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#291 多機能であること

十徳ナイフ的なモノ選びをするひとは多い。ミニバンがいい例で、家族が6人も7人もいるわけではないのに、「広い方が便利だし」、「大きい方が快適だし」、「友達の家族も乗せて遊びに行けるし」、「車の中で泊まれるし」……と、あれもこれも想定し、いつかきっと役に立つと信じている。

便利さや快適さは、たぶんその通りなのだろうけれど、あんまり楽しそうではない。何百万円もして専有面積が広いわりには、普段は1人か2人を運ぶのがせいぜいで、ガソリン代はバカにならず、税金もそこそこお高め。だったら、軽自動車2台体制にして、1台は4人が乗れる実用、もう1台は趣味用にすれば、いろいろと割り切れるし、維持費も安いし、なにより運転していて気持ちいい。

我が家の現在のラインナップは、ハスラーとスーパーキャリイなのだけど、それぞれに使う目的が違って、それぞれの場面で性能をフルに発揮。将来的にはどちらかをS660やアルトワークス、ジムニーあたりに入れ換えるのもありだし、排気量を少し上げてクラシックミニやパンダなんかもあり。いやぁ、考えるだけで楽しい。

あらゆる要素をひとつに詰め込み、それでなんでもこなすのもいいけれど、十徳ナイフってやつが案外役に立たないのと同様に、大体は中途半端になりがち。だったら、機能が明確なツールを用途別にいくつか持っていた方が、結果的に効率がよく、使った時の手応えも心地いい。

ただし、ごく稀に素晴らしくよくできている十徳ナイフが存在して、2輪の現行モデルで言えば、BMWのR1250GSがそう。GSシリーズは、多くのアドベンチャーモデルがベンチマークにしてきたものの、結局どれもがGSみたいなバイクでしかない。その完成度は、GSの足元にも及ばない、とまでは言わないまでも、まだまだなかなかの差がある。

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