巴投げ

 パリオリンピック柔道48㎏女子日本代表の角田夏美選手が見事に金メダルを獲得しました。31歳にしてオリンピックは初出場、ひざの怪我なども抱えながら、大会二日目、日本人第一号の金メダルです。

 角田選手が得意とするのが巴投げ、そしてそれが崩れてからの寝技、特に腕ひしぎ逆十字です。巴投げという技があるのは知っていましたが、本当にあんな技がきれいに決まるのは初めて見ました。私自身は柔道をそれほど観ているわけではないので、実際にはどの程度使われる技なのか分りませんが、オリンピックの柔道の試合の結果等でも巴投げというのは聞いたことがありません。

 そもそも、巴投げというのは向かってくる相手の力を利用して後方に投げるようなイメージがあります。キレイに決まるには相手の協力が欠かせないようにも見えてしまいます。しかしながら、先程、「あんな技がきれいに決まる」と書いたこととは矛盾するのですが、角田選手の巴投げ、技のかけ始めは結構強引に見えました。自ら背中をついて、足を相手の骨盤辺りにこじ入れて、グイッと伸ばしていました。そこまでは、かなり強引に見えるのですが、いざ投げると、きれいに相手を一回転させてしまいます。

 その、巴投げを崩された時は、相手の脇が空くので、腕ひしぎ逆十字に持っていきやすいとのことでした。どのタイミングを「空く」と表現しているのかわかりませんが、素人には分からない一瞬の事なのかもしれません。

 細かく観ていませんが、ほとんどの試合、このパターンで勝っていました。勝ちパターンがあるというのは良いと思いますが、相手だって超一流のアスリートですから、その技が来ると分かっていればそれなりの対策を考えて試合に臨むことでしょう。その対策をもろともせず、同じパターンで勝ってしまうのですから、凄まじいです。

 52㎏級には阿部詩選手がいるので、厳しい減量を経て48㎏級で出場しているそうですが、そうしたストイックさも素晴らしいですね。それだけ強いのに、かわいらしいのですから私も一回投げられてみたいです。腕ひしぎ逆十字は腕が折れても困るので遠慮しておきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?