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マカランド・デシュパンデの出番はコスパ◎

『Guzaarish』(2010年)はリティク・ローシャンとアイシュワリヤー・ラーイ・バッチャン主演のヒンディー映画。
 マジック中の事故が原因で四肢麻痺となった元マジシャンのDJとその介護をする看護師の物語で、安楽死という重いテーマながら古いヨーロッパ映画のような美しい映像で綴られる、静かに流れる時間が目に見えるような作品。
 そこに飛び込んでくるノイズとして、我が推しマカランド・デシュパンデが出演している。
 役はアイシュワリヤー演じる看護師のDV夫。主人公の寝室までズカズカと乗り込み、力尽くで妻を連れ帰ろうとする。抵抗する妻を容赦なく何度も引っぱたき、引きずって帰る。めっちゃムカつく、ホンマ嫌な奴。人んちの庭の池に煙草の吸殻捨てんじゃねえ!(でも好き💖)(わかったからちょっと黙ろうか)

 ところで私はマカランドの熱狂的ファンなので四方八方のwikiやバイオグラフィーを読み漁っているわけだが、その中のひとつにこう書いてある。
「好きな女優:アイシュワリヤー・ラーイ」
 好 き な 女 優 は ア イ シ ュ ワ リ ヤ ー・ラ ー イ!
 皆さん、想像してみて欲しい。あなたが俳優だったとして、好きな女優を訊かれて真っ先に名前を挙げるほどの有名スター女優さんの夫役を演じることになったとしたら……もし私だったら絶対嬉しい。ドキドキ緊張するだろうし、目の前の美しい人が撮影の間だけ自分の妻としてそこにいるなんて、それはもうオタクで言うところの尊みしかないし恐れ多いし目が合ったら心臓止まるかもしれない無理死ぬきっと死ぬ状態だろう。
 それなのに「私は彼女を愛している。彼女が必要だ」と言いながら、怯え嫌悪する目で見られて嫌がる彼女を怒鳴りつけ引っぱたく役……。
 マカランドは舞台のために長期の撮影を嫌い、自ら進んで脇役・端役・カメオ出演を好む俳優。短い出番でも印象に残る嫌われ役はオイシいとは言え、悪役稼業も楽じゃないなあ。

 6月14日からマカランドも(例によってちょっとだけ)出演した『PS2 大いなる船出』(2023年・タミル映画)が日本でも公開されることがSPACEBOXさんから発表された。
 出番は短いが、強烈なインパクトを与えるルックスをしたカラムガル族の長を演じている。
 情けない顔をしていた叔父王子マドゥランタカンの変貌ぶりは、彼の協力あってのもの。重要な役どころだし、それに相応しい存在感を示してくれたと私は思っている。

 あれもそれも、マカランドの特異なスタンス故。これを読んで興味を持っていただけたなら、是非マカランド・デシュパンデの出番にも注目してみて欲しい。
 大丈夫、どちらの映画でも出番はすぐ終わるから。クッ……。

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