自分の城へのこだわり

旅の初日の夜。

なんとなく硬派なバーとかでお酒が飲みたくなって、思いつきで糸島方面に車を走らせました。

駐車場で車中泊するのに安上がりなことも相まっての選択でした。

糸島 バーとかググって、なんとなく選んで電話をかけたら、ねーちゃんもカラオケもないとおしゃる。

十分な条件だったのでそこに向かって、どう見ても朝方まで勝手に停めても良さげな場所を見つけて店主に電話したら、すぐ近くなので迎えにいくとおっしゃいました。

女性の店主でした。

昔はスナックに勤めていたということでした。

ご主人と離婚し、子どもも巣立って糸島に流れて一人でやっていると。

2千円でなんとかしてくれと言ったら、大体うちの相場ですということだったので安心しました。

様子を伺いながらおしゃべりしているうちに、ひょっとして私の絵葉書とは隅っこに置いてくれそうだったので、たまさか額装していたものを見せたら、たまさか氣に入ってくれて、置かせてもらう運びになりました。

調子こいて、ストックしていた絵がガキの束を一つかみ差し出して、なんかしら反応していただいたお客さんにお分けしてほしい旨を伝えて、承諾を得て。

面白かった。

街の片隅のバーです。

狭いお店。

ご自身のこだわりが詰まっている。

立派な淑女の城です。

そんな張り詰めた空間に、わたしのものは異物です。

ご自身の世界にわたしが受け入れられた。

絵描冥き利につきます。

所有の概念。

モノって、確かに人の心を動かす力があります。

大量生産大量消費。

まるでナンセンス。

わたしは絵葉書一枚で勝負します。

描きたくなれば油絵など増やすこともわけないことですが、今はそんなことをやれと、わたしの内側がわたしに対して強く言っているようで。

自分の心がけ次第で、日本人にも抽象画であるわたしの絵が受け入れられる。

わたしはブロック警備の仲間と触れ合って氣づかされ、確信を得ました。

向かう所敵なしです。

東峰村くんだりで待つよりも、ノマド絵描きが有効だと思いました。

山下清さんより煩悩が大きい分、荷物がうんとあったりします。

彼って、おむすびとか人から分けてもらったんでしょうね?

今の時代、通用するのかな?

でもやってることは、多分似たようなことになりそうです。

彼はいわゆる知恵遅れさんだったから、お金に対してもうんと素直だったのでしょう。

車のドアを開けていると、結構涼しい。

なんかしら知恵が湧くまでテキトーに過ごします。

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