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#124 縦書きと横書き

現在、縦書きで書かれている教科書は、国語系のものに限られる。あとはすべて横書きだ。その方が世界的に主流であり、教育現場的にもいろいろと都合がいいからそう変化してきた。
 
縦書きは、文字が上から下へ流れ、行が右から左へ移っていく。
横書きは、文字が左から右へ流れ、行が上から下へ移っていく。
 
だけれども、日本語のかつての横書きは、文字が右から左へ流れていた。
 
”場出園子甲 祝 部球野校高前宮埼川立県川奈神”
 
みたいな感じ。なぜこうなっていたのかというと、縦書きの時に文字列が右から左へ移る法則をそのまま横書きにも当てはめていたからだ。戦後しばらくはそうだった。
 
でも読みにくく、西洋の横書き文化との相性も悪かったため、左から右の流れへと改められて今に至る。
 
縦書きの読み物は縦書き、横書きの読み物は横書きで統一されていればいいのだけれど、不思議なことに本も新聞も、縦書きと横書きを混在させている場合がほとんどだ。ページ単位で縦書きになったり、横書きになったりするのはまだしも、ひとつの記事で本文は縦書き、タイトルやキャプションは横書きというように入り組んでいることも普通。器用というか合理性に欠くというか、なんともややこしいことをする国民だと思う。
 
本の形は、一般的に縦長の長方形をしている。この場合、やはり横書きの方が、収まりがよい。縦長の形に縦書きの文章を組み合わせると、一文、もしくは一段落が長くないと改行ばかりでスカスカに見えてしまうからだ。小説だと一行が40文字くらいあるからなおさら。それを避けるため、新聞や雑誌は一行を15~18文字程度に制限し、そのブロックを2~4段に分けて誌面に配置したりする。言わば、苦肉の策である。縦書きしか存在しなかった頃の巻物や書状が横長の作りだったのは、その方が収まりがよく、文字を隙間なく埋めやすかったからだ。その意味で、昔のスタイルの方が合理的だった。
 
クルマやバイクの原稿を書いていると、特に縦書きとは相性が悪い。なぜならエンジンのスペック、車体のディメンション、技術解説などには数値とアルファベット表記が不可欠で、横書きの方が圧倒的に読みやすいからだ。
 
最高出力200ps/14000rpm
 







ps









 
こうすると、どちらが伝わりやすく、どちらかスペース効率に優れているのかは明らか。文章を扱うひとほど、縦書きに固執する傾向にあるけれど、それは日本古来の伝統や文化、様式美の世界として残っていればいいのでは?

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