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#240 煙草と酒なら

生まれて此の方、煙草を吸ったことがなく、したがって禁煙場所がどれだけ増えてもまったく困らない。困らないけれど、愛煙家に対しては気の毒だな、とは思う。

酒は毎日飲む。1日の酒量はワインを1本弱、多くても1本。アルパカとか、そういう安価なものなので、ビールを流し込むひとよりは安上がりのはず。自分の意志で外飲みすることはまずない。

喫煙者はなにかと肩身の狭い思いを強いられるのに、酒飲みに対する制約はないに等しい。居酒屋はどこにでもあり、コンビニで手に入れるのも簡単だ。街角で飲んでいても許される。

喫煙が人様の命を奪うことはほとんどないけれど、酒はいとも簡単にその要因を作る。飲酒運転はその最たる例だ。なのに、酒に対する規制や罰則は極めて緩いのが不思議。なにかとがんじがらめな喫煙と比較すると、圧倒的にフリーダムと言ってもいい。ある意味、大麻や覚せい剤よりもタチが悪い。非合法なクスリはだいたい内輪揉めか、自分自身を壊すに留まる一方、酒のトラブルは平気で不特定多数の他人を巻き込む。

飲酒や酒気帯び運転で捕まると、しばらく運転を控えなければいけない。これも不思議。酒が原因なのだから、なんらかのかたちで飲めなくするのが筋だし、一番の解決策になるはずだ。運転したことが悪いのではなく、「まぁこれくらいはいいか」と思うに至った判断力の低下が悪いのであって、それを招いたのはアルコールのせいに他ならない。運転免許もクルマも悪くない。

吸いたいひとよりも、飲みたいひとの勢力が圧倒的多数で、「まぁまぁこれくらいはいいことにしましょうよ」ということなのだと思う。要するに、都合のいい勝手がまかり通っている。

禁煙場所と同じくらい禁酒場所が増えれば、世の中のトラブルはかなり減る。おまわりさんもお医者さんも駅員さんもタクシーの運転手さんも、日々の負担が少なくなるに違いない。

酒は毎日家で飲むけれど、新幹線の隣の席から漂ってくる他人のビール臭ほど不快なものはない。副流煙の方が全然許せる。

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