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#428 おたべ

ファミレスよりはかなり上、とはいえ料亭まではいかない。少し前に、それくらいのポジションにあるお店で、食事を頂く機会があった。魚を主体にした料理が多く、とてもおいしかったです。ご馳走さまでした。

途中、仲居さんが「器が熱くなっておりますので、お気をつけてお食べください」とおっしゃいまして。食べてください、を丁寧なお気持ちで、お食べください。すっかり間違いではなくなったものの、店の雰囲気も踏まえると、やはり「召し上がりください」がふさわしい。

一方で、たとえば賞味期限の短いお菓子のパッケージに、「本日中にお召し上がりください」と書いてあるのをよく見かける。これまた間違いとは言えなくなっているけれど、召し上がるに「お」をつけるのは、厳密にはやり過ぎ。でもまぁ、難しいよね。

失礼を避けようとするあまり、「させて頂く」だらけになるひとがいる。会話だとなんとなく成立しても、メールの文章だと相当くどい印象になる。

「見る」を「ご覧」や「拝見」に、「来る」を「お越し」や「おいでに」に、「読む」を「拝読」や「お目通し」に。元の動詞に「お」や「ご」を付け加えるだけでなく、違う言葉に置き換えて、なおかつ丁寧語・尊敬語・謙譲語の間を行き来できると、ぐっと品格が増す。さらに難しいけど。

これらは、大人になってから簡単に身につくものではない。むしろ、幼稚園や小学校の先生こそ積極的に使い、小さい頃から慣れ親しんでおくべき日本語だと思う。

あとは、骨魚の食べ方と靴を脱ぐ時の所作。それさえ、きちんとこなせるようになっていれば、日常のほとんどのマナーに応用が利くし、いろいろな事柄に気をつけるようになる。

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