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#234 白熱

昨日のタイトルで『白熱 デッドヒート』という田中光二の小説を思い出した。たしかどこかにあったはず……と探ってみると、めずらしくすんなりと出てきた。紙はすっかり日焼けしていて、ページを捲った時の臭いは古本のそれになっている。

奥付を見ると初版は1979年。僕が買ったのは高校生の頃、たぶん1988年か89年あたりだ。角川文庫の赤背表紙なので、片岡義男ついでに手に取ったのだと思う。

当時も今も『キリン』的なストーリーや、第三京浜のような文化には心惹かれず、対象が4輪でもそれは同じ。その後読み返すようなこともなかったのだけど、この小説に出てくるような「スピードに生きがいを求める」とか「スピードに飢えた若者」みたいな表現が、すっかり失われたことに対してはちょっとした感慨もある。

ところでこれ、映画化もされてたんですね。YouTubeにほぼ全編があがっていたので、ご興味あれば探してみてください。カマロに乗る若旦那が第三京浜で主人公のセリカLBにぶっち切られ、助手席の女に罵倒されるシーンはなかなかです。

「だめ男、ばか、まぬけ、のろま、うすのろ、あほ、すかたん、うすらとんかち、かんぷらちんきのどてかぼちゃ、さぎ、ペテン、うそつき、なめくらげ、どくまむし、おじゃまむし」

ひどい……

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