それでも僕は、

四半世紀。
25年。

僕は高専という国立で高校と専門学校を足した、中学を卒業後に5年間通う学校に進学した。

15才で入学して緊張の面持ちの中、窓の外から見える別棟の校舎の一番上の教室のベランダにタバコを吸う先輩の人影を見つけて、とんでもない学校に入学しちまったと思った。

先輩方は決して(恐らく?)法律を犯していたわけではなく、5年間通う学校なので20歳の先輩もいるわけで、不良というわけではなかった。
(不良って表現がもはや古い?)

その中で、僕も2年生になり、その頃に演劇同好会(当時は演劇に興味があった)で知り合った風変わりな先輩に突然、軽音部の部室に呼び出された。

「お前、今の日本についてどう思う?日本が元気を取り戻すにはどうすればいいと思う?」

やべー先輩に捕まっちまったと思った。

「俺は、俺たちのような若者が元気であれば日本は元気を取り戻すと思う。だから、俺は音楽フェスをやる」

この時点では、未だやべー先輩に捕まっちまったと思ってる。

ただ、面白そうだと思った。
事務所を構えたから来いと言われて、学校の最寄駅から電車で隣駅へ行く。初めての町なので不安なまま、先輩に渡された手描きの地図をもとに空きビルへ。

ハッキリ言おう。
それが僕の人生を決定付けてしまった。

イベントの宣伝、寄付金集めの為にギター弾いて歌える連中は最寄り駅に行って歌って来い!
ギター弾けない者はチラシ配り!

僕は初めて出会ったギター弾き達と一緒に最寄り駅へ行ってチラシを配った。

ひと夏をかけてみんなで作り上げた音楽フェスは、思い出の中では大成功。

叔母が実家に置いていったギターを手に取ったのが、秋頃か。2〜3曲弾けるようになった段階で、件の音楽フェスで知り合った友人を誘って福井駅へ。
初めての路上ライブ。
ギターケースを持って駅前を歩くだけで、少し恥ずかしいような、ドキドキした。
ギターケースを開くのを何度もためらったことか。
今度はギターを抱えて、弾くまでに時間を要して、ついに1ストローク。

夢中になった。

それから、四半世紀。

「やめ時を見失った」なんてのは僕がよく使う表現。
ほんと、そうだと思う。

僕は天性の才能があるわけでもなく、音楽の神様に愛されてるなんて感じたことは一度もない。

楽しいからやってるんだけど、苦しい時もあるし、不安だし、いつまで経っても上手くならない。
いつやめたっていい。
お金にもならなけりゃ、時間も奪われ、危ない目にあった事も。

何故だろう。
四半世紀やってても、未だにギターを抱えて、ああでもないこうでもないと思案して、歌を作る。

クリエイティブなんて格好良い言葉で表現できない泥臭くて、誰かの為になんてなりゃしない、いつやめたって誰の迷惑にもならない、いわゆる自己満足の。

それでも僕は、

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