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VAN LIFEはおしゃれじゃない!

今回は僕のキャンピングカー・ライフの実情を書きます。まずキャンピングカーっていう名前なんですが、日本でできた造語なんです。欧米では一般的にVanとかMotor Houseとかって言います。でも僕は単純にこの和製英語のキャンピングカーに乗りたかった。リーゼントみたいな見た目の、いわゆるキャブコンに乗りたかったんです。

乗りはじめてまず息子が気付きました。「キャンピングカー同士、すれ違う時に手を挙げるんだね」って。言われてハッとした。確かにキャブコン同士がすれ違う時、みんな笑顔で手をあげてた。僕は適当にそれに答えてたんだけど、このアクションはワンボックス型のバンコンとはやらないんで、キャブコン同士のルールっていうか、きっと自然発生的に生まれたお互いへのエールなのだろうと解釈した。それ以降、キャンピングカーとすれ違う時はおもいっきりナイスな笑顔で互いの道中の安全を祈るようにしている。

さて、以前の「キャンピングカー思ってたんと違う」でも少し書きましたが、このキャンピンガーの一番の問題というのは電源なんです。車を動かすメインのバッテリーとは別に、車内の照明、暖房、換気扇、冷蔵庫などを稼働させるための充電が必要になってくるんですが、大抵キャンピングカーには走行充電するサブバッテリーがつけられています。走れば走るほど電気が溜まる方式です。ただこのエネルギー効率が心許ない。僕のは派手に3時間も使ったらなくなってしまう、そんな程度。

そこで一晩充電すればその後何日も持つ外部充電のある施設を探すことになります。代表的なのはRVパークとオートキャンプ場(外部電源アリ)です。

"くるまの旅ナビ"というAppで近場をサーチしてピットインする感じです。RVパークはキャンピングカーのための宿泊施設で全国に点在してるんですが、いろいろあります。ある場所はただの駐車場に電源だけが付いているだけ。しかも斜めってたりして。車中泊に於いて、斜めってるっていうのはそれだけでもうイヤな点で、こっちはなるべく水平を求めてるんで困っちゃいます。後輪に木材かまして水平にして寝たりね。ひと手間かかります。かといえばある場所では温泉旅館の駐車場の一角がRVパークになっていて上質な温泉にも入れて追加オーダーで朝食まで食べられるという素敵なところもあります。値段はだいたいどこも一晩2000円。RVパークで一晩中電源コードを車にブッ刺したままにしといたらその後3日は余裕で持つ。必要な時に必要なものだけを使う。そういう省エネ心で望めば一週間くらい持ちます。

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↑ 三重の湯元 榊原館での朝食。RVパーク料金+1500円だったかな? ここはよかった。2日に一回の頻度で源泉掛け流し温泉に入ってる僕ですが、ここの温泉は素晴らしかったです。2日間お肌ツルツルでした。

場所的にヤバかったのは奈良のRVパーク。人里離れた山の中腹にポツンとRVパーク。めったに車も通らない、もちろん民家もなければ街灯すらもないエリア。ここでの夜は予想以上だった。見上げれば降ってきそうな満点の星空。両手を広げて宇宙を抱きしめたくなるような、そんな夜空。耳をすませばフクロウの声がホーホー。暗闇の中、ただただエンドレスループでフクロウの声。ホーホー。まるで絵本の中に入り込んだような、そんな夜でした。

今は少し暖かくなって嬉しい限りですが、真冬の日本を旅する中で一番のお役立ちアイテムはFFヒーターでした。室内を温風で温めるFFヒーターはスイッチをONにしてから2、3分で広い車中全体が温まるほどパワフルで5、6時間つけっぱなしにしてもあまり電気を食わない。ガソリンを燃やしてるんだけどその消費量もたいしたことなくて、翌朝ガソリンメーター見てもほぼほぼ減ってない。ただ、これがつかなくなるとコトなので、そのためにサブバッテリーの電力をゼロにしないよう気を使ってきました。

あとは寝袋。一晩中FFヒーターつけっぱだと喉が痛くなっちゃうし一酸化炭素も充満しちゃうんで、寝るときには消して寝袋に入ります。羽毛布団を車内に置くと一気に一人暮らしの部屋感が出てしまってイヤなんで、寝袋2つをジッパーで接続してダブルの大きさにして、中にフリースのインナーシュラフを入れて寝てます。朝起きたらコンパクトに収納できるし室内も広く使えて、快適です。寒い夜用に今風の湯たんぽも用意してありましたが、そいつは結局、一度も使っておりません。

ポータブルのリチウンイオンバッテリーも大活躍してます。MacBookProとiPad、iPhone、Apple Watch、GoPro、Nikonの一眼カメラや充電式のランタンなど照明系も全部これ一台で賄ってて、iPad miniとiPhoneXRのフル充電を同時にしても全体の5パーセントの消費くらい。ノーベル賞を受賞するくらいですからね、リチウム電池は本当に素晴らしいです。最近のキャンピングカーはサブバッテリー用にリチウムバッテリー2発入れてるところもありますからね。高いですけどパワフルです。今後の流れはリチウムでしょう。

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でも本来はソーラーがいいんですよ!ただしこれはエネルギー効率がまだまだ発展途上で、、。今の技術だとキャンピングカーの屋根全面ソーラーパネルにしても冷蔵庫分ぐらいしか賄えない。ブラックパネルのSHARPを始め各社しのぎを削ってますが技術革新の道のりはまだまだ遠い。でもやっぱり理想はソーラーです。いつの日か、メインもサブも全部太陽熱をエネルギーに変えて走ってるキャンピングカーに乗りたいです。それが夢です。

テクノロジーは日々進化してますからね。そこを意識してたいです。あまり自然崇拝にばかり身を寄せすぎず、テックにもアンテナを張って、なるべく快適に過ごしたいんです。”どんなときもWI-Fi”ってふざけた名前のWi-Fiを契約してるんですが、東京にいる家族とも毎日LINEの無料動画で会話してます。「今日は暗いね、バッテリー節約してるの?」なんて言われたりします。一旦、東京に戻った家族も3月にはまたキャンピングカー生活に帰ってきます。そこからはもう帰る家はありません。渋谷区の家は解約し、退路を立ちました。家族5人、この春からはキャンピングカーだけが財産です。

ヤバいですよね、家ないのw でもこれも子供たちにとっては人生の勉強。不安にその身を焦がすよりも、いつも希望の側に心を置いて強く生きることを学んでほしいなと思って。で、家を解約、と。

ただ、長男がちょっと心配かな。キレイ好きなんで。今の時代、どこいっても手を洗う文化で育ったでしょ。そういう無菌室的な育ちがね、ちょいヤワいの。例えば道の駅。車中泊の定番ですが、長男はトイレの質にこだわります。ここはキレイだから嬉しいとか、汚いからイヤだとか。まぁね、分かります。車で旅を続ける上でトイレ問題は大きいですからね。

ポータブル・トイレも車の中にあって個室になってるんですが、汚物を捨てるのが面倒なんであまり使ってないんです。暴風雨の夜に外に出れない時なんかは使ってましたけど、ほんとそん時くらい。そこかしこに道の駅はあるし、どこにでもコンビニもありますしね。

最初は僕、道の駅が嫌いでね。なんかおじさんばっかだし、ぶっきらぼうなアスファルト感がイヤで寄り付かなかった。でも熊野古道の道の駅「マンボウ」でパーっと気分が変わった。湖のほとりにあるんですけど、夜はグリーンのライトに包まれてパームツリーが幻想的に光ってて気分がいいの。で、朝起きるとその湖の周りをウォーキングして紀伊長浜駅の喫茶店まで歩いてモーニングを食べに行くの。ここ大好き!ってなって、理解したんです。道の駅もいろいろあるんだって。地元の農作物に力を入れてるところ、無機質なダンプカー兄ちゃん達の休憩場、温泉とセットになってるところ、アミューズメントや宿泊施設のあるところなど、この令和の時代、日本全国の道の駅の多様性がすごいことになってるんです。それを解説してるサイトもいくつもあって便利です。

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ゴミ捨て問題も伊豆半島以降はぐっと楽になりました。関東エリア以西はどこにいっても普通にゴミぐらい捨てられます。ガソリンスタンドでもRVパークでもコンビニでも道の駅でも。いま僕がいる四国ではゴミ捨ての心配はまったくありません。

ちなみに僕のキャンピングカーは室内で立っても全然平気で、177cmある僕がふつうに車内で立ってストレッチしてる感じです。車高が2.7mあるんで、広いんです。ただ山道を走ってる時は上の部分にバッキバキ枝があたってますけどね。だからこそなんですが、走ってて一番怖いのは風です。車高が高いんでモロに影響受けてハンドル持ってかれるんです。淡路島から四国に入る時なんか鳴門海峡の上をビュービューの風に煽られながら必死でハンドル握ってました。正直、怖かったです。

ガソリンはリッター5、6キロかな。TOYOTAの2WDタウンエースがベースでそこにドカンと部屋が乗っかってる感じなんでやっぱ重いんですよね。高速はベタ踏みで100km、キツめの登坂車線は40kmも出ません。走ってるだけで「ゆっくり走ろう!」というメッセージが滲み出てしまうほどに非力です。非力な上に燃料は食うので毎日のように給油してます。これはもう会員にならないとマズイなってレベル。いまガソリン代がすごい上がってる時期で2年前より20円あがってレギュラー150円なんてのもざらに出てくる。137円!なんてみるとそれだけで嬉しくなっちゃって、すぐ入れちゃいます。Webでいろいろと調べた結果、毎回7円引きで給油できるエネオスcカードを作りました。こういうのもチリツモですからねー

とかなんとか言ってますが、いまこの原稿は徳島市最安値のビジネスホテルの一室で書いてます。昨日、東京から四国に飛行機で戻ってきたんですが、自宅に車のキー忘れちゃって。徳島空港のタラップ降りた瞬間にそれに気づくという、まさかまさかの大失態。ショックで膝から崩れ落ちました。どチクショー!なんつって秋田町(徳島一の繁華街)に繰り出したんですが、なんか罪悪感が膨れ上がってきて結局、徳島の肉ラーメンだけすすって帰ってきました。父ちゃん情けなくて涙が出てくらぁってなもんです。

思えば道中こんなことばっかです。ま、でもそこが面白くもあるんです。失敗やアクシデント、トラブルやハプニング、そういうことのひとつひとつが旅の記憶になります。

タクシーで空港まで行って会員ラウンジからビジネスのフライトで現地に着いて、タクシー乗って予約済みの四つ星ホテルにチェックイン。そういう出張みたいな旅も何度もしてきましたが、心にはあまり残ってないんです。それよりも地元の人に聞きながらバスを乗り継いで、エコノミーで座席4つ使って快適に寝て、空港で人に助けられて結局その人の家に泊めてもらった旅のほうをいつまでもずっと大切に覚えてるもんなんです。

ホントうまくいかないことばかりだし、自分のバカさにウンザリするし、暴風雨や自然の怖さをまざまざと感じることもある。でもそれと引き換えに、雨上がりの虹を見られたり、些細なことで笑いあったり、それこそ道の駅のトイレがきれいなだけでテンションあがって息子と抱き合ったりね。小さなことでも大きく喜べるようになる。不満や怒りよりも、感謝と愛で心が満たされる。それが旅することの一番の醍醐味だと思います。

なんか強引にまとめちゃった感もありますが、ここで今日の一曲です。
「こんなんじゃない!」という意味で、It’s Not Thisです。

<歌詞抜粋>
A man’s dream is a brand new car
A drop top F-type Jaguar
Walk-in closet, designer shoes
A big ass house with a big ass pool
Look for a place that don't exist
Cold Champagne in the afternoon
We look for heaven, but it's not this
We look for heaven, but it's not this

男の夢はジャガーのFタイプみたいな最新の車さ
ウォークインクローゼットの中にはデザイナーシューズでさ
バカでかいプールのあるバカでかい豪邸に住んで
昼間から冷えたシャンパンを空けてさ
そんな在りもしないような場所を探し求めて
僕らはいつも天国を探してる
でもこんなのそうじゃない

僕らはいつも天国を探してるけど
こんなものじゃないのさ




今回もご精読ありがとうございました。次回は人のことを書きます。
基本的に僕の行く先はだいたい出会った人によって決定しています。
2月4日からずっと徳島にいるんですが、そのワケを書きたいと思います。


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堀内貴之(ラジオDJ)
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