暮らしを楽しむ
ときどき、本棚から絵本を取り出して眺める。
最近は「大人のための絵本」が流行りのようだが私が読むのは4歳~5歳が対象の、あくまでも子供用の絵本だ。
絵本が好きだ。
大人になると忘れてしまいがちな事々を思い出させてくれるから。
先日に読んだ絵本は、ふたりのクマさんが出て来るものだった。(クマなのだが、ここはあえて擬人化することにする)
物語は、ある出来事をキッカケに、ふたりのクマさんに次々と悲劇が降りかかってくるといったもの。
片方のクマさんは、ツラさに遭うたびに「どうしてこんなことになったのだろう」と溜め息をつくのだが、もうひとりのクマさんは「この状況を楽しんでいこう」と、そのクマさんに声かけしながら、ふたりは、ひとつひとつの試練を乗り越えていくといったストーリー。
もう一方であったクマさんのくちぐせは「これもまた楽しい」
困難をも一つの貴重な体験と考えて、人生を工夫して生き抜こうと、もうひとりのクマさんと共に悲しみ・苦しみを受けとめていく。
繰り返すが、これは大人用の本ではない。対象年齢4歳~5歳となっている絵本だ。なんて奥が深い絵本なのだろう!
いまや、すっかり大人になった(それもいい年をした大人)の私はハッとさせられる。
誰の人生にも大なり小なりの艱難辛苦はつきものだ。そのとき、私たちはどういう反応をするであろうか。すくなくとも、私などは「どうしてこんなことになったのだろう」と意気消沈するタイプである。が、しかし、ここで頭を切り替えて「これも人生のひとつの体験」と楽しんで受けとめていけたなら……と思わずにはいられない。
「これもまた楽しい」と俯瞰して、苦しみの体験を厭わないでいられたら、なんと暮らしは素敵になるであろうか。
やらなければならない事柄も辛苦も「これまた楽しい」というスピリットを持てたならば人生も変わるに違いない。
クマさんは単に呑気にしていたわけではなかった。苦難に出くわすたびに手探りで生き方・暮らし方をとらえなおし、前へと進んでいくのだった。
絵本の中のクマさんに人生を教えられる私である。
人生のさまざまな局面に出くわしたとしても
「これもまた楽しい」
そう言いながら、暮らしを豊かに営んでいきたい。
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