朝鮮人「強制労働」説は完全に覆された

 歴史認識問題研究会事務局次長で、髙橋史朗塾の塾生でもある長谷亮介研究員が、朝鮮人戦時労働者159名の賃金表という画期的な第一次史料を北海道博物館で発見し、記者会見を行い、産経新聞の1面で大々的に報じられた。朝日新聞も記者会見に参加したが、全く報道しなかった。
 従来の「強制労働」説では、朝鮮人は賃金をもらっても国と企業から強制的に貯金させられて手元にはほとんどお金が残らなかったと言われていた。しかし、日曹炭鉱天塩鉱業所で働いていた朝鮮人労働者の個人別賃金表によって、その言説は誤りであることが判明した。
 朝鮮人労働者の地元の村長に相当する面長に、個々の労働者の出勤状況、賃金などの収入、食費、貯金、送金、個人消費などについて毎月通知していて、その控えが冊子となって残っていたのである。
 賃金表には1944年10月に初就労した朝鮮人徴用労働者が86名記載されており、1945年6月までの9か月分の収入が判明した54名の平均収入総額は、896円25銭であった。このうち、収入総額が千円を超えた者は12名、950円以上千円未満は6名であった。
 新人労働者がわずか9カ月間(そのうち2か月間は現代で言う新人研修で通常よりも低い賃金であった)で大金を得ていたことが分かる。この54名の手元にはどれほどの金額が残ったのか。推定残額の平均は311円1銭であった。1944年時点で玄米一升が47銭であったことを考慮すると、朝鮮人労働者の手元には大金が残っていたといえる。
 賃金が払われないか、ごく低額の奴隷労働という従来の学説がいかに事実に反しているかがこの数字から明らかである。左派学者らは、賃金は出ていたが天引き貯金や食費などでほとんど引かれ、手元にはわずかしか残らなかったと主張しているが、全く事実に反することが明らかになった。
 他の資料から家族手当と補給金と呼ばれる別居手当とが出ていたことも分かった。それらの平均を出すと、家族手当が206円、別居手当が35円、合計241円である。これを加えると、徴用労働者とその家族は552円を手にしたことになる。これが「奴隷労働」といえるのか。
 朝鮮人労働者の賃金上昇率もすさまじい。朝鮮人徴用労働者が9か月後に受け取った賃金(日収)は、平均で初任給よりも166%上昇しており、最大で249%増額した者もいた。
 戦時中の日本では毎月の給与から愛国貯金という国への貯金が強制的に行われており、すべての日本人に課せられていた。日本で働いていた朝鮮人も愛国貯金が強制されていたが、日曹天塩炭鉱の賃金表によれば、金額は月収の1~2割程度であった。
 さらに、月収が一定金額を下回った場合は愛国貯金が免除されていたことも判明した。賃金表では月収80円以上の者でも免除されていることから、愛国貯金によって手元にお金が残らなかったという従来の「強制労働」説は説得力がないことが立証された。
 朝鮮人労働者には家族手当や補給金も配られており、朝鮮人労働者と家族が1年間で得た金額は最低でも550円以上であることが判明した。このことから、朝鮮人労働者の手元にはほとんどお金が残らなかったという従来の「強制労働」説は完全に誤りであることが立証された。
 また、「強制労働」説には他にも、朝鮮人は無休暇出勤を強制されていたという言説があったが、日曹天塩炭鉱の賃金表には朝鮮人の出勤日数も個別に記載されており、大部分の朝鮮人は休日を得ていたことも判明した。
 日曹天塩炭鉱では月に3~4日間程度の公休を設けており、毎月約27日間の出勤を課していた。しかし、大半の朝鮮人は会社側が指定した出勤日数よりも少なく、休日も出勤している者はわずかであった。休日出勤している者は賃金を多く貰うために自主的に働いていたと思われる。同炭鉱の賃金表によって無休暇出勤強要説の嘘も立証された。
 実は、日曹天塩炭鉱の賃金表は1991年に出版された『在日韓国・朝鮮人の戦後補償』(戦後補償問題研究会編、明石書店)ですでに確認されていた史料なのである。しかし、朝鮮人の賃金明細書であることにしか言及していない。
 また、日曹天塩炭鉱の史料を数多く収録した『戦時下強制連行極秘資料集Ⅰ 東日本編』(長澤秀編,1996年)にも個別賃金表は一枚も紹介されていない。それは従来の朝鮮人「強制労働」説に不都合であったからではないか。
 佐渡金山の世界遺産登録に関して日本の一部のメディアは金山の「負の歴史」も直視して世界遺産に登録せよと主張し、朝鮮人の「強制連行」と「強制労働」を日本政府は認めよというが、10月29日のnote拙稿で詳述したように、韓国人学者の中にも朝鮮人「強制連行」「強制労働」の嘘を学術的根拠に基づいて明確に否定する方々が出現し、日韓共同研究が積み重ねられていることは画期的と言える。
 詳しくは、月刊『正論』12月号と歴史認識問題研究会の研究紀要『歴史認識問題研究』第13号所収の長谷論文を参照されたい。
 ユネスコ「世界の記憶」「日本軍『慰安婦』の声」登録申請文書に対する対話をユネスコが日本と韓国などに勧告しているが、韓国側がユネスコに提出した史料の問題点についても日韓の学者で共同研究を進め、『反日種族主義』の共著者たちと連帯して、慰安婦「強制連行」「性奴隷」「20万人」の嘘も暴いていきたい!
 
 
 

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