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#212 似ているものなんかない

スズキのスーパーキャリイとダイハツのハイゼットジャンボ。いずれも軽トラとしてはキャビンが広々としていて、リクライニング可能なシートを備えている。僕は自身の使い方を踏まえてこの両モデルを比較検討し、その結果、スーパーキャリイに圧倒的な優位性があると判断。購入に至った。

では一体、ハイゼットジャンボに対してどこがどう優れていたのか? それを語り始めると、雑誌的に言えば特集記事ができあがってしまうので、つまり面倒くさいので、ばっさりと割愛する。興味がないひとにとっては、まったく見分けがつかないに違いない。

なぜそんなにたくさんのドライバー(工具の意味でもゴルフクラブの意味でも可)を持っている必要があるのか。女性には分かってもらえないし、男性からすれば、指輪やイヤリングの類はその違いをほとんど認識できない。一定の年齢に達すると、乃木坂も欅坂も芋洗坂もひっくるめることができる。

要するに、離れて見ているからだと思う。離れて輪郭だけをなんとなく捉えているから大体同じ形に見えて、大体おぼろげ。だから興味が持てなくなり、余計に離れてしまう。

「最近のクルマはつまらない」とか「欲しいバイクがない」と嘆くのもきっと同じ。いつの間にか近づくことを忘れ、遠くから眺めているだけで分かった気になっている。

昔はほら、軽いけど6.8psしかないDJ・1RRと、重いけど7.0psもあるハイアップRはどちらが速いのかを超々真剣に迷ったでしょう? 0.2psの差は、見方によって「しか」にも「も」にもなり、実に悩ましい。そこにあったのは、メーカーの思想や哲学の違いに他ならず、ユーザーはその眼識が試されていた。

視点をググッと近づけていくと、いくらでも発見があり、違いも見つけられる。今がつまらなくなったのではなく、つまらない見方しかできなくなっていることに気づく。ディティールにどんどん迫り、どんどん深く細かくフォーカスしていけば、きっとなんでも新鮮に感じられるし、飽きることもありませんよ、と。

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