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#321 月の大きさはいつもおなじ

皆既月食ですねぇ。バルコニーに出て見ていると、幾人かが同じようにされていて、スマホでパシャパシャッとな。肉眼で見るのと違って、写真だと豆粒のようにしか感じられず、がっかりされている方がちらほらいらっしゃいました。まあまあ、せっかくなので直接空を見上げてはいかがでしょう。

しばしば、「今日の月はでっかい」という表現を耳にすることがありますが、ごく簡単に言えば、それは錯視のひとつです。昇りかけや沈みかけの月が大きく見えるのは気のせいに過ぎず、周りの景色や地平線からの高度によって脳が補正をかけ、大きく感じられるように処理をしているのです。

これは、低い位置にある月と高い位置にある月を、スマホなりデジカメなりで撮り比べてみれば、すぐに分かります(もちろん倍率は同じにして)。人間の目では大きく見えている時も、逆に小さく見えている時もばっちり同じ大きさで写っていることでしょう。写真という字は、真実を写すと書く通り。

体感的に確かめたい時は、たとえば5円玉を用意して腕を伸ばし、中心の穴に月を入れてみるといいかもしれません。月がどの位置にあろうと、どんな大きさに感じられようとも、同じように穴に収まっているはず。昇りかけだからといって、穴からはみ出たり、まして5円玉を超えるようなことは決してありません。

ただし、軌道によって地球との距離が5万kmほど前後するタイミングがあり、最短距離まで近づいた時(地球から35万kmちょっと)の満月が、スーパームーンと呼ばれるものです。最も距離が離れた時の月と比べると大きくなるのは事実ですが、同一条件で撮った遠い時の月の写真と重ね合わせて、どうにか分かる程度。この時もやはり「今日はスーパームーンだ」という心理が影響し、大きく見せているようです。

……という話を、随分前に天文学の先生から伺いました。

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