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【郡上おどり 2】みんなが徹夜で4日間踊りつづけられる秘訣“DJ囃子”

 8月13日から16日は4日連続徹夜で盆踊りする、クレイジーな国重要無形文化財「郡上おどり」(岐阜県郡上八幡)。2014年8月13日に初めて参加してきたのだけど、踊り手たちの体力にびっくりした。

 この日は10種類の踊りをランダムに1曲10分ほど、午後8時から朝4時までほぼノンストップで踊りつづけた。休憩時間なんてゼロに等しいのに、踊り手の数は午前1時をすぎても4000人くらいから一向に減る気配がない。郡上八幡の人々はサイボーグか何かなのだろうか。

 ぼくの方はというと、午後9時ごろから踊り始めたものの午前1時ごろにして足の疲れが限界に達した。初心者なので踊りを一から覚えるのに体力を奪われすぎたし、履きなれない下駄、しかも普段から運動しないタイプだ。こればっかはしょうがないだろう。定期的に輪を出て休んではまた加わり、下駄の歯でつまづくひどい有様だった。

 ただ、ぼくが初心者だということを差し引いても、5時間以上踊りつづけている参加者はちょっと異常だ。むしろハイテンションになって跳ねまくっている若手もいた。徹夜おどりはまだ初日。こんなハードな踊りをあと3日も続けられるのだろうか。

 体力の秘密は、屋形で演奏するお囃子(はやし)にあった。

 郡上おどりではお囃子さんが会場の雰囲気をみて、即興的に10曲のどれかを演奏しはじめる。選曲の際、踊り手が朝まで続けられるようときどき“体やすめ”の曲をはさんでいるのだ。

 その代表格が「ヤッチク」。落ち着いた調子に合わせ、2歩進んで中央を向いて手拍子を1回鳴らす、という単純な動作を繰り返す。朝まで踊るようなベテランは、疲れたときにヤッチクで手を抜いて踊って体力回復を図るのだそう。「キツイときは無理せず自分のペースでだらだらと踊ってください」と、郡上八幡博覧館の郡上おどり講師さんもアドバイスしていた。

<午前2時ごろ、ヤッチクを踊るみなさん>

 ほかにも「甚句」など、休憩代わりとなる曲をお囃子さんはときどき演奏。一方で盛り上げたいときはノリノリな「春駒」などを入れて活気づける。クラブでいうDJみたいな存在だ。公式サイトによると、踊りの配列はスポーツ科学の上でも合理的な順序になっているというから、先人の知恵に頭が下がる。

 踊り手だけじゃなく、お囃子さんもずっと休まず演奏し続けていることを忘れてはいけない。

 彼らはどう休憩しているかというと、演奏の方にも体やすめの曲がある。唄と笛、太鼓、三味線すべて使うものもあれば、「甚句」のように唄と太鼓だけのもの。パートごとに演者さんが休める曲がいくつもあって、これらを順ぐり回していくことでお囃子も休み休み夜通し演奏し続けるのだ。

 7~9月の2ヶ月で30夜、8月13~16日は徹夜で4日連続踊るという、体力面で狂気じみている「郡上おどり」。長年人々から愛されつづける秘訣ともいえるDJお囃子の仕組みに、“文化”を垣間見た。

(C)写真・文 黒木貴啓

4日連続で徹夜の盆踊り レイブ感ハンパない重要無形文化財「郡上おどり」で一晩踊り明かしてみた

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