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She mo’ kita!

2月の間に何度か綴ろうと思ったnoteは、下書きにすらひと文字も残せないまま今日まで来た。
1月に、ある楽曲データの納品を終えて、ほっと一息ついたのも束の間、年明けからそれと並行していた自身の曲にも手を加える作業のみに移行していたのだけれど、今度はとあるシンガーソングライターの楽曲編曲のお手伝いの話ももらい、またその作業に並行して自分の曲もやって…とやっているうちに、ふた月丸々をあっという間に費やしてしまった。
慣れない事ばかりで牛歩の作業だったけれど、なかなか楽しかったし知識も増えた。
そしてどちらの納品も終わり、今このnoteを綴っているのである。

そういえばつい先日のこと。
とある会話の中で「タカハシさんは古着って着るんですか?」と聞かれた僕は、「うんうん、買ってた事ある!」なんて答えながら、意識はあっという間に中学生の頃の自分に引き戻されていた。
1996年にリリースされて間もない大江千里さんの「SENRI HAPPY」を愛聴していた当時の僕は、収録曲は勿論のこと、歌詞カードに収まった千里さんのビジュアルにも相当憧れていた。
特に、歌詞カードの「Summer Valentine」のあたりの見開きのところ。確かそのあたりのページで、千里さんが走り跳びしているようなカットがあって、その写真で千里さんの身につけている長袖シャツの袖の広がっている様がえらくカッコよかった。
既に千里さんを真似て前髪をジェルで固めて立てて(狭いおでこをガンガン晒して)いたタカハシ少年は「こんなにカッコよく袖の広がるシャツを僕も着たい!」本気でそう思っていた。
けれどそんな素敵なシャツをどこで手に入れる事が出来るのか分からない。
そんなある日(確か中学一年生の頃だったと思う)、同級生の誰かが「下北に古着を買いに行こう!」と言い出した。
13歳ともなれば大体周りはオシャレをしようとし出すし、僕も着るものを自分で選ぶようにもなっていた。しかも古着なんて、なんか分かんないけど、なんかこう、そう、カッコよさそうじゃん。
結果、同級生たち大勢で(10人弱いたような…)自転車を漕ぎ、30分くらいかけて下北沢に向かった。
初めて足を踏み入れた下北沢で、どんな店にどれくらい入って何をどう見たか、具体的な事はもう思い出せないが、唯一覚えているのは「CHICAGO」で見つけたベージュのワークシャツ。
光沢があってテロテロしてて(多分ポリとかレーヨンかな)、手を振れば袖が大きく広がりそうな雰囲気がプンプン漂うシャツだったので、迷わず買った。
僕にとって生まれて初めての下北沢で手に入れた、生まれて初めての古着。気に入ってよく着てた気がする。
そういえば、千里さんに憧れてボルヴィックを飲んだり(エッセイ)、ザクロを食べてみたり(テレビかエッセイ)、テロテロのシャツを買ったり(「SENRI HAPPY」)、白いダッフルコート買ったり(「WINTER JOE」)、黒いクルーネックTシャツ買ったり(「Solitude」)自分で髪の毛をすきバサミで切ってみたり(ファンクラブの会報)、ビーズアクセサリー作ってみたり(ファンクラブの会報)、あの頃から僕は色んなところに千里さんからの影響を受けまくっていた。
今回、千里さんの最新アルバムがそうであるように、僕もひとり自宅でPCに向かい、こつこつと一曲を仕上げた。
きっともうすぐお知らせができるはず。

今もまだ実家にあるのだろうか。あの頃の僕にとっての、千里さんに近づく為だったワークシャツ。僕にとっての、初めての下北沢の思い出。

著者近影

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