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BRIDGE BOOK LAB

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印象に残った本を紹介します📚|テーマ:世界を捉える、視点を変える、自分を見つめる、没頭する|ジャンル:デザイン/アート/建築/自然/科学/暮らし/社会/哲学/ミステリ/SF/文学…
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記事一覧

本の紹介📚|マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険

私たちがよく“自然”と感じる山や森は、実はその多くが商品となる木材を供給するために計画的に整備された人工林である。それは人の手で作られた“木の畑”であり、本来の自然の様相とは大きな隔たりがある。 本書は、自然の森が持つ複雑性と多様性がもたらす、驚くべき秘密を解き明かしていく科学ドキュメントだ。 著者のスザンヌは、カナダの人工林で計画的に植樹した苗木がうまく育たず、そばに自然に生えた苗木の方が生き生きと育っていることに疑問を持つ。効率的に木を成育させる環境を整えたはずの苗木に不

本の紹介📚|魔女 第1集・第2集

「魔女」というと、ファンタジー作品に登場し三角帽子で箒にまたがる「魔法使いの女性」をイメージするかもしれない。そうした魔法使いは「Wizard」と呼ばれ、超自然的な魔法の力を使役する思慮深き善の者として描かれる。 本作で描かれる魔女はそれとは異なり、民間伝承にあるような呪術的でシャーマニズムの要素が色濃い、自然や精霊との繋がりを持った女性たちだ。「Witch」と呼ぶほうがニュアンス的に近いのかもしれない。 構成としては上下巻にまとめられた短編集で、世界中様々な地域や民族の「魔

本の紹介📚|言葉の展望台

言葉とはなんて曖昧なんだろう。 何気ない日常のありふれたコミュニケーションの中で、ふと感じる違和感やモヤモヤはないだろうか。 発言が自分の意図と異なるとられ方をしたり、知らず知らず相手に何かを強いてしまっていたり。 会話の背後には、話し手と受け手の立場や関係性、意識や価値観、言葉の発せられた状況や文脈など、実に様々な要素が渦巻いて、言葉の外に強い力を発生させる。言葉が言葉の通りの意味で交わされている場面なんて無いのではないかと思うくらいに。それは時に目に見えぬ暴力ともなり当事

本の紹介📚|星を継ぐもの

今さら何を語るまでもない、SFの金字塔。それでもあえて紹介するのは本作が真摯に”サイエンス”であると感じたからだ。 私のような素人が科学の定義に触れるのも恐縮だが、科学とはおおむね「観測された事象に対して、観察や実験といったアプローチを用いて正しいと思われる因果関係や法則などを見出していく」ようなものだと理解している。 世の中のSFを見ると、単に宇宙船やロボット、未来といったいわゆる”SF的な”ガジェットやシチュエーションを扱うもの(それはそれで大好きだ)も多いが、そんな中で

本の紹介📚|ゼロからトースターを作ってみた結果

私たちが普段何気なく使っている身のわりの道具たち。それがどのように作られているかを考えたことはあるだろうか。 例えばトースター。なんとなく金属やプラスチックが加工された部品が組み立てられているくらいは想像がつく。ではその素材の原料はどうだろうか。全くのゼロまで遡り、そこからトースターができるまでを独力で再現することは果たして可能なのか。 そんな疑問に対して、とあるイギリスの芸術学生が立ち向かったプロジェクトのドキュメントが本書だ。 トースターを構成する部品を素材ごとに分類し、

本の紹介📚|これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話 イノベーションとジェンダー

重たい荷物を楽に運ぶため、今や誰もが当たり前に使っているスーツケースが普及するまで、人類が車輪を発明してから5000年もの年月を要した。近年注目されている電気自動車は、ガソリンエンジン車が本格的に普及する以前に、安全で扱いやすい車として既に存在していた。 こうした明らかに優れた発明が全く社会に注目されずに埋もれていたのはなぜか。私たちの目を曇らせていたのは、私たち自身の文化であり価値観、とりわけ「ジェンダー」であった。 ジェンダーとは、生物学的な特徴としての性差ではなく、“社

本の紹介📚|眼球堂の殺人 〜The Book〜

奇怪な建物と見取り図、集められた客人、クローズドサークル、不可解な死… そんな“館もの”ミステリ好きにはたまらない要素が詰まった作品がこの「眼球堂の殺人」から始まる“堂シリーズ”だ。 探偵役となるのは真理を求めて放浪する変わり者の数学者、十和田。そしてシリーズを通して関わる謎多き天才女性数学者、善知鳥。登場人物とその関係性も魅力的だが、何より本シリーズの主役と言えるのが「建物」だ。 ミステリの館にはギミックが付きものだが、たいていは主となる謎を演出する役割に過ぎない。しかしこ

本の紹介📚|サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福(上・下)

地球上のあらゆる動物と一線を画し、繁栄を遂げたホモ・サピエンス。私たちは何がそれほど他の生物と異なるのだろうか。 本書の序盤で提示されるその答えは、意外なようでそうとしか考えられなくなるような、新鮮な驚きと視点を与えてくれる。 それは「虚構を信じる能力」。想像力、ないしは妄想する力と言っても良い。太古の人類が他の類人猿を駆逐して繁栄するには、物理的に連携しうる小集団を大きく超えた大集団で連携するしかなかった。そのためには、実際に見聞きした範囲を超えて情報を伝え合い“信じる”こ

本の紹介📚|春期限定いちごタルト事件 小市民シリーズ

自分のうちに潜む、抗いがたい衝動や欲求、抑えられない性格。そんな性質を抑えられず失敗した経験は誰にでもあるのではないだろうか。 本作の主人公、高校生の小鳩常悟朗と小佐内ゆきもまた、それぞれの“ある性質”を抑えられず苦い経験をした人物だ。 人に疎まれ、時に傷つけもする自らの性質と決別し、穏やかで安定した「小市民」の地位を得るべく二人は協力関係を結ぶ。互いを利用し、盾としながら、自分たちのやっかいな本性が巻き起こすトラブルから逃れるために。 しかし、日常の中に次々起こる謎と事件が

本の紹介📚|未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために

妻とはよく喧嘩をする。互いに考え方や性格が違いすぎて、わかりあえないとしょっちゅう嘆くが、それでもなんやかんやでずっと一緒にい続けている。 互いのことをわかりあうための対話がコミュニケーションだと考えていたが、本書で語られるコミュニケーションの捉え方は違っていた。わたしたちは互いを完全にわかりあうことなどできない。だからこそ、わかりあえなさを互いに受け止め、それでもなお共に在ることを受け入れるための技法がコミュニケーションなのだと。 この考え方に私は勇気づけられ、今も人へ向き

本の紹介📚|生きる技法

社会人として生きていく中で、大きな仕事を受け持ったり家庭を持ったり、会社の組織や事業をマネジメントしたりと、社会の中でより大きな責任を背負う場面が訪れる。そんな時に感じてしまうのが、責任をきちんと自分の力で受け止めて、「自立」しなければという重圧だ。 ネットやSNSではたくさんの“すごい人”や“できる人”が情報を発信し、あるべき姿・やるべき行動を示してくれる。しかし、責任に駆られそんな理想像を追い求めるうちに、どんどん本来の自分とのギャップが広がり、苦しみは増えるのに助けが求