【第3回】アメリカのトレーナー現場を紐解く~1年間のインターンシップを通して感じた4つのポイント~
第3章 トレーナーの現場
ここでは本題であるアメリカのトレーナーの現場について書かせていただきます。各大学にはAthletic Departmant(大学体育局)と呼ばれる部署があり、各大学のスポーツに関わるプログラムを統括しています。
その中に所謂トナーナーチームを言われるAthletic Training Department(Sports Medicine teamとも呼んでいます。)が存在します。私もAthletic Training Departmentに所属し、実習をしています。
私の大学ではフルタイムのATCが4人、Graduate Assistant(大学院に通いながらATCとして働くパートタイムスタッフ;GA)が2人、学生トレーナーが20人程度います。
※National Championship game後、Sports Medicine Teamでトロフィーとともに撮影。
アメリカの大学ならではなのが、シーズンによって担当スポーツが変わるということです。(下記参照)私の場合、8月の頭から12月中旬にかけてはアメリカンフットボール、10月の下旬から3月の上旬までは女子バスケットボール、3月の上旬から陸上というように担当しました。
日本では1年中アメリカンフットボールに帯同していた私にとっては、どこか物足りなさがある一方で、他のスポーツにも帯同できる機会は貴重な経験になりました。
また、担当スポーツだけでなく、指導していただけるATCの方、一緒に実習する学生トレーナーも変わるので様々な視点から学ぶことができます。
このように、シーズンによってあらゆることが変化するので、コミュニケーションをうまくとることはチームに馴染むためには欠かせないと思います。
【大学スポーツのシーズン】
次に、トレーナーが主に選手のケアやリハビリを行うAthletic Training Room(以下、ATR)の紹介をさせていただきます。
Texas A&M大学Commerce校のATRは第2章で紹介させていただいたField Houseの中にあり、選手のケアやテーピングを行うケアゾーンとリハビリを行うリハビリゾーンに大きく分かれます。その他にも、whirlpoolやIce Machineが設置されているhydrotherapy areaやフルタイムのATCの方のオフィスがあります。
ケアゾーンにはケアテーブルが7台とテーピング用テーブルが6台あり、物理療法を利用したケアやストレッチ、テーピング等を行います。
リハビリゾーンには様々なリハビリ器具があり、トレーナーが選手のリハビリの補助をします。ATRで行っていること自体は日本とも大差はないかと思いますが、設備はアメリカの方が充実しているような印象があります。競技施設と同様にDivisionIの大学ほど、広くてより高価な器具などが設置されたATRを持っています。
※ケアゾーンの様子。隙間時間を見つけてテーピングの練習をしているところ。
学生トレーナーとしてインターンシップをさせていただき一番気を使ったところは、選手の身体を触る際には必ずATCの方の許可を得るようにすることです。
有資格者の許可を得ることは日本でも当たり前のことかもしれませんが、訴訟大国であるアメリカではよりセンシティブになる点ではあります。
学生トレーナーが適当なことをして怪我を悪化させたとして、それで訴えられたらこちらとしては何もしようがありません。それに加え、英語もままならない僕にとってはよりセンシティブにならないといけない部分でした。
インターンシップではストレッチやテーピング、物理療法のセッティングなどをまず最初に教えて頂きました。
日本に比べ、ストレッチのテクニックやテーピングの技術がものすごく優れているかと言われるとそんなことはないと思います。ベーシックなものばかりだと思います。
ただ、それでも適切にできていないとなると選手のストレッチや足首のテーピングなどを任せてもらうことはできません。
普段から隙間時間を見つけてATCの方に質問したり確認してもらうなど、学ぼうと姿勢を見せることはすごく大切だと思います。そういった姿勢を見せることで、こいつなら任せても大丈夫だなと思ってもらえるようになります。
これはアメリカに限らず万国共通ではあると思いますが、アジア人は真面目に取り組む人が多いので評価されやすいというのも感じました。言葉が通じないことに怖気ずに積極的に取り組めば、少々英語が話せなくても充分に評価をしてもらえます。
実際に私の場合も、選手のリハビリを任せてもらえたり、試合に帯同させてもらえたりするようになりました。
※リハビリゾーンの様子。写真はストレッチの仕方を学んでいるところ。
※hydrotherapy areaの様子。写真は練習のために水を用意しているところ。
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