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マカロニグラタンが作れるしあわせ

家に帰ると、ソファーにだらしなく座りながら息子が漫画を読んでいた。その息子に
「きょうさあ、コインパーキングに車止めて事務所に行ったんだけど、戻ってきたら車がなくてビビったんだよね!」
というと、彼は顔をこちらに向け
「は!?何言ってんの?そんなことある?」
と驚いた表情で言った。
「でしょ!私もそう思ってよく考えたら、今日はいつもと違うコインパーキングに停めてたんだよ。まじびびったわー!」
と、リュックをソファーにおろしながら言うと
「は、はあ。」と呆れた顔で言い、また漫画の世界に戻っていった。

その一部始終を見ていた娘が、ランドセルから宿題を出しながら
「おかあさんって、なんでそうなっちゃうの?」と聞いてくる。
「わかんないんだよねー。自分でも。でもまあ、あったからいいんだよ。」と答え、私は夕飯の支度をはじめる。
そして、娘の好きなマカロニグラタンを作って、今日のメニューは神ってるでしょ!というと、娘は私に抱きついて「ありがとう!」といった。駐車場を間違えたって神ってるメニューを作れたら、母としての価値は認めてもらえるみたいで安心した。

先日、里親をやっている友人の話を聞いてからこういうささいな会話や、当たり前の温かいご飯が本当は奇跡のようなことなんだと感じるようになった。私に世界中の子を救うことはできないけれど、今目の前にいる子を抱きしめ、私に関わる地域の子どもたちに「きみはきみでいいんだよ」と伝えることぐらいはしたいなと思う。

そう、コインパーキングを間違えるぐらい大したことないし、そんな大人もいるんだから子どもだってたくさん間違えたらいいんだよ。

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