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上履きがないのが当たり前。たんぽぽ川村エミコさんの小中高の長すぎる“いじめ体験”と“別世界の作る”対処法

 小学生1年生から長年いじめられてきたというたんぽぽの川村エミコさん。
上履きがないのは当たり前。あだ名は「粘土」。靴の中に木工用ボンドがいっぱい入っていたことも...…。それでも、自分が好きなこと、夢中になれることを見つけて耐え抜いたそうです。そんな川村さんが、いじめをどう捉えていたのか、辛かった時期の心の支え、いじめている子、いじめられている子へのメッセージをたかまつななが伺いました。

https://www.youtube.com/watch?v=UqwKFTgWhP8&list=PLGIs2lskpIl1kYBQqTgOGBMe7Hl900JWD&index=3

いじめがはじまったのは小学校1年生。きっかけは先生のひと言

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ーーーたんぽぽの川村エミコさんにお越しいただきました!

川村:どうも。小学生の頃のあだ名、粘土でした。川村です。

ーーー川村さんご自身もいじめられていた経験をお持ちなんですか?

川村:あります。小学生1年生のときは、うわばきが同じ場所に入っていたことがないです。今日はどこかな?って。靴の中に木工用ボンドがいっぱい入っていたことがあります。誰がいじめていたのかも、未だにわからないですね。

ーーーひどいですね...何か原因は何かあったんですか?

川村:すっごく暗かったっていうのもありますね。それから私、猫背だったんですよね。子どもにちょっかい出したり、いじったりする先生がいたのですが、その人に小学校の長い定規背中に入れられたんです。ちゃんと背筋伸ばしなさいって。それで定規が小学校のときに着ていた下着のスリップに引っかかって、ビヨーンて飛んだんです。それから先生や同級生から「ジャンプ台」って呼ばれるようになったのですが、多分それがいじめのきっかけだと思います。

ーーー先生もどうかしていますよね。

川村:盛り上げようとしたんでしょう。でも今まで誰がやったか追及しようとも思ったことないし、晒し者にしてやろうとも思ったことないです。

小学生のときの塾、転校先の中学校。ずっと続くいじめのループ

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川村:学校だけではなく、塾でも仲間外れにされていて辛かったです。そんなとき、他の子のお母さんが私のいじめに気付いて、お母さんたちがいじめをしている娘さんたちを怒ったんです。そうしたらエスカレートしました。塾での時間が辛くなるわけですよ。
その後、中学のとき、横浜から少し田舎の三浦市に引っ越したんです。引っ越したタイミングが入学式だったんですよ。でも公立中学だったからA小学校出身、B小学校出身って集まっているじゃない。でも私は転入生。どちらの出身グループにも入れず、ポツンスタートなの。

ーーーきついですね。

川村:なので、この記事を親御さんが見ていたら、転校生はやっぱり転校生と分かるように引っ越しさせてほしいと思います。時期をずらして始業式3日後とかでいいです。あと、都会から来たので、勉強もちょっとできたんです。それが気に食わなかったようで、最初にあったいじめでは、バカ、死ね、アホとかいっぱい書いた紙が机の横にかけていた巾着袋に入っていました。すぐにやった子が分かったんですが、かわいそうだなと思って見ていました。けっこう大人な考え方でしたね。


「謝ってほしい」。相手に直接言ったことで、いじめがやんだこともあった

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ーーーいじめている子のことをどう思いますか?

川村:すぐにやった子が分かることもありました。でもかわいそうだなと思って、いじめている人って。けっこう大人な考え方をしていました。だって無意味じゃないですか、いじめなんてなんにもならないし、死ぬとき後悔するのはお前だよって思うタチなんです。でも、謝ってほしいって言いに行きました、中1のとき。

ーーー相手はなんと言ったんですか?

川村:ごめんなさいと言いました。反省した感じはなかったけど、別に謝ってもらえばいいやって思っていたから、いいよって言ったら、変な苦虫を噛んだみたいな顔をしていました。

ーーーその後、いじめはなくなったんですか?

川村:なくなりました。


先生は助けてくれない。なぜか理不尽に叱られた経験も

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ーーー友だちやまわりの大人は助けてくれなかったんですか?

川村:NHKの番組でも話しましたが、中学のとき、短歌を書くことになって、私がみんなの短歌を代わりに書かされたんですよ。そしたら先生にバレて、私が怒られたんです。国語の先生に「あいつらが死ねって言ったらお前は死ぬのか」っ言われて、「えっ」って。いや私、みんなに書かされたのに、断れなかったのにって……。

ーーーめちゃくちゃ理不尽ですね。

川村:理不尽だと思いました。立場って関係ないって思いました。先生・生徒と関係なく、いい人はいい人だし、人の気持ち考えられない人は考えられないと、そのとき学びました。


心の根っこにあった、「悪いことしていない」「ひとりで生きていく」という思い

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ーーーそれにしても、川村さんは、本当に強い子だったのですね。

川村:私は、女子のよくあるAグループに行ったらBグループの悪口言う、Bグループ行ったらAグループの悪口言うみたいな、そういうのは嫌だったんです。だからそういう意味では強かったのかもしれないですね。それに、わたしは“悪いことしてないから”って思っていました。

ーーー何を心の拠りどころにしていたんですか?小学校1年生からいじめられているって相当きついですよね。

川村:友だちと仲良くできたわけじゃないけど、お習字、水泳、ピアノと別の世界があることで気が紛れていたんだと思います、今、考えてみると。

ーーーコミュニティが複数あるのは、すごく大事ですよね。子どもって学校と家の往復ということが多いので、習い事があるのは大きいですね。

川村:学校だけが世界じゃないんだってことを分かっていたから、ちょっと楽だったっていうのはあるかもしれないですね。

ーーー学校での心の拠りどころは何かありましたか?

川村:休み時間とかはずっとノートに硬めの鉛筆で真っ黒に塗ったり、パラパラ漫画を描いたりしていました。それから、ストップウォッチが好きで、ストップウォッチで時間を測っていたり。チャイムが鳴ってから先生が教室まで来るまでの時間を測って、下二桁がゾロ目だったりとかしたら、よしみたいな。その当時の写真を見ると、笑ってないんだけど絶対ストップウォッチ着けたりするの。

ーーー学校に行きたくないとは思わなかったんですか?

川村:私はノート貸してって言うのも、見せてって言うのも嫌だった。だからマジで一生懸命通っていました。中学とか高校とか、遅刻はあったかもしれないけど、多分ほぼほぼ皆勤賞ですね。自分で生きていく、一人で生きていくみたいなのがすごく強くありました。だから強かったのかもしれない。


いじめた子の「いじめていた事実」は一生、消えない


ーーーいじめていた子のことはどう思いますか?

川村:いじめていた過去って本人は忘れている気がします。いじめていた本人からFacebookとかで友達申請とか来るんですよ、え、覚えてないんだって……。でもそういう人もあの人いじめていたよねって、まわりの人が絶対覚えているので、やってしまった事実は消えないと思うんです。

ーーー確かにいじめていた人と仲良くしたくないですもんね、普通。今、いじめている子に対して言いたいことはありますか?いじめている子のケアをしないといじめはなくならない、という意見もあります。

川村:それは、出演した番組で先生が仰っていましたね。かまってほしい、自分のことを見てほしいので、いじめていると。いじめている子は、図書館に行って本をたくさん読んでほしいなと思います。本の想像力は人生を豊かにするので、生活環境が大変だったりする子も、相手の気持を考えるってなれると思います。

ーーーいじめてる子・いじめられてる子におすすめの本は?

川村:「日本昔ばなし」かな。いいことをした人はいいことが起こる、悪いことをした人は悪いことが起こる話だけでなく、自己犠牲、無限の愛、摩訶不思議・ファンタジーの話、おどろおどろしい話もたくさんあります。
私が好きなのは「蛇女房」。蛇が人になって子どもを授かるんですけど、貧しくて育てられなくて、自分の目を飴玉として与えるんです。でも、目玉1つでは足りなくて、2つ目も飴玉にしてしまう。すると、親はもう子どもの姿を見ることができない。成長した息子はお母さんのためにと、時間を知らせる鐘つきになる。
そんな献身的な話が「日本昔ばなし」に入っている。ぜひ読んでみてほしいですね。


顔色をうかがう、仲良くなるのに時間が必要。今もいじめの影響は残る

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ーーーいじめられたことが、大人になった今でも影響していると思いますか?

川村:人の顔色をすごく伺いますよね。嫌われたくない願望がすごく強い。

ーーー昔のような経験をしたくないんですね。

川村:そう、同じ目にあいたくないんです。でも、振り切っちゃうと、あえて嫌われるようなことをして、離れたい人から離れることもあるので、ややこしいんですけど。
あと、気を使いすぎて、仲良くなるのに時間がかかったり……。仲良くなるにはこちらがオープンになる必要があるから、すごく相手も顔を見て、時間がかかりますね。

ーーー川村さんはすごいフレンドリーなイメージあるので驚きました。

川村:中心部分はネガティブの塊、ネガティブモンスターですよ。それをポジティブでコーティングしてる感じ。あと、変換して話している。

ーーー変換するってどんな感じでしょうか?

川村:相手を仲良しの人だと思うんです。私、仲の良いヨシミさんという人がいるんですけど、みんなヨシミさんだと思えば自分もリラックスして話せる。番組で話すにしても、全員がヨシミさんだと思うと、気を許して話せる。自分の攻略法、リラックス方法、楽しくできる方法として、『全員ヨシミさん』があります。

ーーー今もそうなんですか?

川村:今も緊張しいですね。それはなおらない。

ーーー芸歴も長いじゃないですか!

川村:関係ないですね。舞台も「出ちゃえば平気」「しょうがない」「行ったれ!」となるんですが、その前は超緊張しいです。なおらない。これは、やっぱりいじめられた経験があるからなのかな。


いじりといじめ。その境界線は芸人になった今でも「難しい」

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ーーー川村さんは、“巨乳”や“ブス”とすごくいじられてるイメージがありますが、どう思っていらっしゃいますか?

川村:私としては、本当のこと言ってくれてありがとうって感じよ。私、世間の人は内心、思ってるのに言わないって思って生きてきたの。小学校のときから、「おはよう」と言われても、「(ブスのくせに)おはよう」って思われているって。

ーーーむちゃくちゃわかります。

川村:でも、「今はそういうのはやめましょう」「オブラートに包みましょう」という流れでしょう。わかります。そのほうがみんな穏やかだし。ただ、それを心の底から、芯から思えてますか? と。どんなに幼くても人って比べるところから始まると思うんです。

もちろん、黒と白、はっきり言わないほうがいい、それはすごくわかります。でも何がなんでも絶対ダメなのかな……。時と場合、どこかにゆるさがあったら生きやすいのにと思います。たとえば飲み会で「おいブス!」「うるせえ!」というやりとりでも、そこに愛があればいいなと思うし。

ーーーこの区別ってすごい難しいですよね。小学校の話だと、先生のジャンプ台というひと言がきっかけになったわけじゃないですか。しかも発言主は絶対に悪気がない。それが怖いなと思います。

川村:私、ブスと言われることは全然嫌じゃなくて、本当のことを言われて、それが笑いになるって素敵だと思ってるんです。逆に思っているのに言われないほうが嫌なんですよ。心でつながりたいし。

ーーーお笑い芸人って自分のマイナスを武器にできるのがいいですよね。

川村:そうね。「中学のとき暗かった芸人」のオンエア後、駅で視聴者の方から声をかけられて、『「川村さんが頑張っているから私も頑張る」とうちの子供が言っていたんです。』と声を掛けていただいて、明るく話せてよかったと思いました。今、いじめられている人も、いつか明るく話せる日が来たらいいなと思います。それこそ「自分のイスが学校に行ったらなくてさって、どこあったと思う? トイレなんだよ」なんて、笑って話せる日が来たら……と願うばかりです。今はそんな考えられないでしょうけど……。
でも、いじめてた人はいじめていた話を話せる日なんて一生、来ない。そこで悩んでるなら、今すぐいじめをやめてほしいですね。


いじめは乗り越えなくてもいい。自分の好きなものに夢中になって

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川村:ほんと難しいですね。人と比べることは避けられない。だから、どこかで「私はこういう人間」という自己肯定になればいいと思うんです。

たとえば、1つの例として、私は何が好きと書き出してみるのもいいかな。朝ごはんはこれが好き、卵は目玉焼きがいい、ゆで卵がいい、毎日いろいろ食べたいタイプなど。なんでもいいんです。エスカレーターではなく階段上りたい、とか。私ってこういう人なんだっていうのが分かると、好きなもの、興味につながっていくでしょう。

ーーー最後にいじめられている子にひと言、お願いします。

川村:今、いじめに悩んでいる皆さん、悩んでいる、つらいことがある、言いたいことがあったら、私にお手紙ください。聞くことしかできませんが、聞きますので。

あくまで私の意見なんですけども、大人になるとそんなことどうでもいいよって思う。糧になることもある。あと、いい人がいっぱいいるんですよ。
だから本当につらいと思ういますが、耐えてほしい。私は乗り越えたのではなく、好きなものを見つけて夢中になっていたタイプなので、夢中になれることがあるといいです。好きなことだったら、ひとつでもいい。電車、虫、車。なんでもいいんです。

それと勉強は世界が広がるきっかけになります。本を読んでおく、勉強をしておくことが、将来の力になります。今は生き方が自由なので、何がどう転がるか分からない。興味や勉強が挑戦のきっかけになると思うんです。
凝り固まる必要はありません。私もリアクション芸を求められるとは思っていませんでした。でも、一歩踏み出すと、次につながります。あとは本当に聞くことしかできないので、ぜひお手紙をください。応援しています。以上。


ーーー子どもが命を落としてしまうってことは、非常に悲しいことです。そうなる前に、川村さんにお手紙を書いたり、この動画を見たり、動画シェアしていただけるとうれしいです。本日はたんぽぽの川村さんにご出演いただきました。ありがとうございました。


<編集後記>

小学校1年生からたくさんのつらいこと、苦しいことを経験してきた川村さん。いじめについて、「乗り越えなくてもいい」「好きなことが支えになる」「好きなことを書き出してみよう」と、たくさんのアドバイスをくださいました。そのうちどれか1つでも、今、つらいあなたのヒントになればいいな、心からそう願っています。

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