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#082 無駄があるから余力が生まれる

もの凄いパフォーマンスを秘めたバイクやクルマがある。バイクならパワーウェイトレシオが1kg/PSを切るスーパースポーツはそれほど珍しくなく、クルマなら600PSをゆうに超えていたり(こういうのって、今でもスーパーカーって言うんだっけ?)。

無邪気に「スゲェ」と感嘆できるひとは楽しいけれど、「制限速度があるのに意味がない」、「エネルギーの無駄」、「なんの役にも立たない」、「環境のことを考えろ」……と糾弾するひともいる。

日本の高速道路は大体100km/hまでしか出せないし、一部の区間でようやく120km/hまでだ。鼻歌まじりで300km/hを超えるエンジンの要不要論で言えば、まったくその通り。

でも、無駄を求める探求心や好奇心が技術を進歩させてきたのもまた事実。バイクやクルマはさておいたとしても、身のまわりには不要なものがたくさんあるでしょう? 必要なものだけに囲まれて生活しているひとなんて、きっといないはず。少なくとも、こうしてネットを見られているひとにとってのネットがそう。なきゃ死ぬわけじゃないでしょう?

もっとも、こういう物言いは常に水掛け論だし、平行線を辿るばかり。それこそ不要な時間になるのだけれど、常に余力を残しておいたり、それをできるだけ確保しておく姿勢は大切なことだと思う。

100km/hしか出ないエンジンで100km/h走行を続けると負担が掛かって、いつか壊れる。期限ぎりぎりで仕事をこなしていると、いつか破綻する。多少の遅刻をよしとしていると、いつか手痛い目にあう。一夜漬けでどうにかテストをこなしていると、いつかなんにも蓄積していない自分に気づく。

無駄はあればあるほど、それが余力につながる。然るべき時に使える力になって、新しいなにかを生み出せる。いつも瀬戸際だと、止まることが許されない。ちゃんと考えられない。豊かさは望めない。


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