ダイエットの基礎知識と実践のための具体的な行動プラン

ダイエットに関する情報は様々なものが出回っている一方で、具体的な行動に落とし込み生活に取り入れるための方法はあまり語られていないように感じます。

そのため知識にたどり着くことが出来ても実践まで至らずダイエットに挫折する人が多いのではないでしょうか。

この記事ではダイエットを成功させるための最低限必要な知識とともにそれを実践するための具体的な行動まで紹介していきます。

最低限の基礎知識

ダイエットを成功させるための最低限必要な知識を以下の3点に絞って解説します。

1.カロリー収支
2.PFCバランス
3.回数、タイミング、分配

1.カロリー収支
ダイエットにおける最優先事項はカロリー収支の調整です。

(摂取カロリー) - (消費カロリー) = (体重の増減)

上に表した通り、摂取カロリーが消費カロリーを上回れば体重が増加し、逆であれば減少するはずです。

ダイエット(体重減少)したい場合は摂取カロリーを消費カロリーより小さくしようとしたり、消費カロリーを摂取カロリーより大きくしようとしたりするわけです。

しかしカロリー収支だけに注目してダイエットするのは危険です。

消化管は口から肛門までひと続きなので人間の身体の外側と見なすことが出来ます。水分の出入り、腸内環境など様々な要因の影響を受け、カロリー収支通りの体重の変化が起きないこともあります。

またカロリー収支はあくまでも量的な面だけに注目した数値であり、人間がカロリーを得るPFC(P:タンパク質、F:脂質、C:糖質)の割合や種類は無視してしまっています。カロリーの内訳もカロリー収支通りの体重の変化が起きない原因になり得ます。

そもそも、摂取カロリー、消費カロリーのどちらも正確に測ることは出来ませんから、あくまで行動の指針として利用しましょう。

2.PFCバランス
次に重要なのがPFCバランスです。古今東西様々なダイエット方が考案されてきた中で現在効果があるとされているのは

・低脂肪ダイエット
・低糖質ダイエット(ケトジェニックダイエット)

の二つです。

低糖質ダイエットは流行りのダイエットなので耳にしたことがある人もいるかもしれませんが、難易度が高く、経済的な負担が大きく、長期では健康面のリスクがあるという意見もありますので、ここでは低脂肪ダイエットを扱います。

低脂肪ダイエットでの一般的なPFCバランスを調べると大体以下のような数字が出てきます。

P: 27% F: 15% C: 58%

筋肉を始め、身体の様々な部位の材料となるタンパク質は十分な量、脂肪はホルモンの材料となったり体調を整える役割もあるので脂肪蓄積に繋がらない程度に最低限、糖質は1日活動するためのエネルギーとして十分な量というのが大体上の数字になります。

PFC自体も避けるべき脂質、ある程度は摂るべき脂質のように更に細分化することが出来ますが、ここではPFCバランスが重要だということが理解できていれば問題ありません。具体的な量の調整方法も後半で解説します。

3.回数、タイミング、分配
ここまで紹介したカロリー収支、PFCバランスでダイエットの成否は9割決まると言っても過言ではありません。

ですが、カロリー収支、PFCバランスに注意して決めた食事メニューの効果を最大限発揮するためにはそれを食べる回数、タイミング、分配を気にすることも大切です。

1日で同じ量の糖質を摂るとしても回数を分けて細かく摂った方が血糖値の急激な変化を避けられるので太りにくくなります。

タンパク質は身体の材料なので1日通して必要ですが、糖質はエネルギー源なので活動の量に合わせて昼間は多め、夜は少なめにした方がいいでしょう。

また起床時や運動後など食べたものが脂肪になりにくいタイミングに糖質を集中させることも効果的です。

食事の回数、タイミング、分配も大切ではありますが、あくまでもダイエットの成否をわけるのはほぼカロリー収支とPFCバランスです。ダイエットがうまくいかない時はそれらから見直すべきです。

具体的な行動へ

ここからは、以上の最低限の知識を実践していくための具体的な行動方法を書いていきます。

タンパク質

まずはタンパク質の量を決定します。タンパク質は体重1kgあたり1.6~2.0g/日摂る必要があるとよく言われますが、そもそも体重自体ダイエットの過程で変化するので、(現在の体重) - 5kgまたはダイエットの目標体重のうち重い方を基準に決定するのがいいでしょう。

例:現在の体重65kg 目標体重60kg タンパク質96~120g/日

目標体重に達してもまだダイエットを継続する場合は更に-5kgした体重を基準にタンパク質の量を決めるのがいいでしょう。

タンパク質を摂るために利用する食材は脂肪が少なく、調理がしやすく、安価な鶏むね肉を中心に使います。

皮なしの鶏むね肉の100gあたりのタンパク質量は約25gです。仮に一日に100gタンパク質を摂るとすると、鶏むね肉だけだと400g必要になります。

調理方法
低温調理器を使った鶏むね肉の大量に美味しく調理する方法を紹介します。

準備するもの
・鶏むね肉(一週間分)
・低温調理器
・まな板、包丁
スケール
・プラスチック製の米びつ
・食品保存バッグ(ジップロック的なもの)
・調味料(こちらのページが参考になります。https://www.sbdapparel.jp/contents/202101/3877)

1 鶏むね肉を一口大に切り、いくつかの食品保存バッグに調味料とともに入れる。
2 米びつに食品保存バッグとそれが浸かる量の水を入れる。
3 低温調理器を米びつにセットし、60°Cで4時間加熱。※1~3
3 加熱終了後、食品保存バッグを冷蔵庫で保管。
4 決まった量の肉をスケールで測って食べる。

※1 細菌の繫殖を防ぐために60°Cを下回る水温での調理は避けた方が良いそうです。
※2 鶏むね肉を低温調理する方法を調べると1~1.5時間程度の加熱時間のものもありますが、一度に大量に調理するため確実に中心部まで加熱出来るよう長めの調理時間を紹介しています。個人的な経験では加熱時間を長くするよりも短くしたときの方が肉が固くなって失敗することが多いです。調理時間にアレンジを加える場合は考慮するといいかもしれません。
※3 鶏肉を加熱不足で食べると食中毒等のリスクがあります。調理の温度、調理時間は安全と言える数値を紹介していますが、あくまで自己責任でお願いします。

一日3食で400gの鶏むね肉を食べるなら、朝100g 昼150g 夕150gのように重さを測って食べましょう。

鶏むね肉だけで飽きてしまったり、朝から肉を食べられないだとか時間がない場合はホエイプロテインや卵に置き換えましょう。卵を食べる場合は調理に油を使ったり、マヨネーズなどの脂質の多い調味料を使わないように注意しましょう。ケチャップなら大丈夫です。

糖質

続いては糖質の摂取量を決めます。タンパク質の量はある程度除脂肪体重で定まるのに対して、糖質の量は日中の活動量や基礎代謝によって個人差が大きいので自分にあった数字を見つけるのが難しいです。これは実際にダイエットをしながら調整していく必要がある場合が多いです。

とりあえずダイエットをスタートする糖質の量を決める方法と、ダイエットしながら適切な量を決める方法を紹介していきます。

とりあえずの糖質の量
とりあえずダイエットをスタートするための糖質の量はmyfitnesspalというアプリを使って計算するのが便利です。(iOS、android両方対応しています。)

アカウントを作ったら、身長体重、主観的な生活強度など消費カロリーを概算するための項目を入力します。

おおよそのカロリーが出たら、上で決定したタンパク質を摂取する食品を追加します。そうしたら糖質から摂取するべき残りのカロリーがわかります。

一日3食であれば、一日に摂る糖質を
朝40% 昼40% 夕20%
のように活動の多い日中中心に分配しましょう。あくまで例なので朝からたくさん食べられない人は昼にいくらか回すなどしてもいいでしょう。

ダイエット中は極力白米のみから糖質を摂取するのがお勧めです。白米は比較的血糖値の上昇が緩やかな多糖類であるでんぷんを多く含み、定量的に量を調整しやすいこともダイエットに有利です。

糖質の量の調整
上で紹介したように糖質の量を決定しても体重に変化が出ない場合は調整が必要です。

調整は以下のルールに従って行います。

・毎日同じ時間に体重を測る(排泄の前後などの条件も極力一定にする)
・同じ食事を最低1週間は続ける。(一度合理的根拠を持って決めたことを一時の気分で変えない。)
・毎週同じ曜日に体重の変化を評価して糖質の量を判断する。
・体重の変化に対して予め決めた糖質の操作を例外なく行う。
・糖質の量は一定の小さい幅(0.5合ずつ等)で変化させる。

体重増加 → 糖質減らす
体重維持 → 糖質減らす
体重減少 → 糖質維持
体重減少かつ極度の疲弊 → 糖質増やす

脂質

最後に脂質ですが、低脂肪ダイエット中は基本的には鶏むね肉や卵などに含まれる分以上は摂りません。しかし、EPA、DHAなどの必須脂肪酸は体内で合成出来ないため食品から摂取する必要があります。

片手一杯程度のクルミをおやつに食べたり、鶏むね肉や卵の代わりに青魚を定期的に食べることも可能なら取り入れましょう。オメガ3のサプリメントを摂るのもいいかもしれません。

その他
ここまでで決めた食事に加えて野菜(根菜類を除く)、納豆、汁物(味噌汁、コンソメスープ)などを摂るとビタミンミネラルなどの栄養素も摂ることが出来るだけでなく食事としての満足度も高まり、ダイエットがより継続しやすくなるでしょう。


ダイエットを成功させるためのマインドセット

僕の考えるダイエットのゴールは「自分専用のダイエット食」を見つけることです。それが見つかればいつでも確実にダイエットが可能になり、ダイエットしていない時でもダイエット食をベースに健康的に過ごすことが出来ます。

またダイエットを繰り返すごとに「自分専用のダイエット食」がアップデートされてより効率良く脂肪を落とせてより美味しくなり、ダイエットがどんどん楽になっていきます。「自分専用のダイエット食」はこれさえ食べておけば確実にダイエットが出来るというものですからそれを見つけるには徹底的にやる必要があります。

一度正しいやり方を見つけてしまえば、どの程度逸脱してもいいのか感覚が掴めてきますから大変なのは最初だけだと思ってやってみましょう。

合理的な判断のために


誰もがダイエットでは「体重計」と「鏡」の二つの道具使って成果を評価しますが、合理的な判断をするために両者の違いを明確に知っておく必要があります。

まず、体重計から得られるのはテキストデータですが、鏡から得られるのは画像・映像データです。言うまでもなく圧倒的な情報量の差があります。

次に、体重計から得られる情報は客観的であるのに対して、鏡から得られる情報は主観的なフィルターがかかるという違いがあります。体重計が示す数値と違って、鏡に映る自分の姿は光の当て具合を変えて映り方を変えたり、自分次第で好きなように解釈することが出来ます。

人間の心は弱いので鏡だけに頼ればダイエットはほぼ失敗します(自分では成功したと思ってることはありそうですが)。最終的には見た目(鏡に映る姿)が重要ですが、まずは体重計の見せる現実に正面から向き合うことが重要です。

ダイエットに限らず様々な分野での初心者の失敗の多くは勝手なアレンジが原因なのではないでしょうか。自分の少ない経験を振り返ってみても無自覚なアレンジを修正していくことが進歩であったと感じることもあります。

思うように体重が減らないと何かしら言い訳を作って自分を特別扱いしたくなるかもしれませんが、淡々とやるべきことをやりましょう。ダイエットに必要なのは強い決意ではなく合理的な判断です。

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