青き美しき青梅

梅干し、昨年は、40kg近く漬けてしまいました。
6月になると、群馬県の北斗の森をはじめ、大分の国東半島、最終は、山形県鶴岡の梅で仕込み終了。
梅も実山椒も年1のチャレンジ。
毎年、新しい発見もあり、
「あと、何回、梅干しを漬けることができるんだろう」と思うと、
「よっしゃ、今年も頑張るぞ〜〜〜」と異様に張り切ってしまうのが初夏の悩み。

その中でも、私は完熟梅より「青梅」が梅しごとの王道ではないかと思う。
完熟梅は、それこそ、梅干し以外には楽しみ用がない。
「青梅」は、梅シロップ、梅ジャム、梅甘酒、梅煮、カリカリ梅、梅味噌、梅エキスとかなり楽しめます。
「青梅」を制すものが、真の梅名人と言えるのだ。

私が選ぶ「梅」の最低条件は、「農薬を使用しないもの」
一般的に梅は、農薬を使う回数の多い果実。10回なら可愛いもの。
10数回、それ以上もざらです。
なぜ、そんなに農薬を使うのか?というと
梅に斑点などの痛みがあったら売れない、いや仕入れてもらえないからです。梅農家にしてみれば、死活問題。
喜んで使っているわけではありません。
きゅうりや茄子などの野菜は、少しづつでも、不揃いでも「訳あり」として
購入されるようになったと感じますが。
でも、梅だけは違う。
美しさを求める傾向にある。
斑点くらいでガタガタいうな、味には影響ないんだから・・・・と何度言っても・・・キレイな梅を求める人が多いです。

北斗の森の主人は、タカコナカムラホールフードスクールの卒業生の夫婦。
梅と米の農家さん。
大抵の無農薬の梅は、美しくありません。
しかし、北斗の森の梅は、実に美人。
自然栽培だから、汚くて当たり前、無農薬だから不揃いでいいという
ことに立ち向かっている二人。
収穫はもちろん、手作業。
一番大変なのは、選別ではないかと思う。
毎年、美人の青梅が届いたときに、いつも
「あら、また選別をすごくしてくれたのね・・・・」と荷物を広げ、うるっときます。

私の青梅の仕込み大トリが「梅エキス」です。
梅シロップやカリカリ梅なんぞは、朝飯前のちょろい作業。
梅エキスは、自然療法のキングオブキング。
二日酔いに始まり、車酔い、吐き気、下痢、食中毒、偏頭痛、やる気がない時の気合い入れにまで、シャッキ〜ンとしてくれる万能薬。
2年余のコロナ禍でも、梅エキスに助けられた気がします。
ウイルスも細菌も、梅エキスの前ではイチコロだと見る。

その秘密は、梅干しにはなく、梅エキスにしか含まれない「ムメフラール」血液の質を改善を始め、私の元気の素であります。
梅肉エキス自体は黒褐色のドロドロのシロップで、青梅1kgから20g程度しか取れない貴重なもの。
それを手づくりで作るという工程が、たまらなく好き。
しかし、梅エキスを作るのは、根気と魂が必要。中途半端な心構えでは、作れません。
青梅をすりおろし、果汁を搾る。
その果汁を鍋で3時間に詰める。初めはサラッと抹茶のような緑色、それが次第に茶色になり、ドロドロに煮詰まっていく・・・・
この正統派の仕込みを、私はタカコナカムラ風、梅エキスの仕込みに行き着いたわけです。
最も、難関である青梅のすりおろしを「低速ジューサー」で代行。
ここに行き着くにも、葛藤がありました。
こんな手抜きで梅エキス様を作って良いものだろうか・・・・
こんな作りでは効果も半減するんじゃないかと・・・・・
大丈夫、すっごくいい感じの梅エキスになります。

手しごとは、手を抜いて良いことと、絶対抜いてはいけない工程がある
それに気づくにも、何年も、何回も仕込みをしてわかるものなのです。
そうでないと、人には教えることはできません。

そうして仕上げのポイントは、梅の果汁をなんで煮るか?
色々やってみた・・・・土鍋、南部鉄鍋、琺瑯、ステンレス多層鍋・・・・・と
やっぱり、一番上手くできたのは、「サラダマスター鍋」でした。
なめらかさがちゃう。

今年も、まもなく青梅講座の予定。
4月末に北斗の森を訪ね、梅の具合も下見済み。
今年も、ピカピカの美しい青梅が届きそうです。
そうそう、梅エキスは講座内の完成はありませんので、
あらかじめ了承ください。
昨年のものを、ぺろっとでお許しください。




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