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現代バレーのブロックシステムを解説するよ❶

「ブロックが強いチームって本当に強いんだよ
防御であると同時に最強の攻撃である
そんなのブロック以外にないからね」
ハイキューの某シーンでの台詞です

まさにその通り
ブロックの強いチームってのは本当に世界を見ても強いんです
ブラジル、アメリカ、ポーランド、ロシア、イタリア世界の強豪国はやはりブロックが凄い

ブロックは止めるだけじゃなくてワンタッチをとってスパイクの勢いを緩めてレシーブしやすくしたりスパイクのコースを限定したりと非常に多機能で
スパイクスピードが優に100キロを超えてくる現代バレーではこれがないとスパイクを拾うなんてまず無理です

今日はそんなブロックについて解説するよ!

ブロックを語る際に注目するポイントは
1最初どこにいるか
2どこに飛ぶか
この二つが大切

❶バンチシフト

これに関しては現在世界標準はバンチシフトが採用されてる

どいうシフトかと言うと

コートの中央にブロッカー三人が集まっている

ってシフト、ブロッカー三人が束みたいになってるからバンチって名付けられたのね

このシフトのメリットは

1真ん中からの攻撃に強い

2ブロックの間が空きにくい

1番

真ん中に最初からいる訳だから当然真ん中の攻撃に対してブロックは付きやすいよね

現代バレーでは速攻に加えてbickと呼ばれる真ん中付近からの高速バックアタックも多用されるようになってセンター線の攻撃の割合が増えた
だから真ん中からの攻撃に強いバンチシフトが採用されるようになったって側面がある

2番

真ん中に最初からみんなが集まって攻撃に対応するから特にサイドの攻撃に対するブロックの際にブロッカー同士の間が空きにくいってのはイメージしやすいのでは??

トータルディフェンスではブロッカーの間が空けばその空いたコースにレシーバーを配置するってのがセオリー

なんだけど

余りに空き過ぎてるとレシーバー一人じゃ対応できないし

逆に微妙に空いてたりするとレシーバーがそこに行くべきかの判断が難しい

だからブロックの間が空きにくいバンチシフトはディグの陣形が組みやすいシフトで要するに

トータルディフェンスとの親和性が高い

それにブロックの間を抜けるスパイクって要するにクロス方向だからストレート方向と比べてサイドライン、エンドラインまでが遠いからアウトになる可能性が低いんだよね

逆にデメリットについて紹介すると

サイドからの速い攻撃に対して弱い

これに尽きる

最初から全員真ん中に居るわけだから逆に言うとサイドへの距離が遠くそこからの速い攻撃に対してはブロックが付きにくい

つまりこのシフトはブロッカーの横移動の速さがあって初めて成り立つシフトだし相手が真ん中の攻撃を多用してこないとそもそも採用する意味が薄いから
日本だと高校のトップレベルの中のトップレベル以上じゃないと採用していない

ちなみにこのサイドへの弱さに対する克服法としては
ストレート側を空けてレシーバーを配置してストレート側のスパイクにはディグで対応、ブロッカーはクロス側に二枚揃えてコースを塞ぐ

どっかで聞いたことあるなって人もいるかも知れない
そう、ハイキューで烏野高校が白鳥沢高校のウシワカに対してやってた奴ね

烏野はバンチシフトじゃなくて確か次に出てくるスプレッドシフトだから上記の理由じゃない(確かウシワカの得意コースがクロスだからクロスをブロックで塞いだはず)けどイメージは全く同じです

ちなみになぜクロスを塞ぐかって言うと単純に距離が近いからって理由の他に

ストレートへのスパイクって

アンテナがあったりサイドラインやエンドラインが近かったりするからアウトになりやすいんだよね

だからミスを誘いやすいって点もある

ちなみにもう一つこのシフトの弱点と言うかは微妙だけどバンチシフトって相手のサイド攻撃が増えてくると

両脇のブロッカーがサイドへ広がっちゃって結果的に別のシフトに移行しかける

って弱点がある
最近のハイキューで影山がサイド多めできてたから両脇のブロックがサイドによって真ん中の攻撃が決まりやすくなった
みたいな話があったけどそれと同じね

こうして見るとハイキューって本当にトレンドに沿ってるリアルなバレーを描いてるんだよね

❷リードブロック

次はどこに飛ぶかなんだけど飛ぶ位置に関する意思決定の仕方は
1リードブロック
2コミットブロック
3ゲスブロック

の大きく三つに分類されてる

1リードブロック

これはトスがどこに上がるかを見て飛ぶブロック

見て飛ぶわけだからふられることは無いけど遅れて飛ぶことになるってデメリットがある

でも、ただトスが上がるのを見て飛びつくのじゃあ反射ゲームになる

ブロックの反応時間に関しては攻撃選択肢との間にヒックの法則ってのが成り立つって言われてて


反応選択肢の数が増えると反応時間は上のグラフのように推移するって話なんだけど
現代バレーで主流の四枚のシンクロ攻撃の場合反応に0.4秒かかってしまう

A.Cクイックのトスが上がり始めてからスパイカーがヒットするまでの時間が大体0.3秒ぐらいだからこうなるとブロッカーが反応した時にはもうスパイカーが打ってるみたいな状況になる

だから攻撃の選択肢を限定して少しでも選択反応時間を早める必要がある

そのため、レシーブが乱れたら速攻を捨てる、スパイカーがサーブレシーブに参加して体勢を崩してるようならそこからの攻撃は捨てる
といった風にあくまでもトスが上がったところに飛ぶのは前提として頭の中で選択肢の絞り込みを行なっている

だからサーブとブロックって凄い親和性が高いのね

あと、反応には弁別反応と選択反応の二種類があって

弁別反応は簡単に言えば二択の反応、選択反応は個々に対する反応で

研究によると弁別反応は選択反応より反応時間が短いって結果が出てるんだけど

それを利用して例えばクイックかそれ以外かとかセッターから見てライト側のスロットからの攻撃か、それ以外かみたいな二択の選択肢で対応を決めて前者ならクイック、後者ならライト側のスロット側への攻撃の反応時間を早める
みたいなことも世界のトップレベルではやってたみたい

2コミットブロック

これは

チームの約束事としてどこに飛ぶかを推測して飛ぶブロック

チームの約束事として飛ぶからレシーブ陣形もそれに合わせて敷ける

3ゲスブロック

これは

個人がどこに飛ぶかを予測して飛ぶブロック

要するに勝手に飛んじゃうからレシーブの陣形が敷けないんだよね

ハイキューの天童がやってる奴で有名かな

ハイキューだとやばいブロックみたいな感じで扱われてるけどあれは天童の読みあってのことで

実際はどんな時であれやってはいけないブロックです

ちなみに2と3は結構紛らわしかったりするけど上級者向けのテクニックで申し訳ないけどディフェンスの陣形を見れば判別できるよ

こうして三つに分類されるブロックなんだけど世界標準はリードブロック
なぜリードブロックが採用されるかと言うと
それまでのバレーは攻撃枚数が前三枚だったからブロッカー三人対スパイカー三人と同数の大切だったから最悪でも一枚は必ずブロックを付けることができたんだけど

さっき言ったように現代バレーは真ん中からの高速バックアタックが加わって攻撃枚数が四枚になって

スパイカー四人対ブロッカー三人になったからどこに上がるかを読んで飛んでたら

ブロックが一枚も付けない場面が出てきたのね

また、それまで主流だった速い攻撃と遅い攻撃を組み合わせることによる時間差攻撃に対してリードブロックはトスを見て飛ぶからふられないし、

特に遅れてくる遅い攻撃に対してしっかりブロックが付けるのでほぼ完璧な対応が出来る

だからリードブロックが主流になった

ちなみにチーム戦術としてある場面においてはコミットするみたいなのはあります
良くあるのが敢えて弱いサーブを入れてクイックにコミットするみたいな奴かな?

ハイキューだと梟谷対貉坂の最初のラリーがそれだね


❸まとめ

このように今現在世界のブロックの標準形はバンチリードブロックです
テレビで今後バレー見る際ブロックに着目して見ると面白いかもしれません

自分ぐらいのレベルになると例えばこの前のイタリアリーグの決勝とかを見てて

ちょっとレフト側のブロックがサイドに寄った位置で配置されてるな、他の二人は真ん中に固まってるけど
→レフトとミドルには必ず二枚付けてるな、その代わりライトには一枚とか1.5枚になることが多いな
⬇︎

このチームは最悪オポジットの選手にはブロック一枚で良いから真ん中とレフト側の攻撃にミドルとライト側のブロッカーの二枚を確実に付けようとしてるな
→ブロッカーが正面に待ち構えているAクイックは使いにくいだろうし相手チームはBクイックを多用してくるだろうな
→やっぱりBクイックが多用し始めた!!

みたいな推察が出来てバレーがちょっと深く楽しめるようになったりしますので是非

最後までお読みいただきありがとうございました




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