24歳になって間もない頃に買った『クラブマン』が手元にある。なぜか2冊ある。特集のタイトルは、わが憧れのオートバイ。編集スタッフやその周辺の人々が、それぞれ思いを寄せるオートバイを挙げ、語っている。
Bow。さん&MV Magni 832も、永山さん&AERMACCHI Ala d’oro 250も素敵だったけれど、誌面のレイアウトを手掛けていた堀口さんとBMWサイドカーの組み合わせは最高に絵面がよく、バイクもさることながら、いい感じのおっさんだなと思っていた。
それから7年後、クラブマンの編集者として堀口デザインオフィスに出入りするようになった。堀口さんはおっさんからじじぃに昇格していて、眼鏡の奥の目がいつも(ちゃんとしろよ、おめぇ。やのじがかわいそうだろ)と言っていた。やのじは、その頃クラブマンのメインデザイナーになっていた中根康宏。僕らは、やっちんと呼んでいた。
やっちんから、堀口さんが亡くなったことを知らせるメールが届いた。71歳。そうか、じじぃだと思っていた頃はまだ50くらいだったのか。今の自分より年下だ。おぉ。
勝手で申し訳ないけど、28年前に堀口さんが寄稿した「わが憧れのオートバイ」を下に転載しておきます。勝手だけど、少なからず関わりがあった者のよしみで束の間許してほしい。こういう佇まいのいいおっさんが、美しくて力強い、グラフィカルな誌面をつくってくれていたのです。
ここで使ったタイトル写真のキャプションには、こう記されていた。「オーナー気分で遠乗りシーンを再現。思いっきり走った後のインターバルに甘酸っぱいリンゴをかじるの図。たまんねー。」だって。北野晶夫気取りかよ。