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送りバントとアレのパラドックス
野球の送りバントは統計学的に見ると有用性が低く、多くの場面でノーアウト一塁の場面では送りバントを選択せずヒッティングさせた方が合理的である
しかし、その一方で高校野球を中心として日本野球の中心には依然として送りバントがある
今回は"アレのパラドックス"という概念を使ってなぜ人は不合理な送りバントを選択するのか?という疑問を説明してみようと思う
1アレのパラドックスとは?
突然だが以下の質問について考えて見てほしい
100%の確率で100万円が貰える選択肢Aと
89%の確率で100万、10%の確率で500万、1%の確率で0円が貰える選択肢B
どちらを選びますか?
一般的にこの質問に対してはAを選ぶ人が多い
一方で期待値的に考えるとAは100万、Bは139万とBを選ぶのが正解となる
しかし、実際にはAの方が選ぶ人が多い
この矛盾を説明するのが"アレのパラドックス"である
アレのパラドックスとは
"人が小さい確率のリスク実際より大きく考え、大きい確率を実際より小さく考える性質"である
例えば飛行機の墜落事故が起きた時、飛行機よりも車での移動を優先するという心理もそれに当たるだろう
2送りバントと関連付ける
送りバントと対比される存在がヒッティングである
ヒッティングのリスクとはなんだろうか?
それは併殺である
巷でも併殺の可能性があるから送りバントをしよう
と言った話をよく耳にする
併殺は塁上のランナーがいなくなる上、アウトカウントを二つ献上してしまう考えうる中で最悪のパターンだ
しかし、一方でヒッティングの結果併殺となる確率は1%程度である
つまり、併殺を恐れての送りバントは1%の可能性を恐れてのこととなる
そう、これこそアレのパラドックスなのである
期待値的にはヒッティングの方が合理的なのにも関わらず併殺というリスクの低い確率を過大評価し、併殺以外の高い可能性を過大評価する
こういう心理が働いてしまうから送りバントを選択してしまうのではないか?
%を主観的に見るなというのは無理な話であるから、期待値を利用する事で客観的にその選択の合理性を考えるという行為は大切なのであろう
今回の説明は送りバントを選択してしまう心理的な要因の一因を示したに過ぎず実際にはもっと複雑な心理的な要因が絡まってこうした選択が行われている
という事は断っておく
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