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#265 記憶の写真

↑ 前橋おじさんのブログです。これは本当にそうだな、と思う。うっかりスマホを持たなければいけない状況になって、1年と少し。最初は怖くて仕方がなかったけれど、さすがに慣れた。電話やメールよりもカメラとしての使用頻度が高い。とはいえ、なにかを残すためじゃなく、ほとんどが一時的なメモ代わりだ。

自分で撮った写真の中で、思い出深いものは? と聞かれると困る。たくさんあるからじゃなくて、いまひとつピンとこない。

思い出深い瞬間は? と聞かれると、これはクリアだ。ひとつは、1987年。百里基地に向かっている時にどこからともなく轟音が聞こえ、空を見上げた。すると突然4機のF-4が低空で現れ、アッと言う間に消え去った光景がそう。もうひとつは、1988年。鈴鹿の1コーナーに向かうワイン・ガードナーが、NSR500のスロットルをオフにした瞬間の、なんともいえない残響の音だ。

F-4のターボジェットエンジンと、NSR500の2ストロークエンジンの音はまるで違う。でも、強いエネルギーを放つ物体が、高速で空気を切り裂く時の音はほとんど同質だ。鈴鹿から帰った後、友達に「500のマシンって戦闘機みたいな音がするねん。ほんまやって」と話したことをよく覚えている。

どちらも写真には残っていない。だけれども、どんな写真よりも鮮明に記憶を呼び覚ますことができる。

低空をフライパスするジェット機とストレートを駆けるレーシングバイク。今、これを目の当たりにすると、どう感じるのだろう。あの頃のように、ポカンとできるのだろうか。あの頃のように、「いや、まじで凄いねんて」と伝えたい。

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