ボール変化のメカニズム(基本編)

バレーボールにおいて球質面というのは未だに未開拓な部分な気がしている(自分はトップレベルでのプレー経験など当然無いのでそこら辺はなんとも言えないが)

無回転か否か
ドライブ回転かサイド回転かぐらいしか着目されず回転数や回転軸といった概念はあまり導入されていないと思う

だが野球においてストレートや変化球の球質が重視されるのと同様、球質面ももう少し着目されて然るべきだと考える

野球のバッターは最後までボールを見て変化を追っかけるのではなく途中からボールを見ず自分の過去の経験により軌道を推測してスイングをする(打者からしたら実際は目線を切っているのに切っていないと思ってしまう点も重要だ)

だから投手もオーソドックスな軌道からどれだけ外せるかが重要になってくる

あくまでも自分の仮説なのだがバレーのレシーブも同じなのでは無いかと思う

例えばワールドカップでベストサーバーを獲得した西田選手のサーブは110キロ台と世界のトップレベルの選手と比べて突出して速い訳ではない
だがなぜ彼があそこまでエースを量産できたかと言うとその変化量にあるのでは無いかと考える
曲がりが大きく尚且つ左利きなので通常とは反対側の方向に変化する

過去の経験から行った軌道の予測と実際のボールの変化との乖離が大きいためレシーブできないのではないかと思う

(実際西田選手のサービスエースはノータッチより触って大きく弾く方が多い)

前提が長くなったが球質を追求することは大切だということを理解していただけたらそれで良くてここから本題の変化のメカニズムに入っていきたい

回転するボールが向かい風を受けると向かい風と回転方向が一致する部分(上の図だとボールの上側、下の図だと下側)では流速が速く、圧力は小さくなる

一方でその反対側は流速が遅く、圧力が大きくなる

この原理はエネルギー保存の法則(物体の位置エネルギー、運動エネルギー、圧力エネルギーの総量は一定である)に由来していて
流速が速くなると運動エネルギーが大きくなるため、圧力エネルギーは小さくなり、遅くなると運動エネルギーが小さくので圧力エネルギーは大きくなるという仕組みである

そのため、圧力の大きい方から小さい方へと力が働く(これをマグヌス力と言う)

ボールの変化はこのマグヌス力と重力によって決定される

1回転数

回転数はマグヌス効果の大きさを決定する
つまり回転量が多ければ多いほどマグヌス力が大きくなる

回転量が大きくなれば回転に合わせた部分の流速が速くなるのは感覚的にも理解してもらえると思うのでこれは納得してもらえるのではないか

2回転軸

回転軸はあまり回転数に比べてフォーカスされていないが、圧力エネルギーが増減する位置を決定するため、ボールの変化方向を決める

そのため、マグヌス力について解説した上の図のように同じ回転する物体でも回転軸が違えば変化する方向は違ってくる

つまりボールの変化について考える時は回転数と回転軸の両方への考察が必要なのである

以上が基本編である
ボールの変化のメカニズムを理解してもらえたらいつになるかは分からないが次回の応用編の理解がスムーズに運ぶと思う






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