ライブも後日やって良かったと心から思えるよう全力投球します。

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(ラサール石井さん・清水宏さんと。ラサールさんはここではかけない内容でしたが、テレビの歴史を肌で感じ面白かったですし、感動しました)

 きてくださったお客様、清水宏さん、ニッポン放送のスタッフさん作家さん、ありがとうございました。また出させていただけるよう頑張ります。

 日本でスタンダップコメディが流行らない理由。それは土壌がないからだと思う。その土壌を作ってくださる皆さまに感謝しながら、土需がない、環境がないからできないなんて言わずに、できるようにコツコツと頑張ります。そして、その一歩が単独ライブです。ぜひ見にいらしてください。チケット続々と完売してきました。

第12回たかまつなな単独ライブ「検閲上等」

 政治について物が言いにくい現代社会、表現の自由が脅かされつつある現在に一石投じます。45分社会風刺に挑戦。ぜひ見にいらしてくださいませ。

https://takamatsunana12.peatix.com/view

年に1度、たかまつななの本性が現れる。
忖度なしのネタ&ガチ対談。

全ネタ、取材に基づいた社会風刺をお届けします。
ネタ終了後には、豪華ゲストとシンポジウムを開催します。

真の「お笑いジャーナリスト」となるために
どうすればいいか各界のスペシャリストと本気で作戦会議をします。
 
【公演概要】
 2020年
  2月14日(金) 19:30 池上彰 【完売】
  2月15日(土) 11:30 立川志の輔【完売】
        19:00 田村淳 【残りわずか】
  2月16日(日) 13:00 ふかわりょう 
        16:00 せやろがいおじさん【残りわずか】
https://takamatsunana12.peatix.com/view

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笑いで世直し中!お笑いジャーナリスト、株式会社 笑下村塾 取締役 芸人、起業家、YouTuber、作家、コンサル、企画屋【所属】(株)笑下村塾【著者】政治の絵本 ※個人の意見であり、所属組織、勤務先とは一切関係ありません