我が国のWell-beingの最新動向一満足度・生活の質に関する調査報告書2023
我が国の経済社会状況について、GDPだけでなく、満足度・生活の質に関する幅広い視点から「見える化」することが重要であるという観点から、主観的指標である「満足度」(生活に満足しているかを0~10点で自己申告するもの)や、関連する生活実態(友人との交流など)の動向を把握するため「満足度・生活の質に関する調査」を4年前の2月に開始した。今年の2月に実施された第5回調査の調査結果の概要は以下の通りである。
まず同調査は約1万人へのインターネット調査で、総合的な生活満足度、13分野別の満足度、分野別の質問などにより、主観・客観の両面からウェルビーイングを多角的に把握したものである。
⑴ 生活満足度の動向
①「生活満足度」は昨年から概ね横ばい。女性は男性よりも高い水準で
推移。年齢階層別では39歳以下の層が上昇。すべての地域でコロナ拡大
前と同水準まで回復。
②雇用形態別では、非正規雇用は正規雇用と比して、コロナ禍の影響を
大きく受けたが,2019年と同水準まで回復。
⑵ 男女・年齢・地域別満足度の動向
①性別、年齢別、地域別いずれも「家計と資産」、「雇用環境と賃
金」、「子育てのしやすさ」が低下。男性の40-64歳の層で「生活の楽
しさ・面白さ」が比較的大きく低下し、大都市圏では「仕事と生活」が
上昇。
②「生活満足度」の上昇した人、低下した人の割合はいずれも3割程度
⑶ 生活満足度の分布
①「生活満足度」の分布の形状は大きく変わらず、7点が最頻値、次い
で5点、8点。
②39歳以下の層は7点、40-64歳の層では5点、65歳以上の層は8点が最頻
値。
⑷ 世帯構成と結婚願望
①いずれの年齢階層においても、単身世帯よりも家族のいる世帯の「生
活満足度」が高い。また、家族のいる世帯は単身世帯と比較して精神的
ストレスの低い人の割合が高い。
②男性は年齢階層に関わらず結婚願望がある人の「生活満足度」は結婚
願望がない人に比べて高いが、女性の40代以降は逆の傾向。また、結婚
前後で「生活満足度」は平均的に上昇。
⑸ 就学状況と子育てのしやすさ
①子供が成長するにつれて、家計と資産の「生活満足度」への影響が増
大。「生活度」と「家計と資産満足度」は子供の成長とともに低下。
②子育てを気軽にお願いできる人がいる場合に「子育てのしやすさ満足
度」が高くなるのに対し、テレワークの可否ではそこまで顕著な差はな
い。また、交流する友人がいる場合に「子育てのしやすさ満足度」が高
くなり、特に女性では頻度が多いほど高まる傾向にある。
⑹ 将来不安度の動向
①分野別の満足度と将来不安度の間には強い相関関係がある。
②リカレント教育受講中、過去受講と回答した人は「雇用環境と賃銀の
将来不安度」が低い。
➂健康のために行っていることがある人は、何もしていない人に比べて
「健康状態の将来不安度」が低い。
④困ったときに頼れる人が多い人はいない人に比べて「社会とのつなが
りの将来不安度」が低い。
⑺ 仕事のやり甲斐と満足度
①雇用形態別にみると仕事への意識に大きな違いはない。また、雇用形
態や年収に関わらず、仕事へのやり甲斐を感じる人は感じない人に比べ
て、「雇用環境と賃銀満足度」が高い。
②「仕事と生活満足度」も仕事へのやり甲斐を感じる人がそうでない人
に比べて高く、テレワークの可否による差は小さい。
➂仕事へのやり甲斐を感じる場合は相対的に生き甲斐もある割合が高
い。仕事へのやり甲斐及び生き甲斐の両方がある場合に満足度が最も高
い。