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母の食道がん体験談

※サムネイル画像は「山口大学大学院医学系研究科 消化器・腫瘍外科学」様よりお借りしました


母が食道がんの手術を受けたのは15~16年前ですので、その頃とは治療の仕方も変わっているかもしれませんが、⾷道がんの検査をこれから受けられる、あるいは今まさに治療中であるという方の参考になれば幸いです。そういう過程で治療が進んでいくのだという概要があらかじめわかれば、心の準備もできるのではないかと思います。
また私も、今になってようやく振り返る気持ちになりました。

きっかけは

事の発端は、正⽉明け、熱いお茶を飲んだら胃液まで吐き出してしまい、さすがにこれはおかしいだろうと、近所の病院で内視鏡検査を受けたら⾷道がんだと診断され、⼤学病院を紹介され、⾏くことになりました。⺟は当初、⾷道がやけどしたものかと思っていたようですが、そうではありませんでした。

検査内容

採⾎、内視鏡、MRI、造影CT撮影、超⾳波、⾻シンチ、PET等々、種々の検査に加え、⾷道がんは⾷道を切除し、残った胃や腸を吊り上げて頸に吻合しますので、胃や腸に何か問題がないか調べるため、注腸検査をします。かなり⾟い検査だったようです。

外科⼿術を選択

検査結果を受け、担当医から、『リンパ節への転移あり。①内視鏡⼿術、②外科⼿術、③放射線・抗がん剤治療とあるが、どれか1つ選べ』と⾔われ、外科⼿術を選択しました。
⾷道は、気管、頚椎、頚部動静脈、胸椎、⼼臓、肺、⼤動脈等々、重要な臓器や血管に取り囲まれておりますので、⾷道がんの外科⼿術は、右胸下・腹・頸を切開いたします。
また、粘膜下にはリンパ網が発達しており、たとえ表在がんであっても、リンパ節転移が頸部~胸部~腹部まで広範囲かつ⾼確率で発症するため、根治的治療にはやはりリンパ節郭清が必要であると説明されると思います。
ちなみに母はリンパ節を48個切除、手術時間は11時間かかりました。かなり長丁場になりますので、付き添いの方はそれくらい時間がかかると思ってください。

術前・術後化学療法

⼿術に先⽴ち、術前化学療法を⾏うことや、退院後、外来で術後化学療法、いわゆる抗がん剤治療を⾏うことがあります。⺟は術前化学療法を受けました。

⾷道がんの⼿術後①呼吸機能訓練

⼿術後の体は抵抗⼒が弱まり、痰を出す⼒も弱くなるため、無気肺になったり、誤嚥などをきっかけに肺炎を起こすことがあります。しかも、それにより、最悪、死に⾄ります。そのため、⼿術前より呼吸機能訓練器具を購⼊し、それに息を吐く呼吸機能訓練をやります。母はよく病室や病院の廊下や階段付近で訓練していました。

⾷道がんの⼿術後②バルーン拡張術/硬性ブジー法

呼吸機能訓練の次は、内視鏡で⾒ながらバルーンのついた拡張機器を喉の狭窄部の⼿前まで挿⼊、固定し、そのバルーンをふくらませることによって狭窄部を広げる「バルーン拡張術」、ないしは、内視鏡を⽤いて狭窄部にガイドワイヤを通しておき、これを利⽤してブジーと呼ばれる円錐状の筒を細いものから順次太いものに交換しながら狭窄部を拡張する「硬性ブジー法」という⾷道拡張術を⾏います。これもかなり⾟いですが、そのメリットとして、栄養剤の点滴のみ→おかゆ→普通⾷と、徐々に⾷べられるようになります。しかし、⾟い食べ物やアルコール、タバコといった刺激物は予後不良で死に⾄りますので絶対禁⽌です。

⾷道がん⼿術後のデメリットとその対処法

手術後はやはり1回の⾷事で全て平らげることはできなくなると思いますので、複数回に分けて⾷べればよろしいでしょう。
また、歩かないと⾷べたものが逆流してきますし、筋⼒が衰えて、⾞いす⽣活を送ることになります。体⼒的にきついと思いますが、家の周りを1周するだけでもいいので、歩きましょう。実際に、⺟と同室で、同じくがん手術を受けられた⽅がいらっしゃったのですが、再⼊院→⾞いす⽣活になってしまったそうです。

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