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職人と料理人の違い

先日来店のお客様から『まるで一歩間違えれば落ちてしまう綱渡りのような絶妙な芸当』と言われた。
この言葉は僕が職人として生きる為に常に思い、ギリギリを攻める職人心を感じ汲み取ってくださるこの上ない言葉だった‼︎


ギリギリを攻めるから1mmでもズレた時の反省は多いのだけれど、そこを攻めるからこそ職人で居る価値があると僕は思う。

自分らしさを表現する為に料理人(職人)になったし、常にギリギリを攻める‼︎

昨今のシンプルこそ正解みたいな風潮もチャレンジ精神や個性を殺してしまう危険な言葉だと思う。
素人や料理を知らない未熟な若い子が、シンプルな料理こそが引き算なんだ!なんてなっていたらそれこそが間違い。
そもそも引き算の料理がシンプルではないし、引き算が出来る様になるには、膨大な経験を積み足し算を繰り返して繰り返して食材、料理を理解してなければ出来る事はない訳だ。

そして料理人、職人になろうと思った時に恐らくほとんどの人が自分と言う個性を表現しようと思ってチャレンジしただろう、それがいつのまにか周りに流され個性ではなく評価されたいに変わってしまう人が多い。

星を取ることが間違いとは思わないし、お金儲けがダメだなんても思わない、僕にはできないから。
自分を都合よくその時々で美化して表現する事がその仕事に真摯に向き合っている方達に失礼だから嫌いなだけだ。
前にも話したが、パトロンに資金を出してもらって表向きはオーナー風になることもダメなんて思わない、ただその時点でその人は一、雇われのコックになるんだという事。そしてその人の言動の価値は低くなる。
そして絶対に言ってほしくない言葉と立場がある!それが、職人という言葉だ‼︎

職人とは、自分でケツを拭ける範囲で、自分の表現をする事。言動全てがその本人の価値であり自由である事。そしてその仕事を頑なに追い求める事である。職人と料理人は違う。

パトロンに雇われて金儲けをしようが僕にはなんの関係もない。
僕が人生かけて次世代に遺せるように必死に日々を過ごしている大切な仕事を自我だけの営利や名誉の為の道具にはしてほしくないのだ。

そしてそれを周りのお客様が囃し立てたりする事が、グルメだと言っている人達が本当のグルメではないと思う理由。
グルメだというならば食を大切に料理人も育ててほしいから、
お客様も一緒にならなければできない。
それは、店側がお客様も育てなければできないし、お客様も店を育てなければできないこと、
美味しいからいい、有名だからいい、映えるからいい、その視点を少し変えるだけで、今後の料理界、料理人、食文化が大きく変わるその一助を持っている責任を感じてほしい。
環境、人は、一言で変わる。

愛のある指摘を。

そして、美味しい料理を求めているグルメという人たちよ、美味しい料理を求めるなら、星やトップ50とかが味と比例してない店が多いのもご存知なはず、だったらもっと美味しいを追い求めていてまだまだ日の目を見ない料理人にも目を向けて評価してあげてほしい。

#食は心を育てるもの
#礼節の学び場
#今のままでは日本の食文化レストラン料理人が育たない

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