LGBT理解増進法案で危惧される点は何か

LGBT理解増進法案が今日開催される内閣委員会で議決され、今国会中に成立する可能性が高い。与党案が成立した場合、教育現場で将来的に引き起こされることが危惧される点は一体何か。
 「こども基本法」の基本理念として明記されている、子供の基本的人権の保障・差別的取扱いを受けることがないようにすること、子供の養育は家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、…との関連で、子供の性的自己決定権と親の養育権とが対立し、全米に広がった保護者と学校の対立が深刻化し、訴訟が広がる恐れがある。
 また、道徳教育と性教育は根本的に対立すると公言して憚らない「包括的性教育」推進グループが、「こども基本法」の理念として明記された子供の年齢及び発達段階を逸脱した「過激な性教育」を推進し、「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査」(安倍晋三座長)を踏まえて中教審が3年間17回の審議を経て学習指導要領に盛り込まれた「性教育の歯止め規定」の撤廃を目指す「包括的性教育推進法」制定に向けて働きかけを強めている。

同法案の具体的問題点

 同法案には学校の設置者に対し理解増進施策に「協力するよう努めるものとする」、「性的指向及び性同一性の多様性に関する知識の着実な普及」「民間の団体等の自発的な活動の促進」といったことが盛り込まれていることから、性道徳・性規範を全面否定する「包括的性教育」推進グループがLGBT教育の「研修」を担い、行政や学校と癒着して継続的に補助金を受け取る恐れがある。
 安倍政権下の平成28年の「性的指向、性自認の多様な在り方を受容する社会を実現するためのわが党の基本的考え方」には、「ジェンダーフリー論とは全く異なる」と明記した点を踏まえる必要がある。
 5月13日付「ノート」に詳述したように、同法案は「公共の福祉」「他者の人権」とりわけ女性の人権を侵害する恐れがある。公衆トイレや入浴施設などの女性スペースの安全性の確保が保障されない恐れがある。
 最大の問題点は子供の「最善の利益、幸福、ウェルビーイング」を最優先していないことである。「こどもまんなか」をスローガンに掲げながら、第4次教育振興基本計画の基本方針として明記された「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」に逆行する「包括的性教育」推進グループを支援することは根本的に矛盾している。

立憲民主党「決議案」の4つの懸念点

 立憲民主党が提案している「性的指向及び性同一性の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案に対する決議(案)」の「二 本法が、地方公共団体による、いわゆる上乗せ・横出し条例を含む性的指向や性同一性(性自認)を理由とする差別に関する条例の制定等を妨げ又は拘束するものではないことを周知徹底すること」と明記していることによって、科学的研究に基づかない誤解が全国に広がり混乱に拍車がかかる恐れがある。
 また、「四 法制上又は財政上の措置」「五 民間団体の自発的な活動の促進」「九 本法が各学校によるそれぞれの創意工夫を生かした授業の実施を妨げるものではないことについて周知徹底することとし、学習指導要領の改訂等に当たっても、各学校がそれぞれの創意工夫を生かした授業を実施できることが更に明確になるよう、性的指向や性同一性に関し特定の事項は扱わないものとする等と定める。いわゆる『はどめ規定』は置かないこと」と明記していることが懸念点である。詳しくは、今朝の産経新聞の私のコメント「教育への認識欠落『なぜ急ぐの疑問』」を参照してほしい。


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