大好きなラッパーのLIVE

 人は誰しも「好きなラッパーやアーティストのLIVEを観たい」という気持ちを持ったことがあるはず。自分でいう「好きなラッパー」はレペゼン栃木の押韻伝道師こと"舟平(SAM)"である。好きになった経緯を述べると長くなるし、何せ自分はCDを買えたこともなければ本人に直接想いを伝えられたこともなく、経緯を述べていい立場じゃないことは分かってるのでここでは割愛させていただく。
 前置きが少々長くなったが、今回は2022年UMB栃木予選にてYouTube越しではあるが好きなラッパーである舟平のLIVEを初めて観ることが出来たので、プレイリストを振り返りながら深夜テンションで感傷に浸りたいと思う。


1. Memory Season (feat. 凛太郎)

この"Memory season"はSAMから舟平に名義を変更して初めて出したEP「Day College」に収録されている音源である。バトルのDJでも有名なWAZGOGGのメロウなビートの上で凛太郎と舟平の心地良い声が相まって、個人的にはDay Collegeの中で最も好きな音源である。今回のLIVEに凛太郎がいなかったため、凛太郎のバースを蹴る舟平を観る貴重な機会になった。

人は傷つけ合うのが得意だが
見え隠れするエゴと後付けのLOVE
アスファルトに涙はつもらない
擦る視界 この夜は曇らない
欲に溺れて stay alive
過ぎるLifeにスペアはない
指でなぞる愛
肌に馴染んだウェアをchoice
嘘とゴミが舞う世界で踊る

 このリリックは最後のhookに繋がるbridgeの部分である。自分が舟平の音源のどういったところに惹かれてるのかがここに詰まっている。自分はめちゃくちゃ地味な人間で、ブリンブリンやweedや暴力とは縁の世界を生きている。そんな自分でもHIPHOP聴いていいんだと思わせてくれたのが舟平の音源である。等身大に見えるけどリリカルでお洒落。そこに自分は惹かれていった。
 ちなみにSAM feat. 凛太郎はもう1曲存在する( 『2'love』)のだが、こちらはMVのみなのでぜひチェックしてほしい。

2. ???

 舟平ファンとしてあるまじき、まさかの曲名が分からない緊急事態。ちなみにMVは『Truth』以降本格的に出されているため、それ以前の音源については正直詳しくない。もちろん見つけられれば聴きたいが、そこは己のdig能力を恨む。

MV乗ってるオープンカー
でもリースで切ってる領収書

は中々のパンチラインだと思う。

3. Stunt Man (舟平&B.I.G.JOHN

)

 こちらの"Stunt Man"は今月リリースされたばかりの音源。『絶品Trip』の時も思ったが、〇〇 feat. ‪✕‬‪✕‬ではなく〇〇 & ‪✕‬‪✕‬って形がなんかいいなぁ。
 舟平の音源はメロウなビートであることが多いが、この音源ではゴリゴリのビートの上でタイトなラップが乗っかって、舟平の音源としては珍しいものになっている。それがまたいいんですよね。
 

俺は俺だうっせぇ黙れ俺は俺だ
止めんなサイレン 保険はないway
筋の通ってない地元のパイセン
数字で勝負ってそれダサいね
無地で目立ってごめんなさいね

ここもhookでもなんでもないが早口でまくし立てるなかに舟平本人の確固たるスタンスが表されていていいなと思った部分である。

4.Drama

この"Drama"はSAMの音源の中でも個人的にかなりお洒落な音源で、個人的に好きな舟平の音源ベスト3に入る。SAMの声の良さがめちゃくちゃ表現されているように感じる。

欠けたカラーコーンと
錆のついたガードレール
俺を見てるみたいで
本音言えずじまいで
欠けた月に零す笑顔涙 どれも芝居で
エゴも欲も全て黒に染めていっそ二人で

この音源を聴いた時、あまりにもこの部分が聞き心地良すぎてここだけまず聞き直したほどお洒落。タイトルと情景ががっちりマッチした曲となっている。単純にお洒落でかっこよすぎて更に惚れてしまった。

5.Back Chapter

 "Back Chapter"はSAM名義で最後にMVを出した音源であり、舟平名義で初めてのEPに収録されている、ある意味節目の音源である。hookのピアノの部分もめちゃくちゃ好きだが、今回はこの部分を紹介したい

上手くいかねぇ大抵
今もしない安定
どうせ回転する世界 
今ももがいてる
不完全な完全の中で紡ぐone way
夜に浸かり一人籠るoffice my brain

  この曲がリリースされた当時、自分はコンビニバイトを始めてミスを犯しまくる日常だった。元々自分はできない人間だと認識していたが、その認識以上にできないことに絶望していた。
 そんな時に、バトルで好成績を収めてある程度プロップスのあるSAMがこう歌ってるのを聴いて、SAMですらそうなら自分が今苦しむのは当たり前じゃんと思えた。
 夜に考え事をしている様を「夜に浸かり一人籠るoffice my brain」と表現しているのがさりげなくお洒落に感じた。


6. namida

 SAMの音源の中でも特に人気である"namida"はSAMのリアルが詰まった音源である。特に家庭のことについてをラップしているが、第三者の自分がとても過不足なく説明できない内容なので是非音源を聴いてほしい。

HIPHOPで苦難を乗り越えたとか
HIPHOPに命を救われたとか
たいそうな理由はないけど
確かに俺の世界に色をくれた

 自分はSAMから本格的にHIPHOPにハマって、ニワカなりに色々聴いているわけだが、それで苦難を乗り越えたと思っていても、ほかの方々を見てるとそんなことを自分ごときが口にしてはいけないと思っている。しかし、それでもSAMを始め色んなラッパーの音源を聴きながら日々自分なりに生きている。それは皆さんそうだと思う。そういった部分的確に表されていてとてもくらったのだ。

7. DOUBLE FACE (BCST feat. USE)

 このLIVEの最後に自分の音源ではなく仲間の音源を歌ったことに正直ビックリした。BCSTは同じレーベルPer Lifeの後輩である。

I just wanna be a real me
この感情は久しぶり
ナーバスが続く
胸がうずく
汚れたmind
血眼になって求めたZion

 TVをつければ物騒な世の中で暗いニュースばかりで、自分らしさが何かなんて自分はわかってない。本当に今の自分に当てはまりすぎててくらったのである。
 ちなみにBCSTはSAMと『Running Ain't freedom』という音源を出している。そちらもチェックしてほしい。

8. 最後に

 自分は愛知県に住みながら栃木をレペゼンしているラッパーに虜になっている。そのくせLIVEに行くどころか舟平が出演している現場に行ったことは一度もない。自分はその現状に悩んでいる。ただそんなむやみに名古屋でLIVEしてほしいと言ったところで現実問題厳しいことは分かっている。今回UMB予選ではあるがLIVEを見られてものすごく嬉しかったし、やっぱりこの人が好きなんだなと思えた。
 好きなラッパーがいて、そのラッパーが出演するイベントがあるのならぜひ無理してでも行ってほしい。好きなのに実際に見られないというのはかなりメンタルにくる。それにラッパーも、顔が分からないアカウントに言われるより実際会いにきた上で気持ちを言われた方が嬉しいと思う。

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