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bickは今後のバレーの鍵である

bickとはback row quickの略称で定義は
「後衛からのファーストテンポのミドルとは別スロットからの攻撃」
である

よく、パイプ攻撃と呼ぶ人も多いがパイプ攻撃は
「後衛からのセカンドテンポのミドルと同スロットの攻撃」
であり全くテンポもスロットも異なる

1bickの歴史

bickの歴史は1988年のソウル五輪でのオランダ男子が発祥らしい
意外と古いんです

だがコミットブロックが主流だったこの時代において攻撃をシンクロさせる必要性は薄く異なるテンポの時間差攻撃が主流だったため、bickではなく後衛からのOHのバックアタックはパイプが主流だった

その後リードブロックが主流になるにつれて時間差攻撃が駆逐されていき、最終的にbickが主流となっていった

一応前提の確認をしたいが時間差攻撃にとってリードブロックは天敵中の天敵である

コミットブロックに対抗するために時間差攻撃が生まれ時間差攻撃に対抗するためにリードブロックが生まれ、リードブロックに対抗するためにシンクロ攻撃が生まれる

バレーのブロックとスパイクの関係はスポーツの発展ではよくあるイタチごっこのようである
 
さて、bickはブラジル男子が2000年台前半に広め今では殆どのトップレベルのチームが標準装備するまでになった

2bickの何が凄いのか

bickは基本的にクイックと同じようなものだと思ってもらうと分かりやすい

バレーボール界ではよく攻撃のことをスロットとテンポによって表す
例えばスロット3からのファーストテンポの攻撃なら31
スロットAからのセカンドテンポならA2といった具合だ

bickもクイックもこの表記だと11や31などと表される

要するにbickはダブルクイックのような攻撃なのである


また、bickはトスの軌道がミドルの速攻に近いのでbickを使う事でトスが上がってしばらくはbickとクイックの判別がし辛くブロックの反応を遅らせ、相互の相乗効果を生むことが多い

ミドルにどうもブロックが張り付いてるなって時はbickを多用してみることで風通しが良くなるみたいな事も結構多い

bickの欠点を挙げるとすれば

打てるコース幅が狭いため二枚以上のブロックとの対峙だと分が悪い事だろうか

3 bickの名手たち

ここでは、個人的なbick上手いなって思う選手を挙げていくので参考にしてもらえればなと

❶ダンテ・アマラウ(ブラジル)

bickと言えばダンテ!って言う人もかなり多いはず
bickはダンテの代名詞でありそのフォームは芸術品のように美しい

bickを世界に広めたブラジルの2000年代前半の名選手であり2013/14シーズン、15/16シーズンにVリーグのパナソニックに在籍していた事もある

❷ウィルフレッド・レオン(ポーランド)

キューバの鳥人として若いうちから名を馳せており、去年キューバからポーランドに帰化してポーランド代表の主軸としてプレーしたレオン

レオンのbickは美しいフォームというよりは力強いフォームでそこから凄まじい威力のbickを叩き込む
威力だけなら世界一のような気もする

❸劉力賓(中国)

僕の推し
中国代表の若きエースで2018/19のVリーグでJTに在籍していた

リービンのバックアタックも非常に綺麗なフォームで鳥のように羽ばたいて飛んでるイメージ
彼の武器である跳躍力を思う存分発揮している

リービンのbickを標準装備したこの年のJTはミドルの決定率が高かったように思う

4 最後に

これからはbickがどのカテゴリーでも重要になると確信に近いものを感じている

なぜならばbickは先程言ったようにミドルとの相乗効果を持つダブルクイックだからだ

センター線への攻撃は基本スイングブロックでは対応せずすスタンディングブロックで対応する事が多い

スイングブロックには大きく二つのメリットがある
①腕をしっかり使って飛ぶためジャンプ力が上がり高さが出る
②飛ぶ直前まで腕が下がった状態なのでブロックがどこを占めるのか分からない

今回は①が大きな意味を持つ
スイングブロックでは対応出来ないためサイドの攻撃よりもセンター線の攻撃へのブロックは高さが出ない

つまり、

スパイカーの高さを出してやれば身長差があっても一番高さ的に勝負しやすい所なのだ

また、逆に相手のブロッカーが自分たちより高さで劣る場合はもっと効果が高くなる

スタンディングで飛ぶため、純粋な身長の高さが重要になり、身長は低いけど最高到達点は高いタイプがブロックの穴になるからだ

だからこそセンター線の攻撃が今後のバレーではより重要性を増し、これらの決定力を高めるためにbickが重要なのだ

参考までに今年のVリーグ男子では上位4チームの中でJT以外はbickをそれなりに使ってくるチームである

また、ワールドカップバレーで上位に食い込んだチームも軒並みbickを多用してくるチームだ

また、春高で優勝した東山もbickを搭載していた





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