R.I.P. 鮎川誠

 ギタリストの鮎川誠氏が亡くなりました。享年74歳、膵臓がんだったそうです。まだまだライブをやっているというイメージだったのですが、昨年12月4日のライブは出演したものの、12月31日のライブは急病でキャンセルしていたということです。その昨年のライブ本数は43本だそうですから凄まじいです。

 初めて音源を聴いたのは大学生の時だったか。サークルの先輩がサンハウスのコピーをやっていて、サンハウスを聴いたのか、その前にシーナ&ザ・ロケッツを聴いたのか、どちらがどうだったかすっかり忘れてしまいましたが、そのあと聴いたのがソロアルバムの「LONDON SESSION #1」でした。これにハマりましたね。「LONDON SESSION #2」もありましたが、圧倒的に「LONDON SESSION #1」ばかり聴いていました。どちらもウィルコ・ジョンソンとの共演で、トラディショナルなブルースを見事にロックンロールに仕上げてくれているので、とにかくよく聴いて、コピーもしてみたものです。

 しかしながら、コピーしてみるとコードも単純だし、ソロもそれほど難しいわけではないので、何となく弾ける気になってちゃんと練習しておりませんでした。アドリブも少し齧ったころだったので、ソロもそれなりに弾けるなんて生意気なことを思っていたのですが、実際にこの演奏を再現できるかと言えば、とてもじゃないけどできません。音作りと、独特のフレーズと、そしてまた歌がカッコいい。時間が許せば、もっときちんとコピーして、少しでもあのような演奏に近づいていきたいものです。

 そんなカッコいいギターと歌を聴かせてくれる彼のビジュアルがまたカッコいいのです。痩身の長身で、サングラスに低い位置に構えた黒のレスポールが凄くよく似合います。憧れて、真似したくもなるわけですが、残念ながら私が真似して似合う要素が全くありません。鮎川誠になろうとしても、ブルーズ・ブラザーズの小さい方がいいところです。全然知らなかったのですが、父親がアメリカの軍人、母親が日本人のハーフで、父親とはローマ字で書いた手紙のやり取りだけで、会ったことはないのだそうです。一方、幼い頃は「進駐軍」とか「あいのこ」なんて呼ばれて、差別を受けていたとのことでした。カッコいいビジュアルでも、ご苦労があったのでしょうね。

 ライブを観たのも1度だけ、2015年に下北沢GARDENにて「MUDDY WATERS生誕100周年祝賀ライブ」を観に行きましたが、これを見ることが出来てよかった。アルバムを聴くのも良いけど、やっぱりライブ映えされる方だと思います。先日のジェフ・ベックに続いて、とても残念ではありますが、カッコいい音楽をありがとうございました。 R.I.P.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?