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半分生きて、半分死んでいる

 元解剖学者、養老孟司さんの著書「半分生きて、半分死んでいる」をもとに、人間が幸せになるためには、どのように生きるべきかを考えていきたいと思います。

 私がなぜこの解説をしようと思ったかというと、養老孟司先生が世の中に対して感じていることが、非常に核心を得ていて、その考えを知ることで多くの人が救われると思ったからです。

◆現代の日本人は情報の中だけで生きている

 養老先生は、都会に住む現代人に対して、自然の中に行くことを推奨しています。それはなぜかというと、人生100年時代と言われている今、人が成熟するとはどういうことか、一生を全うするということはどいうことかを考えるときに、人間は自然から生まれたものであり、自然とは切り離せないと養老先生は思っているからです。

 生き物すべてが共生しているというのが、日本古来の仏教的な考え方で、それに対して生き物は別々であるという考え方は、特に欧米の人が持っている考え方であると、養老先生はご指摘されています。

 都会に住む日本の現代人は、その欧米的な考えをある意味で押し付けられ、苦しんでいる人が多いのではないでしょうかね?日本人がもともと持っている感覚と違う考えが、インターネットやテレビを通じて外から入ってくることにより、流されやすい人は個性がないとだめだとか、自分には個性がないと悩む原因になっています。個性というものは、生まれ持ってついてくるもので、生まれた時点で個性的なわけです。

 それを、個性が大事だとか、個性を伸ばす、個人が大事だというのは、欧米的なあまり深くない考え方であるともいえます。

 養老先生が若者と田んぼを歩いているときに、「この田んぼは将来のお前だ」といったそうです。若者が不思議そうな顔をしていると、「この田んぼで出来た米を食べて、お前の体はできているんじゃないか」と仰ったそうです。この話を聞いて、僕はなるほど!と思いました。自分の体というものは、自分以外のものから出来ている、それが、「人間は自然のいちぶである」「生き物すべてが共生している」ということなんだと分かったわけです。これを理解していない人は意外と多いのではないでしょうか?

 現代社会の人々は、本当はそれほど大切でもないことに右往左往している人が多い、と養老先生は仰っています。

世の中に情報はあふれていますが、本当に自分に必要な情報が何なのかを集中して考えて、他人と自分を比べるのではなく、自分のもっているもので自分なりの絵を描けばいいじゃないか、それが人として成熟し、人生を全うするハッピーな人生だと養老先生は教えてくださいました。



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