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TEAM SHACHI の無料配信ライブがすごい 【083/200】

ヤマカワタカヒロです。

前回、中村一義さんの配信ライブについて書きましたが、今週も配信ライブについて。

7/28に「TEAM SHACHI TOUR 2020~異空間〜:Spectacle Streaming Show “ZERO”」(シャチZERO)が、YouTube LIVE、SPACE SHOWER TV Official LINE LIVE、そしてスペシャアプリで配信されました。

中村一義さんのアコースティックギター&ボーカルだけの配信ライブも本当に素晴らしかったわけですが、こちらのTEAM SHACHIの配信ライブ「シャチZERO」も本当に素晴らしかった。

TEAM SHACHI は、ももいろクローバーZの姉妹グループで、名古屋を拠点として活動するラウドポップガールズユニットです。
スターダストのアイドルグループの中で「ローカリズム」のコンセプトを掲げる、地方を拠点としたグループのリーダー的存在。
(ちなみに「TEAM SHACHI」と書いて「シャチ」と読み、チームは読みません)
(※2021年10月に「チーム」読みが解禁され、「チームシャチ」となりました)

2012年に「チームしゃちほこ」として結成され、2度のメンバーの卒業を経て、2018年に「TEAM SHACHI」に改名し、新たなスタートを切っています。

僕自身、十年来のモノノフでありつつ、気がつけばタフ民(TEAM SHACHIのファンネーム)としてチームしゃちほこ及びTEAM SHACHI を熱心に応援しているわけですが、今回の「シャチZERO」は、ファンとしてのひいき目以上に、withコロナ時代におけるエンターテインメントとして、本当に素晴らしいものだったと感じています。

10/21にBlu-rayが発売されていますので、ぜひご覧ください。(※2020.10.21更新)


以下、「シャチZERO」の何がすごかったのか、を書いてみます。


ライブ自体のクオリティ(質)がすごい

無料配信ライブは通常、新規ファン獲得のマーケティング目的での実施が定石なので、そこまで多くのお金をかけられないし、曲数も限られ、セットや演出もそれほど凝ったものにはなりません。が、今回の「シャチZERO」はリアルライブでもなかなか見ないほどのクオリティでした。

■曲数:本編24曲、アンコール1曲
■時間:約2時間30分
■出演:TEAM SHACHI
ホーンセクション:ブラス民(A.Sax、T.Sax、B.Sax、Tp×2、Tb)
Band:Gt.masasucks(the HIATUS) Ba.MIYA  Dr.Tatsuya(crossfaith)
Guest Gt:ヒダカトオル(THE STARBEMS)
Guest Rap:MCU(KICK THE CAN CREW)

このスペックだけでどれだけガチなライブだったのかイメージできるかと思いますが、何よりも全25曲のライブの構成が素晴らしかった。
グループのコア価値であるメンバー4人のダンスと歌唱で魅せる楽曲、バンド+ホーンセクションを加えてガンガンに攻める楽曲、Guestを迎えてさらに変化を加える楽曲、そして、メンバーのピアノ演奏に合わせた4人だけの歌唱で聴かせる楽曲など、動と静、陰と陽の振り幅が素晴らしい。ステージ上のパフォーマーの誰を見ても楽しめる構成で、1回の視聴ではとても見切れない(これはリアルライブでまさに感じる感覚)。無観客の会場全体をステージとして縦横無尽に駆け回るパフォーマーたちと躍動感のあるカメラワーク。そして、リアルライブ会場では存在しない、目まぐるしく更新されるチャット欄のリアルタイムコメントが、ライブとしての一体感をつくりあげていました。

TEAM SHACHIのメンバー4人は「シャチ(チームは読まない)」だけれど、「シャチZERO」に参加したメンバー、サポートメンバー、ゲスト、スタッフ、そしてファン全体がまさに「チーム・シャチ」であり、TEAM SHACHI というユニット名のコンセプトを体現しているように感じます。


「無料配信」にまつわるストーリーが熱い

このクオリティのライブがどうして「無料配信」だったのか。その理由を理解するには、この配信ライブの開催に至る経緯をさかのぼる必要があります。
「シャチZERO」のライブタイトルに入っている「TEAM SHACHI TOUR 2020~異空間〜」は、2020年2月〜4月に開催される予定だったツアーの名称です。新型コロナウイルスの感染拡大により、このツアーは2月の3会場を終えたのち、残りの公演がすべて「延期」(のちに「中止」)となりました。

このツアー最大の公演であり、TEAM SHACHIにとって特別な節目公演であった4/19のLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演は、無観客配信ライブとしての開催されることが決まり、ファンへの協力を呼びかけたクラウドファウンディングは、渋谷公会堂のキャパを上回る約2500人から1000万円以上の支援を集めました。
しかし、これもコロナの影響により5/24へ延期され、さらに緊急事態宣言の発令により7/28へ再延期され、ようやく今回、開催に至りました。リアルライブから配信ライブへの変更、そして決定していた日程の二度にわたる延期が、演者のみならず、運営スタッフにどれだけの落胆と、度重なる調整業務に追われる負荷とストレスをかけ続けたか、想像に難くありません。
ライブ中のMCで「待たせ続けたファンのために」と語ったメンバーの想いは、その裏側で一緒に闘ってきた運営スタッフ全員の気持ちを代表したものだったのだろうと思います。

今回の「シャチZERO」の「無料配信」は「4/19の約束を果たすため」だったわけですが、クラウドファウンディングで集まった1000万円で、ツアー中止をめぐる損失の補填と今回の配信ライブの開催資金を賄えるはずもありません。
TEAM SHACHI からしてみれば、損益計算以上に、この未曾有の危機の中、未来への希望をかけたクラウドファウンディングの呼びかけに応えてくれたファンたちに対する想いを込めた「無料配信」だったのでしょう。もちろん、これを機に新規のファンを獲得したいプロモーション目的も当然含まれています。
ファンもそれを十分わかっているからこそ、この「シャチZERO」を既存ファン以外の人たちに見てほしいと、SNSを通じて運営のプロモーション素材を拡散したり、ファンが自作の動画をつくって配信したり、運営と一体となったプロモーションを続けました。結果、ライブ当日のTwitterで「#シャチZERO」はトレンド入りを果たし、YouTubeライブのリアルタイム視聴はクラウドファウンディングに参加した2500人の倍、5000人を超えました。
演者&運営からファンへの想い、それに応える2500人のクラウドファウンディング、その想いに応えるすごいクオリティの「無料配信」、その想いに応えるリアルタイム5000人視聴。TEAM SHACHIとファンの想いの「倍返し」のリレーが、この「無料配信」をめぐるストーリーとして展開されました。
※YouTube&スペシャアプリ&LINELIVE合計での最終的な当日の総視聴数は55,000人


何度でも 夢を見よう

アンコールでのMCの中で、メンバーの大黒柚姫が「もう一度、日本武道館を満員にしたい」と宣言しました。
チームしゃちほこ時代、ももクロバブルに乗って満員で埋めた初めての武道館。グループとしての勢いを失い、かつ、体調不良によるメンバーの卒業を受け入れなければならなかった、スクリーンと暗幕で空席を埋めた2度目の武道館。そして、さらなるメンバーの卒業を受けて、改名し、数百人規模のキャパから再起を図ることを決意したTEAM SHACHI として目指す3度目の武道館。

ミュージックシーンの中で追い風が逆風に変わり、同世代のグループが次々に解散していく中で、再起をかけた決意のツアーをコロナショックが襲いました。そして、今もなお、これからもさらに、厳しい状況は続いていく。それでもなお、TEAM SHACHI は前を向いて、上を目指して歩き続けることを宣言しました。

理由はないけど 自信はあるの

そんな歌詞を笑顔で歌う。

あの日の別れ あの日の悔しさ 乗り越えて ここにいる

そんな歌詞を拳を振り下ろしながら歌う。


TEAM SHACHI が置かれている現実の状況は、3度目の武道館は遠く霞んでいるし、その先の大目標であるナゴヤドームは、前マネージャーの言葉を借りれば「鼻で笑われる目標」でしかありません。でも、だからこそ、実現してほしいと思うし、一緒に実現したいと思います。

シンガーソングライターとしての僕自身の大目標である日比谷野音も、遠く遠く霞んでいる、鼻で笑われる目標です。
でも、目指したいものは目指したいし、目指しちゃいけない理由なんてない。

僕は、TEAM SHACHI の姿に、自分を投影して応援しているんだと思います。
だからこそ、勢いのあった頃よりも、地に足をつけて力強く前に進もうとしている今のTEAM SHACHI が眩しく見えるのだろうと。

TEAM SHACHI としての始まりの楽曲「DREAMER」
ラスサビに向かう最もエモーショナルなブリッジ部分で彼女たちはこう歌います。

今 初めて出逢う景色の中 眩しい奇跡感じたなら
何度でも 夢を見よう
どんな時も この瞬間は二度とない

30代後半になって本気で歌うことをがんばろうと決意した僕が、一回り以上年下のガールズユニットの背中から、たくさんのことを学んでいます。TEAM SHACHI を観ていると、「この歳だから」とか、「現実は」とか、そういうのは、恥ずかしくて言えなくなりました。

へこたれることもたくさんあるけど、鼻で笑われるような眩しい目標に向かって、僕も、スーパータフにがんばっていきたいなと思います。


未来は、きっと、明るい。



noteを読んでくださりありがとうございます。 歌を聴いてくださる皆様のおかげで、ヤマカワタカヒロは歌い続けることができています。 いつも本当にありがとうございます。