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#313 エリザベスタウン

「好きな映画を5本挙げて」と言われると、3本は流動的だけど、2本は確定している。1本は『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』、もう1本は『エリザベスタウン』だ。

いずれもクルマの存在に妙味があり、とりわけ『エリザベスタウン』はそれ無くしては成立しない。自分のクルマに積んでいる2枚のサントラCDを、今も時折聴いている。

物語の主軸は、エリザベスタウンのあるケンタッキー州からオレゴン州までの道のりを描いたものだ。州と州の間は、ざっくり3500kmほどある。その途中で立ち寄った場所、出会ったひととの交流を通して、傷ついた主人公の心が再生されていく……というロードムービー。したがって、映画の大半はドライブシーンで構成されている。

それは、キャビンアテンダントのクレア(キルスティン・ダンスト)が、オーランド・ブルーム演じるドリューにこう言って始まる。

To have never taken a solitary road trip accoss country? 
I mean, everybody's gotta take a road trip at least once in their lives.
Just you and some music.
じゃ、クルマのひとり旅をするのも初めて?
だったら、人生に一度は経験しなきゃ
音楽を道連れにね

ELIZABETHTOWN / A CAMERON CROWE FILM

と思っていたものの、先日久しぶりに観て驚いた。およそ2時間ほどの映画の中、そのドライブシーンってやつは、最後のわずか10分ほどに過ぎなかったのだ。感覚的には、全体の7割ほどがステアリングを握る主人公の横顔と、車内で流れる音楽だったはず。少なくとも半分はそうだったはず。一体全体どこでどう記憶が違ったのか。

だけれども、好きな映画の自分ランキングに変動はない。



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