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日本年金機構のミカタ

以下のような記事が出ていました。

記事の本題は、見出しの通り、専業主婦のパートに厚生年金の加入を薦めるものでいいのですが、以下の一文が引っ掛かりました。

もう一つは、年金関係の事務を担当しているのは公務員であって、彼らの給料は年金加入者の支払った保険料ではなく、税金から支払われているからである。民間の保険会社の年金商品よりもはるかに有利なのは、ちゃんと理由があるのだ。

一般の方はこれを見ても、ピンとこないかもしれませんが、

年金関係の事務を担当しているのは公務員ではありません!

皆さんが年金についての手続きや、相談に行く年金事務所は、日本年金機構が運営していて、そこで働く職員は公務員ではないのです。これは結構多くの方が誤解しているところですね。

ちょうどいい機会なので、日本年金機構について紹介したいと思います。

まずは、ウィキペディアからの抜粋です。

機構は、公的年金業務の適正な運営と日本国民の信頼の確保を図るため、社会保険庁を廃止し、公的年金業務の運営を担う組織として2010年(平成22年)1月1日に発足した(実際の業務開始は同年1月4日)特殊法人である。同機構は役員及び職員の身分は公務員としないが、役職員は刑法その他の罰則については、「みなし公務員」規定が適用される。

これを見て、「みなし公務員」ならば公務員と同じようなものではないかと思うかもしれません。しかし、刑法その他の罰則については公務員と同等ですが、その待遇はどうなんでしょうか。

以下は、日本年金機構のアニュアルレポートからの抜粋です。

まずは、役員の報酬です。トップである水島理事長の年間報酬は1896万円です。水島理事長は、三井住友銀行の副頭取だった方ですが、メガバンクの役員であれば、この報酬の倍はもらえるはずです。

国民生活の基盤である公的年金保険制度を運営している組織のトップとしては、大変つつましいものではないでしょうか。

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次に職員の給料を見てみましょう。下のグラフによると、職員の平均給与は、国の平均給与額(=公務員)を下回っています。

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また、下は国税庁が公表している「民間給与実態統計調査(令和元年)」からのデータです。上の年金機構のデータと比較すると、機構の平均年収はだいたい従業員1000人以上の企業と同水準で、5000人以上の企業よりは劣る感じです。

民間企業平均年収2

従業員数だけで単純に比較はできませんが、年金機構の正職員数は1万1000人ですから、規模の割に年収は低いということが言えるでしょう。

そして、下の職員数をみると、正職員1万1000人の他に、契約職員がいることがわかります。契約職員は、数字は公表されていませんが、正職員と同じくらいの数だといわれています。

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年金事務所の窓口や電話口で、お客様の対応にあたっているのは、実はその多くが契約職員なのです。それでは、契約職員の待遇はどうでしょう。下の契約職員の募集内容一覧表をご覧ください。

小さくて見づらいかもしれませんが、表の真ん中あたりにある数字が、契約職員の日給です。東京都下の事務センターと年金事務所では一律9040円です。これを時給にすると1130円で、東京都の最低賃金は1013円ですから、正直、最低賃金に毛が生えた程度(といっては失礼ですが....)のものなのです。

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このように、年金関係の事務を担当しているのは公務員ではなく、その業務の重要性や難しさに比して、けっして恵まれているとは言えない待遇で、それでも国民のお役に立ちたいという思いで働いている、日本年金機構の職員と契約職員なのです(ちょっと美化しすぎかもしれませんがw)

かく言う私も、ある年金事務所で契約職員として働いたことがあるんですけどね。

社会保険庁時代の杜撰な記録問題のことがあるので、その業務を引き継いだ年金機構に対しても、世間の目はきびしく、何かと批判の的になりがちです。

事あるごとに「民間では考えられない」的な批判を耳にしますが、民間企業においても、ハッカーによる情報漏洩のリスクにさらされているし、業務委託先の中国企業に個人情報が筒抜けだったなんてことが起きているのです。

年金機構に対してやみくもに批判することは、かえってその業務運営の妨げとなり、それは巡り巡って私たちの不利益となりかねません。そこら辺のところをもっと考えて欲しいと思います。

以上、日本年金機構のミカタでした。




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