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#250 名前の発音

昨夜、テレビでバドミントンの世界選手権をやっていた。山口 茜選手(日本)と陳 雨菲選手(中国)による女子シングルスの決勝で、なんの予備知識がなくてもいい試合だった。

前にもちょっと書いたことがあるけれど、中国人の名前を日本の漢字の音読みにあてて発音するのはなぜなんだろう。陳 雨菲選手のことを、アナウンサーは「チン・ウヒ」と呼ぶ。会場内に設置されている電光掲示板や装飾には、「Chen Yufei」(チェン・ユーフェイ)と表示されているのに。

Michaelさんは、マイケルさん、ミハエルさん、ミケーレさん、ミシェルさん……と、そのひとの出身国に合わせて変化させる(スペルもちょっと変わるけど)。同じWayneでも、オーストラリア出身ならワイン、アメリカ出身ならウェインと分けて呼ぶのは、2輪レース好きならお馴染みの通り。グルジアはジョージアに、キエフはキーウに変えた。なのに、中国人名はいつまで経ってもかたくなに日本読みのままだ。

個人の名前って、大きなアイデンティティのひとつだと思う。それを勝手に、しかも本人が耳にしても絶対に認識できない発音で連呼するのは、とても失礼なことではなかろうか。

もちろんこれは逆の立場でもそうで、僕「伊丹孝裕」が中国に入ると、その発音は「Yī dān Xiào yù」(イィダン・シィアォユゥ)となり、北京語、上海語、広東語でもそれぞれ異なる。日本でも時々「イタン」さんと呼ばれることがあるので、姓はギリ認識できる可能性があるものの、名で呼ばれると間違いなく反応できない。

中国人と日本人は互いのことを無条件に嫌悪するひとが多い。個人の名前を尊重し、発音をそのひとの母国や出身地のそれに近づけるだけで、コミュニケーションのあり方は変わると思うのだけど、どうだろう。


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