テンポと言う概念を理解する
テンポという用語はバレーをやってる人の中で聞いたことがないという人は少ないのではないだろうか
1stテンポ、2ndテンポ、3rdテンポ
テンポは攻撃の分類の指標の一つである
日本バレー界の悪い癖というかここに関してはしょうがない面も否めないのだがこうした用語に関して定義をしっかり理解しようとしない事が多い
テンポはバレーの初期からあった用語ではなく比較的歴史的に見ても最近出てきた用語である
改めて出てきた指標という事は必ずその中に何からかのバレー思想が現れており、そのバレー思想が根本にあるからこそテンポによって攻撃を分類しようと言う動きになった
と考えるのが自然である
でないとそうした新しい指標をを用いる必要がないからだ
話は少しずれるが野球界では10数年前からOPSと言う指標が使われ始めている
OPSはセイバーメトリクスという野球統計学から生み出されたものなので当然セイバーメトリクスの思想を反映したものである
つまり、OPSを利用するという事はセイバーメトリクスがOPSに込めた思想を取り入れるという事なのである
世界のバレー界がテンポに基づいたバレーをしていると言う事は周知の事実である
テンポに基づいたバレーを行うと言う事はテンポの裏に隠されたバレー思想を取り入れていると言う事である
用語を理解するという事は定義を覚える事だけじゃなくその背景にあるバレーに対する考えを読み解く事にこそ意義があると思う
だからこそ、用語を理解する意義が生まれてくる
1 なぜトスによる分類ではないのか
テンポの出現以前の攻撃の分類方法について考えてみるとトス基準での分類がなされている
(今でもこっちが主流のチームがアマチュアカテゴリーでは多い)
レフト平行、Aセミ、Cクイック、ライトオープン
と言った風にトス基準である事は明確だろう
一方でテンポはスパイカーの助走開始が基準となっており、スパイカー基準での分類となっている
ここにテンポの姿勢が表れていると思う
要するにテンポは
攻撃の主導権はスパイカーにある
という思想のもとで生み出された概念なのである
仮に攻撃の理想系をスパイカーが最高打点で叩く事だと仮定すると
スパイカーが助走してジャンプした時点でボールヒットするタイミングは決定しているし、それをセッターの力で変える事はできない
だからこそ、セッターのトスではなくスパイカーの動きによって分類しようとしたのがテンポの概念である
こうした概念のもとでのバレーなら、例えば攻撃のスピードを速めるとなった時にトスの速度をまず気にするのではなく、スパイカーが助走開始のタイミングを早めて、トスをそこに合わせる
と言った発想になっていく
やろうとしてる事は似てるようで別物である
2なぜトスの高さで分類しないのか
テンポ以前の攻撃の分類はトス、特にトスの高さに着目して行われてきたと思う
平行みたいな名称はそれを顕著に表している
まず、第一に知ってほしい事実として全てのトスは放物線の軌道を描き、その頂点付近では速度が遅くなる(頂点では0.2秒程度静止する)
という事実である
こういう物理学的な話をするとバレーボールは別だみたいな話をする人もいるがバレーボールも地球上の物体であることには変わりないので物理学の定理に当てはまるのは当たり前なのである
話が脱線したがこのトスの頂点という考えが大切なのである
任意の点A、Bを通る放物線(AとBは同一ではない)を幾つ描けますか?という問題があるが答えられるだろうか?
一応、中学生レベルの問題である
答えは無限である
座標軸で考えてもA(3.、5)、B(6、9)を通る放物線を求めなさいと言われても出来ないだろう
ここから放物線を求めるには後何が必要か?
そう頂点である
つまり、頂点をどこに位置させるかでトス軌道というのは同じ所から開始されて同じところでヒットするにしても違ってくるのである
先ほどの前提を基に考えるとでは、トスの頂点はどこに位置するのが望ましいか
これはプレー経験のある人なら感覚的に分かると思うしそうでない人も何となくそうなんじゃないかな分かると思うが打点付近に近づけることが重要である
逆に打点からセッター側に離れると落ちるトスを打つので打点は落ちるし頂点がスパイカーを超えて離れるとスピードが速くなるためスパイカーは打ちにくいと感じる
そしてここが肝要なのだが頂点がスパイカーの打点に近いトスを人は高いと感じるのである
つまりトスの速さはその高さと必ずしも一致しない
要するにトスの高さは攻撃の速さと必ずしも一致しないのでトスの高さによる攻撃の分類は非合理だと言う考えのもとテンポの概念が生まれたのである
3 終わりに
テンポに関する話を書いていったが最後に海外ではスパイクの種類の表記をスロット位置とテンポで表現する
スロットAの1stテンポならA1、スロット5の2ndテンポなら52という風に
ちなみにスロット1からのファーストテンポのクイックは11だがスロット1からのファーストテンポのバックアタックも11なのである
自分がbickはほぼダブルクイックだと以前のノートで書いたのはここら辺の表記からも来ている
用語を疎かにするのではなくしっかりと理解しようとすればその裏にあるバレーに関する思想が見えてくるのである
バレーは物凄いスピードで進化しており、今後も新しい用語が次々と出てくるだろう
そうした用語を理解すれば最新のバレーの思想を手に入れることも可能だろう
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