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部屋と白シャツと私

白シャツ。
いつの間に憑りつかれてしまったのか、もう思い出せない。
気が付いた時には既に白シャツ狂い。
袖を通せば姿も気持ちもシャンとさせてくれる。
白シャツばかりが目について、白シャツに固執する毎日。
ふと気になって白シャツを数えてみたら、リネンシャツも含めて丁度20 着。
これでも 随分と減らしたのだ。
UNIQLO、無印良品から始まり、ブルックス・ブラザーズ、バンド・オブ・アウトサイダーズ、MHL、フット・ザ・コーチャー、ドレステリア、OMNIGOD、アニエス・ベー、ワイズ...
特に好きなのはボタンダウンシャツで、洗いざらしでシワを残してサラっと着るのが好み。
バンドをやっていた頃の後半から、ソロになってしばらくまでは、ライブ衣装も全て白シャツにデニムスタイルでやっていた。
そのバンド時代、面倒を見てくれていたレコード会社のプロデューサーから、「衣装にはきちんとお金をかけて、きちんとした物を着なさい」と教わった僕は、元々洋服が好きだった事も手伝い、本当にお金をしっかりかけるようになった。
白シャツ一枚に割とまぁまぁなお金を使う。
以前「プレタポルテ」というCDを作った時に、ジャケットデザインを白シャツモチーフ にしようという事になり、シャツをパンパンに詰め込んだ重くて大きなズタ袋を担いで、撮影スタジオに行った事を覚えている。
あのジャケットに写っているシャツは全て自前で、結構な量だったが、それでも当時所有していた半分くらいかそれ以下だった。
「タカハシコウスケ=白シャツ」を徹底していたが、ある頃から、親しい友人ミュージシャンが白シャツデニムスタイルを始めた。
そしてしばらくすると彼もそのスタイルを自身に定着させようとTwitterでも公言するようになってきた。
彼もメガネをかけている。そして白シャツとジーパンで表に出る。演っている音楽は違えど、僕は勝手に居心地が悪くなり、いつの間にかライブでは白シャツスタイルにこだわらないようになった。
そのおかげか洋服屋で白シャツを眺める回数も、白シャツを着る機会も激減した。

その頃からというもの、日焼けしないように普段からボックスに収めている白シャツたちが僕を呼んでいるような気がする事がある。「今日こそ袖を通しておくれ」と。
「すまん。今日はカットソーだ」「すまん。今日はセーターだ」心で呟きながら白シャツの入ったボックスに詫びを入れる。そして少し寂しくもなる。
明日か明後日か、その次の日に着てやるからな。

実はデニムも靴も恐ろしく沢山所有しているのだが、それはまた次の機会に。

「身体はひとつしかない」
そういえば昔、親からそんな事を言われたような気がする。

ちょっと気持ちが向いた時に、サポートしてもらえたら、ちょっと嬉しい。 でも本当は、すごく嬉しい。