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#357 雑誌のタイトル

バイク雑誌が売れない、なんて話は今に始まったことではなくて……という話題を、ここでもよそでも何度もしてきたような気がするけれど、嗚呼今日もまた。

本屋さんに行った時にいつも感じるのは、バイク雑誌とかクルマ雑誌のコーナーって、そこに並んでいるタイトルがあまりにも直球だよねってこと。『オートバイ』とか『モーターサイクリスト』は直球の中でも直球で、『モーターファン』や『カー・アンド・ドライバー』なんかもそう。というか、みんなそう。多少変化球っぽいものもあるけれど、タイヤで地面を走るというイメージからは決して逸脱しようとしない。『月刊自家用車』までいくと、ある種の孤高性というか、揺るぎない筋金を感じなくもないけど。

これって要するに、「我々は所詮マイナーな業界なんで、せめてタイトルくらいは分かりやすいようにしておかないと」という弱腰姿勢の表れだと思う。はなっからいじけているというか、ただでさえ小さなマーケットの、さらにピンポイントな個人にすがっている感が拭えず、バイクやクルマに乗らないひとに手に取ってもらおうという気概がまるでない。

対照的なのはたとえば女性誌で、『anan』とか『non-no』とか『ViVi』とか『CanCam』とか『Ray』とか、タイトルだけじゃそれがなにかさっぱり分からないはずなのに、誰だってファッションや美容の情報が載っていることを知っている。

そして、その分野のひとたちは、タイトルに頼らず企画で勝負している。季節ごとの定番ももちろんあるのだろうけど、時にSEXを押し出したり、美乳で攻めたり、ジャニーズを起用したりして、レギュラーではない読者にも積極的にアプローチしている。本屋さんのレジに持っていきづらくても、ここぞという時には、アマゾンでポチッとしている男性諸氏も多いのではなかろうか。

とりあえず今いる、だけど少なくなる一方のお客さんを取り合っているのが斜陽な世界のひとたちで、新聞はその最たる業界だと思う。新聞なんて、誰がどう見ても新聞なのに、いまだに『~~新聞』って判で押したように似たタイトルを謳っているし、どう考えてもユーザビリティに優れているとは思えないのに、いまだにあのでかい版型のまま。もっとも、新聞こそデジタルになった方が、情報がきちんと蓄積できるし、検索機能もフルに活かせるから、紙としての在り様は衰退した方がいいのかもしれない。

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