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あなたにもあるかもしれないお宝、厚生年金基金を探せ!

こんにちは。年金界の野次馬こと、公的年金保険のミカタです。

先日、私が投稿した下の記事ですが、タイトルをちょっとキャッチ―なものにしてみたのは良かったのですが、今年から60歳を迎える、誕生日が昭和36年4月2日以降の男性は、支給開始年齢が65歳なので、図で示すような特老厚の請求は無くなり、65歳時で請求ということになります。

したがって、65歳時の手続きや繰下げ待機をする場合の手続き方法については、現行のものと変わる可能性があるので、ご了承ください。

あと、この記事の冒頭で、「好物の年金のトンデモ記事とかトンデモ発言が少なくなってきた」なんて言っていますが、完全にフラグとなってしまいました。反省しています。

と言いつつ、今回もキャッチーなタイトルをつけてみました(笑)

前の記事の最後で、厚生年金基金の請求漏れが多いことについて触れて、これを改めて取り上げるとしていたので、今回は厚生年金基金について解説します。

厚生年金基金とは

厚生年金基金(以下「基金」と呼びます)とは、企業年金制度として1966年に始まった制度で、1996年には1800余りの基金が存在していました。基金による年金給付は以下のような仕組みになっています。

基金は、厚生年金保険料の一部を預かり、運用することによって、国から支給される老齢厚生年金の一部を肩代わりして「基金代行部分」として支給し、さらに「プラスアルファ部分」を上乗せすることとされていました。

そう言えば、今でもSNSで「厚生年金の保険料払う代わりに自分で運用した方がいい!」という方をよく見かけますが、基金はまさしくそれを実行していた制度だったのではないでしょうか。

さて、そんな基金の顛末はどうだったのでしょう。

基金代行イメージ

バブル前に設立された基金の多くは、予定利回りが5%を上回る水準に設定されており、やがて、バブル崩壊後の低金利の長期化による運用難のために財政が悪化してきました。それを何とか補おうと無理をした結果、2012年には「AIJ投資顧問」による不祥事により、1000億円を超える損失を被る基金が出て、基金を解散させる制度改正の契機となりました。

現在は、新規の基金設立はできず、ピーク時に1800余りあった基金のほとんどは、代行部分を国に返上し、確定給付型企業年金に移行、解散したため、以下の5つの基金が存続するのみとなっています。

【存続している厚生年金基金(2021年5月1日現在)】
・全国信用金庫厚生年金基金
・国会議員秘書厚生年金基金
・全国信用保証協会厚生年金基金
・道路施設協会厚生年金基金
・三井不動産リアルティ厚生年金基金

やはり、国の年金制度と同様、あるいはそれを上回る給付を、民間企業や個人レベルの積み立てによって実現しようというのは難しい、ということを厚生年金基金の制度の変遷が物語っているのではないかと思いますが、いかがでしょう。

厚生年金基金から支給される年金

基金の加入期間がある方の年金は、以下のように支給されています。代行部分は、2014年(平成26年)3月31日以前に解散した基金については(図の【2】)、企業年金連合会から支給されますが、2014年4月1日以降に解散した基金については(図の【1】)、国から支給されることになり、「代行部分」ではなくなります。

基金給付

また、厚生年金基金を短期間で脱退した「中途脱退者」に対しては、上の【2】と同様に、企業年金連合会から支給されることになります。昔、基金のある企業に勤務していた方などは、これに該当しますが、昔のことですっかり忘れているケースが多くあります。

厚生年金基金の受給年齢に達していながら年金の請求をしていない方は、2019年度末において115万人もいます。先に紹介した現在も存続している5つの基金に加入している方は、そちらで確認するとして、それ以外の方は、これから説明する方法で確認してみてください。

企業年金連合会に問い合わせる

一番手っ取り早いのは、企業年金連合会に直接問い合わせる方法でしょう。下の企業年金連合会ホームページより、基礎年金番号、氏名、生年月日、メールアドレス等を入力すると、メールで年金給付の有無を知らせてくれます。

あるいは、電話でも問い合わせはできます。メールでは、年金額までは教えてもらえませんが、電話であれば教えてもらえます。

ねんきんネットで調べる

次に、ねんきんネットを利用して確認する方法について説明します。ねんきんネットを利用するには2つの方法があります。

年金機構のホームぺージからログインする

https://www.nenkin.go.jp/n_net/index.html

そのためには、「アクセスキー」というものを使って、ログインIDを取得し、ユーザー登録をする必要があります。アクセスキーは、ねんきん定期便に記載されてますが、定期便がなかったり、アクセスキーの有効期限が過ぎてしまった場合には、再度取得する必要があり、少々手間がかかります。

マイナポータルからログインする

マイナンバーカードを持っている方は、それを使って、マイナポータルからねんきんネットにログインすることができます。

ねんきんネットにログインしたら、以下の手順で確認します。

(1)メニューから「将来の年金額を試算する」を選ぶ
(2)「かんたん試算」を選ぶ
(3)「試算条件を確認して試算する」という画面で「試算する」と表示されているボタンをクリック
(4)試算結果が表示されるので、「金額の内訳」というボタンをクリック
(5)年金額内訳の「受給予定年金見込額(月額)」の下に「(ご参考) 基金代行部分(月額)」として、金額が表示されていれば、あなたには基金から支給される年金があります。

人によっては、代行部分にプラスアルファ部分が上乗せされる場合がありますが、これはねんきんネットでは分からないので、やはり、企業年金連合会に直接確認するのがいいかもしれませんね。

また、基金によっては、代行部分が在職老齢年金による減額の対象とならないこともあるので、その点も確認するといいでしょう。

ねんきん定期便にも代行部分が反映されるように

代行部分の年金額は、これまで50歳以上の方に送られる「ねんきん定期便」の年金見込み額には含まれていませんでしたが、今年度分からは、これが含まれるようになりました。

下の定期便のサンプルで、赤線で囲った部分には「※⼀般厚⽣年⾦期間の報酬⽐例部分には、厚⽣年⾦基⾦の代⾏部分を含んでいます。」と記載されています。

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したがって、昨年度の定期便と比べて、今年度の定期便の見込み額が増加している場合は、基金代行部分が反映されたせいかもしれません。ただ、定期便の見込み額は、その時々の給与の額によっても変わるので、やはり、基金の年金については、企業年金連合会に確認するのがいいでしょう。




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