無許可営業

 江別市の自動車整備会社社長が、貨物自動車運送事業法違反の疑いで逮捕されました。警察に寄れば、昨年1年間で約1億円を売り上げていたということです。しかしながら、報道では、「去年10月、運輸局から運送業の許可を受けずに3回にわたって、料金を徴収して飲料や雑貨などの荷物を運んだ疑いが持たれています。」、「去年6月、釧路市内で、無免許でトラックを運転した疑いと、去年10月、車検や自賠責保険が切れたトラックを従業員に運転させた疑いでも逮捕されました。」とありました。これでは流石に約1億円を売り上げることなどできないでしょう。トラック1台、一ヶ月に100万円売上げたとしても、8~9代のトラックが必要になります。報道を見る限りだと3回しか運送を行っていないようですからおかしな話です。

 「飲料や雑貨など」とありますが、飲料なんて言うのはほとんどの場合大手運送会社が仕切っています。雑貨という言葉はちょっと幅広いので何とも言えませんが、いずれにしても下請いや孫、ひ孫以下の受注だと思います。こうした受注階層がまかり通るのは業界のよろしくないところで、下請けに流れれば流れるほど品質は低下していき、いきつくところではこういうケースになってしまうのでしょう。もちろん、一概に外注を否定するわけでもなく、故障やドライバーの体調不良等の緊急時にお願いするとか、それ以外でも丸投げではなく仲介することでしっかりと価値を想像しているのであれば全く問題ないと思います。しかし、このケースでは見事に価値を下落されています。

 とは言え、弊社も孫請け、ひ孫請けなんていう仕事をやっていないわけではありませんし、外注するケースもあります。しかしながら、外注するケースではしっかりと運送会社名、車両ナンバー、ドライバーさんの氏名と携帯電話番号が通されるのが通例です。しかも、積込先がメーカーの物流センター等であれば、白ナンバーの車両が積込することはほぼ不可能だと思います。思いつくのは通した車番の車両が積込んだ後に、どこかで無許可業者の車両に積み替えているということです。こうなると、仕事を出した側もグルですね。いや、仕事を受けて、他者に外注するのであれば、品質を担保するのはやっぱり受けた会社の責任です。ですから、そうした管理責任はついて回るはずなのですが、業界の階層構造がそうした意識を薄くさせているようにも思います。

 一方で、対応できる車両が無くて、どうしようもない状況の中でこうした対応をしてくれるというのは、ミクロで見て依頼した側からするとありがたくて、ダメだと分かっていても甘えてしまうのかもしれません。こういうケースは出荷元まで遡って指導して頂きたいものです。しかしながら、業界全体から見たら、こんなことやっていたら良くなるはずはありません。

 しかし、1億円の売上というのがちょっと気になります。勝手な想像ですが、他にも悪いことしているのでしょうね。

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